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【コラム】「ルイス・エンリケのサッカーは正しかった」バルセロニスタはきっとそう気付かされる

3/6(月) 16:42配信

SOCCER DIGEST Web

記者会見で心から笑った顔を、思い出すことができない。

 ルイス・エンリケがバルセロナを去ることを明らかにしたのは、3月の初めの日のことだった。
 
 6-1で大勝したスポルティング・ヒホン戦(3月1日のリーガ・エスパニョーラ25節)の後、カンプ・ノウの会見場で記者の質問に答え終わると、自ら今シーズンいっぱいでの退任を告げ、静かに席を立った。
 
 それは何の前触れもない、あまりにも突然のことだった。記者たちもポカンとしていたくらいだ。選手に伝えたのも、試合後のロッカールームだったという。
 
 言葉に迷いはなかった。
 
「熟考したうえでの結論だ。シーズン前にもクラブとは辞める可能性について話し合った。ようやく、発表のタイミングがきたんだ。選手として、監督としてこのクラブで仕事ができたことに感謝している」
 
 ルイス・エンリケが3年間で残した結果は見事としか言いようがない。獲得可能だった10のタイトルのうち、実に8つのカップを掲げている(リーガとコパ・レル・レイがそれぞれ2回、チャンピオンズ・リーグ、クラブワールドカップ、UEFAスーパーカップ、スペイン・スーパーカップがそれぞれ1回)。
 
 今シーズンはその数が増える可能性もある。CLラウンド・オブ16でパリSGに逆転する可能性は低いとしても(第1レグは0-4、第2レグは3月8日)、リーガもコパ・デル・レイも優勝の可能性が残っている。退任の理由はピッチ上の結果や内容とは別のところにあるという。
 
「この3年間、ほとんど休むことなく、身をすり減らしながらやってきた。バルサの監督を務めるというのはそういうことだ」
 
 表情には疲れの色が隠せなかった。
 
 退任発表後すぐに『マルカ』紙は、この3年間におけるルイス・エンリケの風貌の変化を連続写真で掲載した。
 
 少しずつ白髪と皺が増えていく写真の数々。笑顔の写真は、ただのひとつもない。そういえば、何度も出席した記者会見で、心から笑った顔を、思い出すことができない。

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最終更新:3/6(月) 16:42
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