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ファーストレディの立場をビジネスチャンスにすり替え…米大統領夫人としての自覚に乏しいメラニア氏

2/28(火) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

 トランプ大統領の妻、メラニア夫人が6日、英紙デイリー・メールの発行元を提訴しました。

 デイリー・メールが以前、メラニア夫人がかつて所属していたモデル事務所が性的サービスを提供しており、メラニア夫人がこれに関わっていたとする「噂」を報道したからです。

 しかし、訴訟した側であるメラニア夫人が逆に批判されるという結果に発展しています。

 今回は、メラニア夫人のこの訴訟を3つの点から考察してみたいと思います。

1.「ファーストレディー」である以上に、「モデル」としての姿が見える今回の訴訟

2.「噂」を掲載したのは、ウィキペディアも引用を禁止するデイリー・メールという大衆紙

3.メラニア夫人弁護士が問題となる箇所を訂正

1.ファーストレディーである以上に「モデル」としての姿が見える今回の訴訟

 今回の訴訟で、メラニア夫人はデイリー・メールの記事により、「世界でもっとも撮影される女性の一人」という「一生に一度」の期間に、「商業ブランドを立ち上げる」機会を失ったとしています。

 そして、これが莫大な損失だったとしており、1億5000万ドルの賠償を求めています。

 確かにモデルという職業は、大変「イメージ」が重要です。その意味で、「性的サービス」のイメージを植え付けられたことに対して、「モデル」としてのメラニア夫人が遺憾を示すのは理解できます。

 しかし、メラニア夫人は「モデル」である以上に、「ファーストレディー」なわけです。ファーストレディーは、大統領代理として公式行事に参加したりする立場の人間。政治的にも非常に重要な役割を担っており、もちろん「公人」であります。

 今回の問題は、「公人」であるメラニア夫人が、「ファーストレディーをビジネス機会」として結び付けてしまっているように見える点です。メラニア夫人は、「ファーストレディー」である以上に、「モデル」としての意識が先行しているようにも思えます。

◆発信源は低質メディアのデイリー・メール

2.「噂」を掲載したのは、ウィキペディアも引用を禁止するデイリー・メールという大衆紙

 性的サービス提供の噂を掲載したのは、デーリー・メールという大衆紙です。このデイリー・メールという大衆紙は読者が多く、確かに興味深い記事も多い。ただ、ある点で問題視されることがあります。それが「信憑性」に欠ける記事があるという点。

 例を挙げると、多くの方がご存知のオンライン百科事典「ウィキペディア」の話をすると分かりやすいと思います。

 実は今月、ウィキペディアはデイリー・メールの記事を情報源として引用することを禁止すると発表しています。デイリー・メールは「基本的に信憑性に欠ける」という理由づけをしています。

 もちろん、信憑性に欠けるから、名誉棄損に関わる記事を掲載してもいいなんてことにはなりません。精神的苦痛を受けたことを考えると、メラニア夫人が訴訟したという事実自体には何の問題もありません。

 ただ、今回の場合、「ファーストレディー」としての利益追求が問題視されているのです。

◆批判を受けて訴状を訂正した可能性

3.メラニア夫人弁護士の弁明と、問題となる箇所の訂正

 批判が集まった後、メラニア夫人の弁護士は「メラニア夫人はファーストレディーとして利益を追求していない」とし、批判は誤解であると説明しました。

 さらに、その後、訴状の再提出がされました。新しい訴状はずいぶん異った形になっています。

 これに対し、BBCなど複数メディアは、「ファーストレディーとビジネス機会」を結び付けるような記述が新しい訴状にない、と指摘しています。

 ビジネス機会の箇所が重要な箇所だったことを考えると、今回の訂正は、批判を受けたから訂正をしたものである可能性が非常に高いといえるでしょう。

◆ファミリーの利益と国益は別にしなければならない

 経営権を息子2人に託すとした時や、ノードストローム批判の時もそうですが、トランプ大統領の利益相反行為に関しては以前から指摘されています。

 そして、今回、トランプ夫人である、メラニア夫人も利益相反行為についての指摘がされたわけです。大統領と大統領夫人両方がこの点について批判されている状況。

 政治にビジネス感覚を持ち込み、既存のやり方ではやらないというトランプ大統領ですが、怖いのは、トランプファミリーの利益と国の利益が絡みあう時。

 権力あるリーダーの発言、ファミリーの行動など、今後もしっかり監視する必要があるといえるでしょう。 <文/岡本泰輔>

【岡本泰輔】

マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。

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