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塩を使わない不思議な漬け物!長野県木曽に伝わる保存食「すんき」の作り方

3/1(水) 21:10配信

サライ.jp

漬け物と言えばしょっぱくて、お酒のアテやご飯のお供というイメージを抱くのが一般的ではないだろうか。しかし長野県木曽地方では「すんき」という、塩を一切使わない漬け物が作られている。

この聞き慣れない「すんき」とは一体どういう漬け物なのか、ご紹介しよう。

■「米は貸しても塩はかせるな」

木曽地方はとても山深く、海からもとても遠い。そのため昔から「米は貸しても塩はかせるな」と言われていたくらい、塩が貴重なものであった。

しかし山深い木曽で厳しい冬を越すためには、保存食も欠かせない。そこで生まれたのが、塩を使わない漬け物「すんき」だ。
塩を使わずに漬け物をどうやって作るのか。これがすんきの非常に特徴的な点なのだが、自然界にある「植物性乳酸菌」によってすんきは作られるのだ。

ではその作り方を紹介しよう。

■すんきの作り方

すんきに使用されるのは、地元で収穫された赤カブの葉である。赤カブも各地域ごとに昔から育てられてきた品種を使うので少しずつ葉の色合いや形が違う。

赤カブの葉を1センチほどにザク切りして、軽く湯通しして、その前の年より温存していたすんき種、あるいはその年にできたすんきを樽や発泡スチロールに入れたビニール袋に交互に混ぜ込み、生きた乳酸菌を自然の力で発酵させる。

赤カブの付け根を刻んだものを混ぜ込むこともおいしいすんき作りの秘密の一つだ。ここに乳酸菌のエサであるビタミンB12がたっぷり入っている。

混ぜ込んだあとはしっかりと口を縛って空気に触れないようにすることも、おいしいすんき作りのコツである。そして新聞紙を敷き詰める。この新聞紙は乳酸菌がガスを出して汁があふれても吸ってくれるという役割と、保温の両方を担う。

翌朝封を開けて、ほどよい酸味とうま味が出てきていたら成功だ。

すんきを作る上での、もう一つのポイントは手早く作ること。のんびりすると冷めてしまうからだそうだ。そのため「すんきは喧嘩しながら漬けろ、と言われてるんですよ」木曽町のすんきコンクールで幾度もすんき達人、名人となってきたすんきエキスパートの野口広子さんは教えてくれた。

毎年11月頃には長野県木曽町にある「ふるさと体験館きそふくしま」で野口さんをはじめとしたすんきエキスパートから直々にすんき作りを教えてもらえる。

■「すんきそば」と長野の冬の風物詩「とうじそば」

すんきはそのままだと塩気がない。そのため一般的な食べ方は削り節をのせ、醤油をかけて食べる。

また、すんきの季節に木曽を訪れると、温かいそばにすんきがのったすんきそばを取り扱う店が多い。筆者もそうであるが、このすんきそばを食べることですっかりすんきの虜になってしまう人も多い。

すんきを初めて食べる時には、乳酸菌の酸味を楽しみつつも、オーソドックスな削り節と醤油をかけて食べるのと、温かいそばにのせて食べる、両方を試してほしい。

また、長野の冬の風物詩に「とうじそば」というものがある。小盛りにしたおそばをとうじ籠という竹で編んだ小さな籠に入れ、季節の野菜やきのこたっぷりの鍋に浸し、さっと湯がいて食べる。そばをつゆに浸ける事を「湯じ」という説、投げる汁と書いて「投汁(とうじ)」という説がある。

木曽の中でもとくに開田高原は寒暖の差が大きく、火山灰地という土地の特徴から古くからそばの栽培が盛んである。東京であれば銀座にあるアンテナショップ「銀座NAGANO」で購入することもできるが、木曽のすんきと開田高原のそばは、ぜひ現地で味わってほしい。

すんきは在庫がある間の販売となるので、味わってみたい方はお早めに!

【銀座NAGANO】
■所在地/東京都中央区銀座5丁目6-5 NOCOビル
■電話/03-6274-6015
■営業時間/10:30~20:00
■休業日/年末年始のみ

【ふるさと体験館きそふくしま】
■所在地/長野県木曽郡木曽町新開6959
■電話/0264-27-1011
■営業時間 /9時半~16時半(体験受付~15時)
■休業日/水曜(1~2月は水・木曜)
■料金(一人あたり)/ そば打ち1200円・ほう葉巻1300円・木曽ヒノキ木工体験550円~など

文・写真/松永直

最終更新:3/1(水) 21:10
サライ.jp