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父の死を予測できていた可能性!? 北朝鮮・金正男氏の息子、ハンソル氏の微表情を分析

3/9(木) 16:30配信

HARBOR BUSINESS Online

 こんにちは。微表情分析者、空気を読むを科学する研究所代表の清水建二です。

 マレーシアで殺害された金正男氏の息子であるハンソル氏とされる人物の動画が、日本時間2017年3月8日、YouTubeに公開されました。

 この人物(ハンソル氏と仮定して以下記述します)の表情分析を行いました。分析に用いた動画は上記のものになります。

 結果、次の2点のことが推察されました。

 金ハンソル氏は、

①父親が亡くなったことに対する実感がない、もしくは父親が亡くなることへの心の準備が出来ていた

②自分の状況よりも祖国を取り巻く状況が改善されて欲しいという想いを抱いている

 以降、2点についてそれぞれ解説します。

◆父親の死をある程度予見していた可能性

 まず、①についてです。常識的に考えれば、肉親が亡くなったら悲しみという感情が生じると考えられます。

 公の場であったとしても(本動画の場合も、撮影者や他者の存在を意識した公の場と考えられる)、抑えても抑えきれない悲しみの感情の痕跡が生じるのが普通です。しかし、キム・ハンソル氏の表情からは悲しみの表情を視認することが出来ません。

 その理由を推察すると、一つは、いくつかの報道にあるように、動画公開の時点ではハンソル氏がまだ父親の遺体に対面できていないため、父の死に対する実感がないのではないかと考えられます。

 もう一つの理由としては、父親の死が起こり得るという予感をハンソル氏が抱いていたため、父親が亡くなったという連絡を受けても、それをすぐに受け入れることが出来たのではないかと考えられます。

 父親が亡くなっても全く悲しくないという可能性もゼロではないですが、ハンソル氏と正男氏は仲が良いとの事前情報が知られていることから、この理由を除外することが出来ます。

 また、心が張り裂けるほど悲しいにも関わらず、それを表情もしくは微表情にさえ見せないで振舞うことが出来る人間である可能性もゼロではないです。しかし、こうした表情コントロールが出来る人間は稀です。したがってこの可能性も低いと考えることが出来ます。

◆彼の身を案じる人々への気遣い、大局的な人物像

 続いて、②についてです。本動画の最後の方で、ハンソル氏は、状況が良くなることを望む旨の発言をしながら、口角を引き上げ、笑顔を見せます。

 この笑顔がみられる一瞬前、下唇が引きあがりアゴにしわが形成されています。このアゴのしわは、普通の笑顔には表れることのないものです。これは、口角を意識的に引き上げようとした結果、起きたものだと考えられます。つまり、この笑顔は努力の結果、生み出された表情だと考えることが出来ます。

 なぜ意識的な笑顔が作り出されたのでしょうか?

 繰り返しになりますが、肉親が亡くなった場合、悲しみ感情を抱くことは普通ですし、その表情をストレートに顔に出すことに何の問題もありません。

 ここでハンソル氏が本メッセージを発信した理由を考えてみます。

 本動画は、ハンソル氏を気にかけている人々に向けて発信されたメッセージです。ハンソル氏はおそらく「私を気にかけてくれている人々は、私の身と心の状態を案じ、私を心配しているだろう」と考えながらメッセージを発信していたと思われます。

 このことを考慮すると、ハンソル氏の意識的な笑顔は、自分を心配してくれている人を安心させるための利他的な笑顔だと考えられます。

 肉親を失った自分の苦境は自己解決できる、今回の件で、苦境に立たされている人々や祖国の改善を願う、そんな大局的な視点を持つ人物像が推察されます。

◆口元が隠された間に語ったことは?

 以上が表情分析結果の大枠です。そして、その他のことについて推察できることを補足します。

 時折、目線が逸らされる動きと話しながら手を宙に動かす動きが、本動画に散見されます。

 例えば、「父親が数日前に殺された。」という発言をする前に目線が逸らされます。その後に続く発言において、手を宙に動かしています。これらの動きは、私たちが「今・ここ」で言葉を紡ぎだしているときに生じる現象です。

 つまり、ハンソル氏は本動画を撮影するときにメッセージの大枠となるものは予め用意していたと思われますが、具体的な言葉や単語の使いまわしは、撮影している瞬間に紡ぎだしていたと考えられます。

 動画の27秒から32秒の間、ハンソル氏の口元が隠れ、音声も消えているため、どんなことが語られたのかわかりません。しかし、31秒から32秒あたりにかけてハンソル氏の口角が引き上げられ、目の周りの筋肉が収縮しています。これは先の意識的に形成される笑顔とは違い、本心から自然に生じた笑顔の表情筋の動きです。何かポジティブな気持ちになるようなことを語っていたのだと考えられます。

◆信頼している人物について言及していた可能性

 このことをハンソル氏の言語情報と合わせて考えると、

 「父親が数日前に殺された。」→「今、母親と妹と一緒にいる。」→「…に感謝している※」→27秒から32秒のブランク→「状況がよくなることを願っている」(※we are very grateful to…の後、音声が消える)

 という流れから、感謝の相手に対する言及、特に心からの笑顔が出てくる感謝・信頼している人物・行為に対する言及があったのではないかと推察します。

<文・清水建二>

【清水建二】

株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマの監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。

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最終更新:3/10(金) 20:24
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