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【森友学園問題】塚本幼稚園、保護者が語った呆れた実態

3/2(木) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

 国有地を9割値引きで買い受けた「学校法人森友学園」。2月9日の朝日新聞によるスクープ以降、報道各社もこの土地取引の闇を追い続けている。当サイトでも大阪にいち早く飛んだ菅野氏による徹底取材でスクープをはじめ、いくつかの重要なニュースを配信してきた。

 しかし、忘れてはならないのは、この幼稚園で行われている「教育」によって、心を傷めた子供たちがいることだ。

 今回、菅野氏が「週刊SPA!2月28日号」に寄稿した記事を本サイトへと転載することで、いま一度、そこで子供たちがいかなる仕打ちを受けてきたかを詳らかにしたい。

◆「これ、児童虐待やん」。塚本幼稚園退園者たちの悲痛な叫び

 2月9日に朝日新聞がスクープした「学校法人森友学園」による国有地の格安取得の問題は、瞬く間に話題となった。評価額9億円の土地が、わずか1億円で払い下げられたのだ。この土地取引に疑問の眼が向けられるのは当然だろう。

 さらには森友学園の理事長・籠池泰典氏が、日本会議大阪の役員を務めるなど、一見豊富に見える政界人脈を有していることもあり疑念はさらに深まるばかりだ。

 拙著『日本会議の研究』で、森友学園の経営する「塚本幼稚園」を取り上げていたため、私にも報道各社からの取材依頼が多数寄せられた。各社ともに籠池理事長と日本会議や安倍政権との関係を聞いてくる。しかし取材を受けてばかりいても始まらない。私も物書きの端くれ。現場に行ってこの目で見たい。早速、大阪に飛んだ。

 大阪にはかねてから会いたい人々がいた。塚本幼稚園を自主的に退園、あるいは強制的に退園させられた保護者たちだ。「T(塚本)幼稚園退園者の会」を通じて紹介してもらった。大阪駅到着直後から彼女たちへの聞き取り取材をスタートさせたが、彼女たちが語る「塚本幼稚園の実態」にはただただ呆れるばかりだった。

 まず見せてもらったのは、毛筆の手紙。冒頭から「いいかげんにしろ!!」で始まる。ただごとではない。

 この手紙を受け取ったのは、元保護者のAさん。

「PTAの会計報告がめちゃくちゃやったんですよ。教員の研修に予算が使われてたりね。園に説明を求めたら、副園長からこの直筆の手紙が届いたんです。読んだけど全く意味わからへんし」

 確かにそうだ。私も実物を読ませてもらったが、一切読解できない。ただ、文末にある「大阪府庁にはTELしたらあかん」の一言から、Aさんが府に苦情を入れることを恐れていたことはわかる。

「この手紙、副園長の直筆なんですけどね……」

 どうやらこうした「直筆手紙」は大量にあるらしい。

◆「トイレに行くと怒られる」と水を飲まない園児たち

 別の元保護者・Bさんも副園長の「直筆手紙」を受け取った一人。Bさんが受け取った手紙もこれまた尋常ではない。そもそも便箋でもなんでもなく、封筒に殴り書き。「○○ちゃんに『あなたのお母さんはわがままね』と申しましたら、『おならばかりする』と申してましたよ」と、文面もおよそ教育者とは思えない内容だ。

 しかし驚くのはまだ早い。「直筆手紙」どころではない証言が次から次へと飛びだす。

「幼稚園バスを降りてから、家に帰るまでの間に、子供が必ずおもらしするんですよね」と、前出のBさんが口を開いてくれた。「ひょっとしてまだトイレトレーニングが完璧ではなかったかも」と、当初Bさんは自責の念にかられたそうだ。だが、どうも子供の様子がおかしい。子供に話を聞いてみると、どうやら子供たちは、幼稚園でトイレに自由に行かせてもらえていないようなのだ。

 別の保護者Cさんは、子供達の水筒の中身が一切減っていないことで異変に気づいた。子供に尋ねると、「お茶飲んだらトイレに行きたくなる。怒られるの怖いから飲まない」と答えたと言う。

 排泄に関する虐待まがいの行為に関する証言は「おもらししたパンツがそのままの状態で登園バッグに入れられていた」「透明のビニール袋にもらしたパンツを入れてみんなにわかるようにカバンからつりさげて帰される」などなど、枚挙にいとまがない。

 しかしあまりにも証言の内容が酷すぎる。証言してくれる元保護者の方々の眼差しは、嘘をついているようには思えないが、その内容があまりにも現実離れしているのだ。こんな幼稚園、あるはずがないではないか。

