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“次の東芝”は誰でも見つけられる!オリンパス、山一證券……決算書から「粉飾企業」を見破る方法

3/11(土) 16:20配信

HARBOR BUSINESS Online

 粉飾決算が明らかになる企業が増えている。その数は2011年から5年連続で増加し、2016年10月時点で5年前の3倍にあたる48件の粉飾が開示され、しかも、そのうち約半分の23社が東証一部上場企業だった。

⇒【資料】粉飾決算の定量的要因

 最近では7000億円規模の減損損失による債務超過への転落と、中核を担う半導体事業の売却問題が取りざたされている東芝が2015年に押し込み販売などの不正を認めた。

 企業を経営難に追い込み、株主に多額の損失を被らせる粉飾決算にはどのような種類があるのか? 現役東大生にして、3月12日発売の新刊『東大式 スゴい[決算書の読み方]』著者の大熊将八氏がその見分け方を徹底解説する――

 そもそも粉飾決算とは「有価証券報告書の虚偽記載」に等しく、金融証券取引法の197条1項1号には「(有価証券報告書の虚偽記載)10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科する」とある。

 違反した場合は刑事罰の対象となり、規制当局である証券取引等監査委員会によって課徴金を負わされ、上場廃止の要件のひとつにも挙げられる。つまり粉飾は厳しく取り締まられ、ハイリスクな行為ということだ。

 にもかかわらずなぜ、粉飾決算が後を絶たないのか? その動機をまとめると、

・経営陣が赤字回避を狙い損失を隠したり利益の水増しを行う

→東芝、オリンパス、ライブドア、日興コーディアル證券、山一證券など

・経営者の掲げる無理な利益目標を達成するために現場が不正に走る

→東芝、リソー教育など

・ガバナンスの不備をついて子会社の経営陣が不正する

→江守グループホールディングスや沖電気など

・過去から続いてきた不正を経営陣が引き継ぐ

→カネボウなど

・時価総額を釣り上げ、経営者や関係者が儲けようとする

→ベンチャー企業が多い

 となる。利益をよく見せることで短期的には儲かったり、保身できるステークホルダーが多数存在するからこそ、粉飾がなくなることはないのだ。

 それでは、どんな手口が使われるのだろうか?

 粉飾の大半は「利益を大きく見せること」である。利益はある期間における企業の「収益-費用」で決まる。

 また、ある期間における企業の持つ「資産の増加分から負債の増加分をを引いたもの」とも定義される。そのため粉飾は、

・収益・資産を水増しする

・費用・負債過少計上する

・その他

の3パターンのうちのどれかに該当する。

 しかし、大半は「収益・資産を水増しする」であり、「費用・負債過少計上する」のは、主に多くの連結子会社を抱える大企業が子会社を使って損失を隠すケースで見られる。かなりレアなケースだ。

 それぞれのパターンについてさらに詳しく解説していきたい。

◆売上の水増しを行う方法

 まず、「売上債権の架空計上=売上の水増し」から見ていこう。このケースでは、注文されていない商品を無理やり関連会社や懇意にしている取引先に納品し、代金は受け取らないまま売上に計上する「押し込み販売」や、関係会社間でお金と伝票だけをぐるぐる循環させ、実際の商品は納品されないが売上だけ積み上げる「循環取引」。そして、工事費総額を故意に過少に見積もることで売上を押し上げる「工事進行基準(の濫用)」の3つが挙げられる。ちなみに今回、東芝は3つともすべて行っていたとされる。

 このパターンでは、作られた架空売上がそのまま純利益の増加分となるので、利益率が不自然に高くなる。押し込み販売が行われていた東芝のPC事業では、実際の売上高を上回る営業利益が計上されていた。

◆資産の架空計上を行う方法

 次に資産の架空計上について確認したい。まず、在庫そのものを架空計上したり、今ある在庫について過大評価したり、評価損を計上しないというやり方が存在する。

 あるいは本来費用として計上すべきものを「繰延資産」として計上するやり方があり、総額800億円もの粉飾を行っていたカネボウはこのスキームを使っていた。また、親会社の損失を子会社に飛ばし、「のれん代」として計上するスキームがあり、これはオリンパスが手を染めたケースである。

