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バフェット氏による「株主への手紙」、最新版を読む

3/12(日) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

◆株主へ毎年送る「株主への手紙」を公開

 2017年2月25日、米国著名投資家、投資会社バークシャー・ハザウェイCEO、ウォーレン・バフェット氏が、バークシャー・ハザウェイの株主へ毎年送る「株主への手紙」を公開した。(参照:バークシャー・ハザウェイ)

 2016年、バークシャー株は23.4%上昇し、ベンチマークのS&P500(配当込)の+12.0%を大きく上回った。バークシャー社の1株当たり純資産は10.7%増加した。1965年から2016年の52年間で、S&P500(配当込)は年平均+9.7%の増加ペースであったのに対して、バークシャー株はそれを大きく上回る年平均+20.8%で増加した。

 S&P500(配当込)とファンド・オブ・ファンズとの運用成績を比較し、S&P500(配当込)の方が優れていたことを後述するが、ここでは、S&P500(配当込)よりもバークシャー・ハザウェイの方が、パフォーマンスがはるかに上回っていたことを、頭に入れておきたい。

◆初のネットライブ中継を行った去年の総会

 昨年、バークシャー・ハザウェイは、Yahoo!を通じて、初めて、年次株主総会のインターネットライブ中継をおこなった。筆者も、本サイトで、「バフェット氏率いる「バークシャー・ハザウェイ」株主総会、初めてインターネットでライブ中継」と題した記事を配信し、株主はネブラスカ州オマハまでわざわざ行かなくても、また、株主でなくても、バフェット氏の生の声を視聴できたと紹介した。次株主総会のインターネット配信が、総移動時間や費用から見ても、いかに利便性の高いものであるかも記した。

「株主の手紙」を読むと、インターネットでライブ中継は成功し、リアルタイム視聴では110万回のユニークアクセス、リプレイでは1150万回のアクセスを記録し、株主総会出席者を前年の10%減の約37,000人に減らしたという。費用の倹約は、インターネット中継の3つのメリットのひとつに過ぎないのである。また、次のように高齢や宗教上の理由からもインターネット中継は支持された。

“Berkshire’s thank-you mail for initiating the webcast included many notes from three constituencies: the elderly who find travel difficult; the thrifty who find it expensive to travel to Omaha; and those who cannot attend a Saturday meeting for religious reasons.”(ウェブキャストを開始したバークシャーへの感謝のメールには、3つの支持層からの多くのメモが含まれていた。旅行が難しいと感じる高齢者、オマハに旅行するのに高価だと思った倹約者、宗教上の理由から土曜日の会議に出席できない人である)

◆低コストのインデックスファンドを推奨

 今年のバフェット氏による「株主への手紙」の中で、筆者が一番印象深いのは、5つのヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズ(注:複数のファンドへ投資するファンド)とS&P500インデックスファンドを比較して、ヘッジファンドが多額の運用報酬を得るにもかかわらず、コストが安く市場全体の値動きと連動するS&P500インデックスファンドよりも2008年以降の運用成績が劣っていると指摘している““The Bet”(or how your money finds its way to Wall Street)”(“賭け”―どのようにあなたのお金がウォール街に流れるか) の箇所である。

 2008年以降の9年間で、バフェット氏が選んだS&P500インデックスファンドは85.4%上昇したのに対して、5つのヘッジファンドの平均は+22%に留まった。

 ここで、筆者が注意すべきと考える点は、ヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズはアクティブファンドでもあるが、アクティブファンドとS&P500インデックスファンドとの比較が論点では無いということ。すなわち、ここでは、アクティブファンドによる銘柄選定や売買のタイミングの拙さが市場平均のS&P500インデックスファンドに劣る理由であるとは言っていない。以下の通り、ファンド・オブ・ファンズであるために、単一のファンドマネジャーによる銘柄選定や売買のタイミングの巧い・下手は打ち消される。

 “The five he selected had invested their money in more than 100 hedge funds, which meant that the overall performance of the funds-of-funds would not be distorted by the good or poor results of a single manager.”(彼が選んだ5つのファンド・オブ・ファンズは、100を超えるヘッジファンドに資金を投資した。これは、ファンド・オブ・ファンドの全体的なパフォーマンスが、単一のマネージャの良い結果と悪い結果によって歪まないことを意味した。)

 論点は、ヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズとS&P500インデックスファンドとの比較である。ヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズがS&P500インデックスファンドに劣る理由は、ヘッジファンドのファンド自体及びファンドの構成ファンドとなるファンドに売買手数料、成功報酬がかかってくるからである。バフェット氏はヘッジファンドの高額報酬を批判しているのだ。

“My calculation, admittedly very rough, is that the search by the elite for superior investment advice has caused it, in aggregate, to waste more than $100 billion over the past decade.”(非常にラフな私の計算では、優れた投資アドバイスのためのエリートによる調査により、過去10年間総額で1000億ドル以上を無駄にしている)とバフェット氏は主張する。

 バフェット氏は、“My regular recommendation has been a low-cost S&P 500 index fund.”(私の推奨はいつでも、低コストのS&P500インデックスファンドであった)としている。

 バフェット氏は、上記の通り、S&P500インデックスファンドを推奨しているが、バークシャー・ハザウェイの方がS&P500よりもパフォーマンスがはるかに上回ってきたことは驚異的である。

 S&P500インデックスファンドやバークシャー・ハザウェイ株が、投資対象として検討に値しよう。

<文/丹羽唯一朗 illustrated by DonkeyHotey via flickr(CC BY 2.0)>

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最終更新:3/12(日) 14:41
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