 念のため、別の私立幼稚園関係者に話を聞いた。

「他の私立幼稚園でも、塚本幼稚園からの転園者を受け入れている園は多いと聞きます。また転園に際して、幼稚園間のルールである在園証明書すら送ってもらえないと困っている園もあるようです。うちに転園されてきた方のなかには、塚本幼稚園で受けたトラウマから、子供が他の幼稚園に通うどころか、半年以上家の外に一歩も出れなかったと涙ながらに訴えてこられたお母さんもいらっしゃいました。その相談内容から考えると、保護者の方々の証言はほぼ真実と言っていいでしょうね」

 大阪府の公表する資料によると、大阪府下に305ある私立幼稚園全体の充足率は74%。一方、塚本幼稚園のそれは50%にすぎない。塚本幼稚園は大阪市内でも待機児童が大きな問題となっている淀川区に立地するが、この充足率は区内ワースト1位。統計にも転園者続出は明らかに示されている。

◆「先代の頃とはえらい違い」と近隣住民も嘆く現状

「そりゃやめるやろ。むちゃくちゃやもん」と話してくれたのは、塚本幼稚園の近隣住民の一人だ。「先代の頃とえらい違いや。あそこの娘さんがあんな人やからな。もうすっかり違う幼稚園やで」

 この近隣住民が「あそこの娘さん」と呼ぶ人物こそ、先ほどの「直筆手紙」を書く籠池諄子副園長だ。旧姓は森友。籠池泰典理事長と結婚し姓を改めた。泰典氏はいわば「マスオさん」だ。

「もうな、最近はむちゃくちゃやで。ついこないだも、道の真ん中で、あそこの娘さん、大声で幼稚園の先生を叱責してたわ。子供ら見てる中でな。かわいそうでしゃあなかった」

 前出の退園保護者の証言といい、近隣住民の証言といい、にわかに信じ難い証言ばかりだが、数々の証言者の話す内容に相矛盾するところはない。また、「直筆手紙」をはじめとするさまざまの資料は、証言内容を全て見事に裏付けている。資料や証言に基づく限り、「これは事実だ」と認めざるを得ない。

 しかし、もしこうした証言が事実ならば、誰かが地元の教育委員会なり大阪府教委なりに苦情を申し立てるはずではないのか?

「もちろん市にも府にも言いましたよ。でもね、行政の人は『私学』であることを盾に積極的に動いてくれないんですよ」と、前出の退園保護者Aさんは語る。

 行政にも見放された塚本幼稚園退園保護者たちの我慢は、そろそろ限界に達しようとしている。彼女たちは近々、専門家の助言を仰いで「退園者の会」を結成する予定だ。

 これまでも塚本幼稚園の退園保護者たちは、ネット上などで塚本幼稚園の実態を告発し続けて来た。だが、こうした声に対して森友学園は真摯な対応を示そうとはしない。むしろ、公式WEBサイトに「インターネット上での当園に対する誹謗・中傷記事について」と題した文章を掲示し「投稿者は、巧妙に潜り込んだ韓国・中華人民共和国人等の元不良保護者である」と、ヘイトまがいの文言ではねつけてきた。誠実さのかけらもない対応と言わざるを得ないだろう。

 いや、「ヘイトまがい」という言葉は生ぬるいかもしれない。副園長は実際に、「私は差別はしませんが、韓国人・中国人は嫌いです」と明記した「直筆手紙」をしたためたことがある。しかも、手渡す相手が元韓国籍の保護者であることを知った上でだ。もうこれは明確に「ヘイトスピーチ」というしかない。

 こうして考えると、大阪府の対応が不思議に思えてくる。なぜ大阪府は、ここまで運営実態が酷い森友学園に、小学校の設置認可を与えたのだろう?

 確かに今回の大阪取材は、朝日新聞が報じた森友学園の土地取引に関するスクープに端を発するものだ。だがひとまずの取材を終えた今の私には、土地取引の闇よりも、「森友学園のあり方」そのもののほうが、より深刻な問題のように思える。

 排泄物まみれの下着をそのまま子供に持ち帰らせたり、管理者が衆人環視の公道の真ん中で教職員を叱責したり、幹部がヘイトスピーチを垂れ流すなど、あってはならないことだ。もはや問題は、「幼稚園児に軍歌を歌わせる」などというレベルではない。思想や政治的主張の前に、土地取引の問題の前に、森友学園には、「教育機関としての資質」こそが問われるべきではないのか。

 当然のことながら、今回の大阪取材では、森友学園の籠池泰典理事長と、夫人であり塚本幼稚園の副園長である諄子氏にも取材を打診した。だが、両者とも多忙を理由に当方からの取材要請には応じていない。

 今後、森友学園に対する疑念の眼差しは、さらに深まっていくだろう。土地取引に関する国会での追及も見逃せない。

 だが、私は引き続き、「森友学園の教育機関としての資質」に注目して取材を重ねたい。本当の闇は、おそらくそこに、ある。

<文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)>

※菅野完氏の連載、「草の根保守の蠢動」が待望の書籍化。連載時原稿に加筆し、『日本会議の研究』として扶桑社新書より発売中。また、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中

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