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音尾琢真「早く50代に!」なぜ早く歳をとりたい?〈週刊朝日〉

dot. 3/4(土) 16:00配信

 新しい何かを手に入れるために、人のアイデアを素直に取り込むこと。同時に、自分の中にある要らないものを捨てること。音尾琢真が舞台に取り組むときは、毎回、そんな修業のような作業の繰り返しになるという。

「自分の中にない経験や感情が台本に書かれていて、“わからない”と思うとついくじけそうになります。でも、“わからない”から“できない”わけではない。僕は、わからないことはどんどん演出家の方に聞きますし、そこでいただいたアドバイスを、さも自分が考えたかのように演じるのは、割と得意かもしれない(笑)」

 大学の演劇研究会から生まれた演劇ユニット「TEAM NACS」では最年少。10年ほど前に活動の幅を広げてからは、映像以外にも、海外の演出家の作品や、有名作家の翻訳劇など、話題の舞台に数多く出演している。今回挑戦するのは、スウェーデンの作家ストリンドベリの「死の舞踏」だ。もう一作の「令嬢ジュリー」と同時期の上演で、シアターコクーン内に、二つの小劇場が設営されることも注目を集めている。

「稽古をしながらも、自分の才能と技量のなさを痛感する毎日ですが(苦笑)、こういうハードルが高い舞台のオファーが来るようになった喜びを思えば、大概のことは乗り越えられる気がします」

 父は警察官。子供の頃は、「将来はお巡りさんになる!」と信じて疑わなかったが、思春期を経て、そんな素直さはすっかり失われてしまった。進路について、初めて真剣に考えたのは高校3年生のときだ。

「男子新体操部に所属していてバク転ができたこと。国語の先生に朗読を褒められるぐらい声が良かったこと。歌が好きで、授業の合間に歌って、周囲に煙たがられていたこと。その三つの特性を足したら、“歌って踊ってセリフが言える職業、つまり俳優をやればいいんだ!”と閃いて(笑)。大学に進学してから、安易な気持ちで演劇研究会に所属して、NACSのメンバーと出会うんです。もう20年以上が経ちますけど、ブレずに好きな芝居を続けられたことは、ラッキーだったとしか言いようがないですね」

 対応力の高さと、甘え上手な面を武器に、比較的器用に世の中を渡ってきているように見えなくもないが、実は、かなりの頑固者らしい。

「親にもよく言われました。“人と比べて負けたくない”のではなく、“自分を曲げたくない”思いが、いつも心の中にありますね。俳優として譲れない点は、“いい作品に出たい”、それだけなんですけど……」

 昨年40歳になった。今は「早く50代に!」と思っているそうだ。

「昔から“老け顔”と言われていたこともあって、30代は中途半端な感じがして嫌でした。ようやく顔と年齢が一致し始めて、40歳で男の渋さがにじみ出るかなと思ったら、まだ全然足りなかった(苦笑)」

※週刊朝日 2017年3月10日号

最終更新:3/4(土) 16:08

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