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【CL勝敗を分けたポイント】レスターが流れを引き戻した「10分間」の攻防

3/16(木) 12:01配信

footballista

スカパー!×footballista ピックアップレビュー

UEFAチャンピオンズリーグ全試合を放送する『スカパー!』と『footballista』がコラボレーション。注目カードの勝敗を分けたポイントを、『footballista』執筆陣が詳細に分析する。


UEFAチャンピオンズリーグ/ラウンド16 第2レグ
レスター 2-0 セビージャ


 UEFAの公式WEBサイトによれば、レスターのボール支配率はファーストレグもセカンドレグも同じ「32%」だった。ところが、試合の印象は180度違った。セビージャがポゼッションで完全にゲームを支配した初戦とは打って変わって、2戦目はレスターらしさが全開だった。

 4分、最初の決定機こそセビージャだったが、ナスリのシュートをGKシュマイケルがセーブすると、そこから流れはレスターに。バーディーと岡崎の2トップが精力的にプレスをかけ、初戦とは違って中盤もしっかりそれに追随し、相手のプレーメーカーであるエンゾンジやナスリから余裕を奪う。ボール奪取後の攻撃もテンポが良く、27分の先制ゴールもインターセプトから素早く左サイドを侵攻し、バーディーがファウルを受けて得たFKからモーガンが決めたものだった。

 これでトータルスコアは2-2。アウェイゴールの差でレスターが優位に立つ。初戦でセビージャ攻撃陣に翻弄され、PKも献上していたキャプテンの汚名返上ゴールは大きな価値を持つ一発だったが、実はそれ以上に、この試合のターニングポイントはハーフタイムを挟んだ「後半開始10分間」の攻防にあった。

 セビージャは後半の頭から2枚の交代カードを切り、ヨベティッチとマリアーノを投入。同時にナスリ、エンゾンジが前半よりも低い位置からビルドアップを開始し、前に人数をかけてファーストレグの“初心”に立ち返り、主導権を奪い返そうとした。心機一転、試合のテンポをコントロールし始めると、53分にエスクデロが放った30m超のロングシュートがクロスバーを叩く。正直、インパクトが大きかったこのシーンを機に、潮目が完全に変わってもおかしくなかった。だが、この日のレスターは心こそ熱かったが頭は冷静だった。わずか1分後、フクスのスローインを受けた岡崎のシュートを皮切りに波状攻撃を仕掛け、最後はオルブライトンが左足を振り抜いてネットを揺らす。この2点目が、セビージャに傾きかけた流れを一気にレスターに引き戻したのだ。

 その後も、ナスリがバーディーを小突いて2枚目のイエローを受けて退場したり、シュマイケルが2戦連続のPKストップで観客席の父ピーターを喜ばせたりと、ドラマはあった。だが、後半最初の10分間でピンチの直後にチャンスを生かせなければ、セビージャが焦ることも、レスターが効果的なカウンターを繰り返すこともなく、試合はまた違った展開になったはずだ。

 そうした意味では幸運な勝利とも取れるが、運は自らの力で引き寄せるもの。レスターにはそれに足るゲームプラン、スピリット、勝負どころを見極める“目”があった。ファーストレグ直後のラニエリ更迭を機に、開き直って昨季の姿を取り戻した感があるプレミアリーグ王者が紡ぐおとぎ話は、もう少し続くことになりそうだ。

(文/寺沢 薫)

最終更新:3/16(木) 12:01
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