 資産の水増しも売上の水増しと同様、水増した分だけ見かけ上の費用が減り純利益が増加するので利益率は非常に高くなる。

 大半の粉飾は売上か資産の水増しによるものだが、これらは公開情報か見抜きやすい。

 不自然に売掛金や棚卸資産が膨らむので、「売上債権回転期間」(売上債権/売上高)「棚卸資産」(在庫)回転期間」(棚卸資産/売上高)という指標を見て、それがずっと上昇傾向にあれば要注意だ。東芝についてはこの指標が2010年を境に急上昇していた。

 また、有価証券報告書には「営業キャッシュ・フロー」という項目がある。これは、

「純利益+減価償却費や減損損失(お金の支出を伴わない損失)+仕入債務(未払いの債務)の増加-売掛金の増加-棚卸資産の増加」

 から決まる指標だ。

 これがマイナスになっていたら異常な経営実態を疑うべきである。売上・利益が絶好調だったのに、中国の子会社での循環取引が明らかになり民事再生申請中になっている福井県の専門商社・江守グループホールディングスは営業キャッシュ・フローの赤字が膨らんでいた。

◆認められない項目の売上計上

 他には子会社の預金を親会社の売上に付け替えたり、株式を売却して得た利益を売上に算入したりといった具合に、売上に認められない項目を計上するという手法もあり、これはライブドアが犯していたことが知られている。



 まだ確定しない売上を先行して計上するという不正もよく行われ、利益の先食いとも言われる。粉飾であると断定されたわけではないが、2009~2010年度にかけてのシャープが、当時エコポイントによる特需によって黒字転換を果たしていたが、その後、一気に巨額の赤字を計上した。

 これも「棚卸資産回転期間」を見ると急増しており、在庫が積み上がっていたことがわかる。拙著『東大式 スゴい[決算書の読み方]』でも紹介しているが、回転期間の分析は粉飾企業や経営難になる企業を見抜くのに大変有効である。

◆費用負債の過小計上

 続いて、費用・負債の過少計上について見ていこう。これは、本来費用として適切に計上すべき減価償却費や減損損失、引当金といった項目を計上しないパターンと、子会社などへ損失を飛ばす手法に分かれる。

 費用が圧縮された分、資産と利益が増える。関連会社を使って損失を「飛ばす」手法は大企業がよく使い、粉飾額も膨らみがちだ。過去には計2700億円ともいわれる粉飾を行っていた山一証券から、日興コーディアル證券、そしてオリンパスにライブドアなど、有名な粉飾企業が並ぶ。

 日本の大企業は海外進出に活路を求め、買収によって海外子会社をどんどん増やしているところも多いため、この種類の粉飾が起きることは引き続き懸念される。また、海外買収を進めると、「のれん代」が膨らんでいくので、「減損損失」に関する認識のリスクも増える。粉飾でなくても、むしろ一気に減損損失が計上されないかにも注意が必要だ。

 その他には、上場廃止基準に触れる持株比率だったのに、有価証券報告書に虚偽記載を行っていた西武鉄道のケースなどがある。この場合は一発で上場廃止となった。

 ここまでは有価証券報告書に記載された文言や数値の不正を述べてきたが、有価証券報告書を作るもとの資料となる帳簿そのものを書き換えたり、預金残高を偽る粉飾というのもありえる。この場合は、監査法人などもグルになっていることが多く、外部から事前に発見したり、兆候をつかむことは極めて困難であり、内部告発の仕組みをさらに整えていくことで発見が可能になっていく。

 ただ、ここまで見てきたように大半の粉飾については、粉飾額が大きい場合は資産の回転期間分析や営業キャッシュ・フローの分析により兆候は発見可能だと言える。大抵の粉飾は複数のスキームを同時併行しており、ひとつの違反が見つかると芋づる式に他も発覚することがある。中小企業を中心に大半の粉飾は循環取引などを使った売上か資産の水増しであり、大企業の場合は費用の過少計上も多い。「貸借対照表(BS)」を見て、のれん代や繰延資産などの項目で不可解な計上がないかどうかを見極めることが有効だ。

<文/大熊将八>

おおくましょうはち○国内外の企業分析を行い、「週刊文春」「現代ビジネス」「東洋経済オンライン」「ハーバービジネス・オンライン」」などに寄稿。東大・京大でベストセラーの企業分析小説『進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。3月12日には新刊『東大式 スゴい[決算書の読み方]』を発売予定。twitterアカウントは@showyeahok

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最終更新:3/11(土) 17:14
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