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バルサ、「歴史的逆転劇」の要因。引いてしまったPSG、4点リードで生まれた消極性

3/9(木) 11:55配信

フットボールチャンネル

 チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦2ndレグにおいて、バルセロナはパリ・サンジェルマン(PSG)を相手に6-1で勝利を手にした。この結果、2戦合計6-5でバルセロナの勝ち抜けが決定。4点差というビハインドをひっくり返したバルセロナの強さの要因とは?(文:海老沢純一)

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バルサ攻略法を見出していたエメリ監督

 奇跡なんて起きない。

 誰もが口では現実的な言葉を発していても、心のどこかに「でも…」という思いを抱かせるチームがある。長い歴史を経て積み重ねた芯の強さを持つチーム、それがバルセロナだ。

 ただ、何の理由もなく勝利できるような舞台はない。特にチャンピオンズリーグという世界最高峰の舞台では、勝利にも敗戦にも、その結果を生んだ要因が明確に存在する。

 パリ・サンジェルマンを率いるウナイ・エメリ監督は、昨シーズンまで率いていたセビージャで一度、バルセロナの攻略法を見出している。

 一般的に、攻撃力の高いチームに対して力の劣るチームが勝負を挑む際には、守備に力を注ぎ全員が自陣に引きこもるのが常套手段ともいえる。しかし、攻撃力のみならず支配力の高いバルサに対してこの手段を使えば、たちまち試合を支配され、格好の餌食となってしまう。

 昨シーズン、セビージャの指揮官としてホームにバルサを迎えたエメリ監督は、引くのではなく前に出てプレッシャーをかけることでバルサのビルドアップを封じ、ショートカウンターから効果的に得点を挙げることで金星を手にした。

 その感触を持って今シーズンから率いるPSGでバルサと対峙したエメリ監督は、CLラウンド16の1stレグにおいて、4-0という衝撃的な勝利をつかんだ。

4点というリードが生んだPSGの不安

 そして迎えたカンプ・ノウでの2ndレグ。PSGは4点という大きなアドバンテージを持ちながらも、エメリ監督の心にも、選手たちの心にも「でも…」という思いが残っていたのかもしれない。

「90分間、4点を守り切ればOK」。普通なら、それは難しいミッションではない。しかし、「でも…」という思いがPSGの重心を後ろへと押し下げ、バルサの力を引き出す展開へと導いていった。

 1stレグと2ndレグの前半15分までのスタッツを比較してみると、PSGは1stレグではバルサ陣地で46%のプレー割合を記録していたが、2ndレグではわずか20%。ホームとアウェイという違いも大きいが、スコアがクリアな状況では前へと足を運べていたが、4点という“ややセーフティ”なアドバンテージを得たことで、「引く」という選択をしてしまった。

 ディ・マリアのベンチスタートも引いた理由の1つだろう。カウンターでは圧倒的な切れ味を発揮するPSGの“牙”とも言えるディ・マリアをベンチ置いた状況では、積極性より消極性が勝ってしまう。

 逆にバルサは、前半の15分間で1stレグではわずか26%だった敵陣でのプレー割合が2ndレグでは69%を記録。本来の支配力を発揮するための大きなスペースを得たバルサは徐々にPSGの精神を削っていった。

 3-4-3のシステムで敵陣へと押し込むバルサに対して、PSGは大きく後ろへと後退していく。PSGは本来4-3-3のシステムだが、ドラクスラーとモウラの両ウイングは後ろへと押し下げられ、4-5-1という状態となっていった。

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