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「超・人手不足」の物流業界を救う3つの大革新

東洋経済オンライン 3/14(火) 8:00配信

「ヤマト運輸の労働組合が宅配便の荷受量の抑制を要求」というニュースに象徴されるように、物流現場の人手不足、疲弊が問題になっている。人手不足解消のカギともなりそうなのが、デジタルテクノロジーによるロジスティクス変革だ。
特定のIT領域それぞれについて、5年先までの進化を予想する『ITロードマップ 2017年版 情報通信技術は5年後こう変わる!』を上梓した気鋭のITアナリストが、「デジタル・ロジスティクス」の近未来を展望する。

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■悲鳴を上げる物流サービス

 ネット通販市場の拡大により急増する荷物と人手不足で、物流業界が悲鳴を上げている。

 宅配便最大手のヤマト運輸の労働組合が、2017年の春季労使交渉で会社側に宅配便の荷受量の抑制を求めるという事態も発生している。ヤマト運輸のグループ全体の従業員数は、10年前と比べて3割増えている。それでもなお人手不足は深刻化しており、ネット通販を支えてきた従来の物流サービスは限界を迎えている。

 経済産業省の調査によると、2015年の国内の物販系分野におけるBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は7.2兆円。前年比6.4%増である。このうち、スマートフォンを経由したネット通販が27.4%(約2兆円)を占め、今後も増加する見込みだ。他社との差別化を図るため、たとえば、アマゾン、楽天、ドン・キホーテでは地域限定ではあるものの、すでに注文から1時間以内に商品を届けるサービスを始めている。

 また、国土交通省の調査によると、2015年度のトラック宅配便取り扱い個数は約37億個。2010年からの5年間で約16%も増加している。

 人手不足によりモノが運べなくなる日が迫るなか、悲鳴を上げる物流現場の救世主となる可能性があるのがデジタルテクノロジーによるロジスティクス変革だ。

新たな動きとして期待される3つのトレンド

 ロジスティクスとは、もともと兵站(へいたん)や後方支援を意味する軍事用語であるが、今ではこの概念が企業の経済活動に転用され、「顧客のニーズに合わせて、調達・生産・物流・販売・廃棄を効率的かつ総合的に行うこと」という意味で用いられている。

 ここにきて、ロジスティクスの各領域において、デジタルテクノロジーを用いた新たな取り組みやサービスの創出が始まっている。

 ここでは、ロジスティクスの新たな動きとして期待されるデジタル化の以下の3つのトレンドに沿って、新サービス、ツールの「ロードマップ」を展望する。

・シェアリング・エコノミー型サービス
・自動運転による輸送の無人化(ドローン、デリバリーロボット、トラックプラトーニング=隊列走行自動運転)
・AI・機械学習による物流の自動化と最適化

■「シェアリング・エコノミー型サービス」が物流を補完

 海外を中心に新たな物流サービスとして立ち上がりつつあるのが、個人や企業が保有する遊休資産やスキルの貸し出しを仲介する、シェアリング・エコノミー型サービスの物流版だ。

 ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコで事業を展開する米Cargomatic社は、荷主とトラックドライバーをリアルタイムでマッチングするサービスを提供している。

 荷主が荷物と送付先をCargomaticのWebサイトから登録すると、リアルタイムで見積金額と集荷・配達予測時間が表示される。荷物を運搬するドライバーは専用のスマートフォンアプリを通じて依頼を受けることができる。

 荷主は荷物を早く安く届けることができるようになり、ドライバーはトラックの積載率と稼働率の向上が見込める。シェアリング・エコノミー型サービスの代表格であるUberの物流版ともいえるサービスだ。

 日本でも、ネット印刷サービスを提供するラクスルが、2015年12月に「ハコベル -hacobell-」という運配送シェアリング・エコノミー型サービスを開始している。

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最終更新:3/14(火) 11:00

東洋経済オンライン

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