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このままではアマゾンとセブンイレブンとヤマトが全滅する! 商品はあっても 「運ぶ人」がいない…

現代ビジネス 3/2(木) 10:01配信

 時間指定配送、送料無料、365日24時間営業。つい忘れがちだが、これらはすべて「運ぶ人」がいて、成立している。その物流が今、危機に瀕している。私たちが生きる「便利な社会」はひどく脆い。

「身代わり出頭」の背景

 「アマゾンから配送の依頼があり、3回ほど呼ばれて話を聞きに行きましたが、札束で頬を叩くような態度で不愉快な思いをしました。その札束が薄いんですから、話になりません。はっきり言って、条件が悪かったので断りました」

 トラックで宅配を請け負う吉祥寺総合物流(武蔵野市)の二瓶直樹社長がこう言って続ける。

 「アマゾンは当日受けた注文を1時間以内で届けるサービスを自社配送でやると言っていますが、そんなことができるわけがない。アマゾンの配送は、ヤマト運輸に頼っていますが、彼らも本音では受けたくないはずです。

 このまま運送業者にとっての条件が悪いままだと、アマゾンの配送は成立しなくなると思います。自分たちだけではすべてを運ぶことができないわけですから。ヤマト運輸が撤退したら、アマゾンは完全に成り立ちません」

 驚異的なスピードで日本でも成長してきたネット通販の巨人、アマゾン。扱う品目は書籍に留まらず、日用品や雑貨、食品と、今や多くの日本人の生活になくてはならない存在になりつつある。しかし、その足元が大きく揺らいでいる。

 アマゾンが扱う商品は日本市場だけで2億品目とも言われているが、それを運ぶ人間が圧倒的に不足しているのだ。物流の崩壊が、アマゾンを直撃する――。

 すでに配送を担う現場の疲弊は限界を迎えている。アマゾンの配送を請け負う運送会社社員の声を紹介しよう。

 「とにかく荷物が多くて、決められた時間内に仕事が終わることなど、まずなかったですね。アマゾンの荷物がものすごく多く、繁忙期になると一日に300軒を回ることはザラでした。

 しかも時間指定の商品が多く、常に時間に追われている感じでした。毎日のストレスは尋常なものではなかった。それでいて、給料は安い。私も含めて、辞めていく人は多かった」(元ヤマト運輸配達員・30歳)

 「『アナと雪の女王』のDVDといった人気商品の発売日は大量の発送があるので、それだけで100件を超えたりします。

 一番困るのが、箱の大きさです。アマゾンは内容物が小さいのに、無駄に箱が大きいのでポストの入り口に収まらないものが多い。宅配ボックスがあるところだといいのですが、一軒家だと投函できないので、結局お客さんに出てきてもらわないと渡せない。不在なら、不在票を書いてまた来なければいけない。

 アマゾンだけでも何度も往復する羽目になって、他の郵便物の配達も遅れ、毎日残業です」(日本郵便社員・40代)

 元々、アマゾンの配送は佐川急便が一手に引き受けていたが、運賃が低く、採算割れだったため、佐川急便がアマゾンに値上げを申し入れる。ところが、交渉が決裂し、'13年に佐川急便はアマゾンの配送から完全撤退した。だからといって、佐川急便で働く配送員の労働環境が改善したかというとそうでもない。

 '08年から'13年まで佐川急便に勤めたドライバーが実情を話す。

 「たしかに荷物は減りました。しかし、その分、配送範囲が広がり、結局、走る距離や必要な人手は変わらないんです。

 昨年、発覚した交通違反の身代わり出頭ですが、あれが横行していた背景は理解できます。佐川急便では事故や交通違反を起こすと、罰金を払えば終わりではないんです。働けなかったりペナルティがあったりして、会社で講習を受ける必要もある。

 ただでさえ、最低限の人手でやっているのに、自分が働けなくなったら、仲間にその分の負担がかかります。ごまかせるならごまかしたい気持ちはわかる気がします」

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最終更新:3/2(木) 20:11

現代ビジネス

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