ここから本文です

マクラーレンの新型、720Sが早くも日本デビュー

3/9(木) 20:40配信

GQ JAPAN

英国のスーパースポーツカー、マクラーレンに新型「720S」が加わった。最高出力720psのV8エンジンを搭載してクラス随一の加速を手に入れたと同時に、バリアブル・ドリフトコントロールなる新機構も登場した。

【マクラーレン 720Sの動画とフォトギャラリーはこちら】

■世界最高のスーパースポーツを作る

マクラーレンは、新型720Sを3月7日にジュネーブでの発表すると、翌8日には東京に実車を持ち込んでお披露目した。ハヤッ。「世界各地で同じことをやっているのですか」という質問が出席したジャーナリストから出たほどだ。

当日発表会に出席したのは、マクラーレン・オートモーティブのアジア・パシフィック担当マネージングディレクターのジョージ・ビッグス氏。その質問に対して、「東京だけです。なぜなら特別なマーケットですから」と答えた。世界のなかでも常に売り上げ5位以内で、マクラーレンにとっても大きな市場である日本。それだけに販促には力が入っているということか。

同社のラインナップでは「スーパーシリーズ」という高性能モデルのカテゴリーに入る新型720S。高セールスを期待できるだけの濃い中身がある。先代650Sよりも18kg軽量化した新世代のカーボンモノコック「モノケージII」の採用にはじまり、エンジン部品を41パーセントも刷新したという4リッターV8エンジンは、最高出力720psと最大トルク770Nmという超ド級のパワーを生み出す。魅力はそれだけにとどまらない。

なんといっても最大の注目の装備は「バリアブル・ドリフトコントロール」。ドライブモードで“スポーツ”か“サーキット”を選ぶと作動し、ドライバーはダイヤルでドリフト量(スリップアングル)を決めることができる。設定した範囲を超えるとブレーキと出力制御が働き、車両姿勢は安定方向に戻るというユニークなものだ。加えてエアロダイナミクスやサスペンションシステムも一新。「さらに先へと一歩踏み出した」とマクラーレンは胸を張る。

「F1マシンを手がけてきたノウハウを活かして世界最高のスーパースポーツを作るのが私たちの使命」

そう語るのは、英国本社から来日した担当者だ。東京・青山での発表会に参列し、GQ独占のインタビューでは興味ぶかいエピソードを披露してくれた。

■ワクワクが止まらない

「同じスーパーシリーズの先代モデルである650Sよりも軽く、速くなって、性能は大幅に向上しています。それだけではありません。車内のスペースと洗練性、ならびにドライバーとクルマの一体感が増しました。ドライバーをワクワクさせる機能の豊富さは比類なきレベルにまで達しています」

発表会のために本社から来日したリージョナル・セールスマネージャーのピーター・セル氏が車両の解説をしてくれる。

ひとクラス上のクルマと同等かそれ以上の加速性を謳う720S。静止から時速100km/hまではわずか2.8秒(!)とめっぽう速い。くわえて、バリアブル・ドリフトコントロールの装置があり、エンジンを暗闇で浮かびあがらせる照明の演出もある。

「なにより大事に思っているのは、ほかにはないドライビングエクスペリエンスを与えることです。ピュアなスポーツカーにそんなものは必要ないと思いますか?」

セル氏が笑顔で逆にそう問いかけてきた。そして話を続けた。

「マクラーレンに乗ることは特別な体験です。それを重要視しています。ですのでケンブリッジ大学の数学教授と6年かけてアルゴリズムを研究し、今回のバリアブル・ドリフトコントロールを完成させました」

では、天井までガラスが回り込んでいることや、エンジンルームの照明などは必要なのか。セル氏はそれにも「イエス」と答える。

「グラスルーフにしなければ重心高がもっと下がるのでは?というご意見もあるでしょうが、テストの結果、差はごくわずかでした。むしろキャビンのガラス面積を大きくしたことでドライバーの視界が向上し、操縦性に寄与していると自負しています」

なにしろ720Sは650Sより18kgも軽量化している。装備が増えても重量増のペナルティは軽微だ。

「2016年に発表した570GTで、(前方に跳ね上がる方式の)ディヘドラルドアに、ソフトクローズ機構を追加したことがありますが、そのときエンジニアは“重量が増える”と危惧を口にしました。しかし徹底した軽量化をしたおかげで、機構のない個体からの重量増はわずか120グラムでしかありませんでした(笑)」

マクラーレンの軽量化とはそういうレベルのものだ、と胸を張ったのだった。さらに興味深い話が続く。

■無駄なデザインはいっさいありません

720Sは、空力へのこだわりも徹底的だ。ドア下部にはF1マシンを思わせる整流板「ダブルスキン」を備え、フロントホイールアーチからリアへの空気の流れをスムーズにする。

アイソケット(眼窩)とマクラーレンが呼ぶ大きめのヘッドランプ・ユニットには、ラジエターへの空気採り入れ口が設けられているのもあたらしい。おかげでフロント・エンドのすっきりぶりは比類ない。「無駄なデザインはいっさいありません」。英国本社から来日したピーター・セル氏がふたたび胸を張ったゆえんである。

720Sでマクラーレンはどんなマーケットに入っていこうとしているのか。その質問に対して、アジア・パシフィックのマネージングディレクターを務めるジョージ・ビッグス氏は「スーパースポーツカー」と端的に答えてくれた。

「たとえばランボルギーニ カウンタックは性能も見かけもすごかったけれど、街中で運転したいと思えませんでした。720Sはサーキットでも楽しめるいっぽう、荷物もたっぷり積めるので週末旅行にも行けます」

あれかこれか、選択の幅が限られているクルマでない、とブリッグス氏は言う。なんでも出来るのがマクラーレンのスーパースポーツだと言うのだ。

720Sをほかのプロダクトにたとえると? そんな質問をブリッグス氏になげかけてみた。

「(しばし考えて)2つ思い浮かびます。ひとつはチャールズ・イームズ(1907年-1978年)がハーマンミラー社のためにデザインしたチェア。斬新な発想で合板などの素材の新しい可能性を実現しました」

「もうひとつはライカの(M3やM4といった)カメラ。写真家たちがライカですぐれた作品を作り、ライカという名を聞くと、みながそんなヘリティッジを思い浮かべます」

「マクラーレンにも、F1や、(創設者のニュージーランド人)ブルース・マクラーレン(1938年-1970年にテスト中に事故死)といったヘリティッジがあります。最新のスポーツカーであっても、そういう歴史を想起させるところがライカに似ていると思います」

マクラーレン720Sは、2017年7月からデリバリーがはじまる。スタンダード、パフォーマンス、ラグジュアリーの3機種が用意され、価格は3338万3000 円(税込)からの予定だ。

文・小川フミオ 写真・塚原孝顕

最終更新:3/9(木) 22:12
GQ JAPAN

記事提供社からのご案内(外部サイト)

GQ JAPAN

コンデナスト・ジャパン

2017年9月号
2017年7月24日発売

600円(税込)

『ベイビー・ドライバー』主演、アンセル・エルゴート登場/クルマが恋人の若者たち/10トップワールドニュース/三越ワールドウオッチフェア“明日”のヴィンテージ時計