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【セルジオ越後】“キング”たる所以を証明し続けるカズ。その称号を受け継ぐ若手が見当たらないのは寂しいね

3/7(火) 16:30配信

SOCCER DIGEST Web

カズは“日本サッカー界のバロメーター”と言える

 J2の開幕戦で、大きな話題を呼んだのは、当日に50歳の誕生日を迎えた横浜FCのカズだったね。松本山雅との一戦に先発し、さらに2節のV・ファーレン長崎戦でもスタメン出場して注目された。
 
 どんな時も努力を怠らないで、ストイックに自らを高めてきた彼だからこそ、50歳という大台に乗ってもプレーを続けられる。改めて“キング”の偉大さを感じたよ。
 
 横浜FCに移籍してからのカズは、フットサルの日本代表に選出されるなど多くの話題を提供した。ただ、思い返せば1998年のフランス・ワールドカップのメンバーから落選し、そこから数年は不遇の日々を過ごした。ヴェルディから0円提示を受けた後は、クロアチアで結果を残せず。そしてサンガ(99~2000年に在籍)でも戦力外通告された。
 
 この頃はなかなかメディアに登場しない“消えた時期”であったわけだが、一方で、当時はヒデ(中田英寿)や(中村)俊輔、小野(伸二)らがヨーロッパで活躍するなど、日本サッカー界にとっては華の時代だった。良い意味での世代交代が行なわれていた。
 
 でも、現在は時代が逆戻りしている気がする。正直、今のサッカー界にカズと同じくらい注目を集められる選手はいないよ。海外組の多くはベンチ生活が続くし、国内にはひとりでインパクトを残せるような人材は見当たらない。だからメディアはこぞってカズに飛びつくわけだ。
 
 例えるならカズは“日本サッカー界のバロメーター”と言えるんだ。多くのタレントが集まり、サッカー界が元気な時は、彼にまつわる記事は少なくなるけど、今のように暗い話題が先行すると、取り上げられるケースが増えていく。つまり、彼の露出度で、サッカー界の盛衰が分かるんだ。

Jリーグのレベルが心配になる。

 もっとも、そう考えるとカズの功績はさらに大きくなる。Jリーグ開幕当初から日本サッカーを引っ張り、今でもサポーターに話題を提供しているのだからね。ワールドカップに出られなかった選手で、ここまで賞賛されるプレーヤーは他にいないんじゃないかな。リーグやメディアは彼に感謝しなければいけないよ。
 
 でも、最近は純粋にプレーヤーとして評価されているわけでもないよね。そもそも近年のカズは、年に1~2ゴールを奪えれば良いレベルになっている。それでも50歳の選手よりも観客を惹きつけられる人材がいないのが、Jリーグの現状なんだ。周囲からレベルが低いと言われてもしょうがないよね。
 
 バルセロナの下部組織から日本に戻った久保建英を新たなアイドルにしようとの流れはある。でも、彼はまだ原石であって、目に見える実績を残したわけではない。それなのに“元バルサの逸材”や“神童”など、メディアが無理やりに煽っているようにしか見えないよ。
 
 野球界の大谷翔平のような実力も伴った本当のスターへと成長してくれれば良いんだけど……。
 
 加えて今のJリーグはベテランの選手にしかスポットライトが当たっていないよね。オフにはジュビロに移籍した俊輔やFC東京へ移った大久保嘉人、グランパスに新天地を求めた佐藤寿人ら、30代を超えた選手ばかりが注目された。国内の若手が、高い移籍金を積まれて他チームに引き抜かれるケースなんて皆無に等しい。

“キング”の称号を受け継ぐのは……。

 それに“キング”の称号だって本来は誰かが受け継がなければいけないんだ。
 
 例えばブラジルであればペレはいまだに別格の存在だけど、彼の後継者と目される選手は多く出てきているよね。日本にもそういう人材が生まれてほしい。自分よりキャリアのある選手たちを見上げているばかりでなく、その場から引きずり下ろしてやろうという野心を持ってほしいよ。
 
 このままだとカズは何歳まで現役で頑張ればいいのか分からない。僕としては、ボロボロになる姿は見たくないんだ。可能であれば、彼らしくプレーをできる状態で、綺麗に引退してもらいたい。そのためにも後継者と言えるような選手が必要なんだ。

最終更新:3/7(火) 16:30
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