ここから本文です

【千葉】名古屋との大一番で示した確かな進化、そして新たな光明とは

SOCCER DIGEST Web 3/12(日) 19:54配信

不用意なボールロストが格段に減っていた。

 ハイライン・ハイプレス。ジェフ千葉の新戦術をひと言で伝えるなら、この表現が最適だ。

【PHOTO】千葉が強敵・名古屋を相手に完勝!

 
 必然的に運動量は多くなる。CBの走行距離がひとりあたり10キロを超える試合は珍しくなく、ゲーム中盤に体力が底を付くこともしばしば。前節のモンテディオ山形戦(1-1の引き分け)も終盤に息切れし、相手の動きにまるで付いていけなくなった。そうした意味で3節の名古屋グランパス戦は、結果だけでなく、内容も含めてポジティブに捉えられる。
 
 序盤から主導権を握ったのは千葉だった。前節同様に高い位置からハイプレスを発動。最終ラインもハーフウェーラインまで押し上げ、つねにコンパクトな陣形を保った。その結果、こぼれ球への反応が良くなり、FW町田也真人を中心にショートカウンターを効果的に仕掛けられた。
 
 しかし、この試合で千葉が“進化”を見せたのはそれ以外の部分だ。とにかく、ボールを奪われなかった。「本当に今日は自信を持ってプレーする選手がほとんどいなかった」と振り返ったのは敵将・風間八宏監督。名古屋の出来そのものが良くなかったのは確かだが、不用意なボールロストが格段に減っていた。となると、必然的にプレスを掛ける回数が少なくなる。最終ラインもハーフウェーラインから自陣に戻るシーンが減り、体力の消耗を最小限に留めることができた。
 
 そして1点リードで迎えた後半のアディショナルタイム、MF清武弘暉が追加点を挙げた。ロングスローの流れからショートカウンターを仕掛けると、町田が自陣から一気に駆け上がる。ゴール前に丁寧なラストパスを送って、試合を決定付けた。体力が残っていなければ、あそこまで走り切れなかったはずだ。
 
 また、開幕からの2試合は終盤に足を攣る選手が出たが、名古屋戦では最後までアクシデントは起こってない。この事実を見ても、いかに余力を残していたかが分かる。
 

ハイライン・ハイプレスがきっかけを掴んだ日。

 試合後、フアン・エスナイデル監督も充実の表情を見せた。
 
「名古屋は短く繋いでくるし、足下が巧いチーム。ただ、僕らがやりたいサッカーは、前からプレスに行くこと。そのなかで我々の良いところが出て、相手の良いところが出なかった。その意味では、彼らより僕らのほうが上だった。でも、名古屋も良いチーム。彼らが思うようなサッカーをしていたら、我々はもっと走らなければならなかった」
 
 ピッチに立った選手たちも手応えを口々に話し、FW船山貴之は「全体的にボールを楽に支配できた。なので、今日はあんまり疲れなかった」と振り返る。
 
 夏場にこのサッカーをやったら、どうなるんだろう。キャンプ中はこんな不安まじりのコメントがちらほら聞こえていた。町田も開幕前に「裏には広大なスペースがあるので、ディフェンスの3枚は怖いと思う」と話していたし、実際に開幕2試合はその課題が顕著で、不安が大きかったのは確かだ。それでも、新たな戦い方を見せられたことで、戦術の引き出しが増えた。
 
「勝つことによって、次の週の練習も上手く行く」とエスナイデル監督。J1昇格のライバル・名古屋から勝利を得たことで、新たな自信を得た。
 
 ハイライン・ハイプレスがきっかけを掴んだ日──。いずれ今回の名古屋戦は、そう位置付けられるのかもしれない。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)

最終更新:3/12(日) 19:55

SOCCER DIGEST Web