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「カーブは投げるな」。WBCで野球の「世界基準」を象徴するドミニカのベテラン

3/17(金) 7:00配信

BEST TIMES

「カーブは投げるな」規格外の選手・ベルトレ

 野球解説者・建山義紀氏に聞く「野球の見方」。
 WBCで注目してほしい「世界基準」の選手とは? 今回のワールドベースボールクラシック(WBC)には、僕がメジャーリーグでプレーしていた時代、ともに戦ったチームメイトがたくさん選出されています。その中でぜひ見てもらいたいのがドミニカ共和国代表のエイドリアン・ベルトレ選手(テキサス・レンジャーズ所属)です。今年38歳を迎えるベテラン選手ですが、現在もメジャーの第一線で活躍するスラッガー。メジャー通算本塁打数は445本塁打。昨シーズンも打率3割を超え、32本塁打を記録しています。

 僕が彼を推したい理由、そのひとつは人格者であるということ。僕自身、何度も話をさせてもらいましたが、いつも素晴らしい人柄だなあと感心させられました。見た目から「気性が荒い選手なんですよね?」と言う人がいましたが、全く違います。アメリカでも敵・味方チームを問わずリスペクトされている選手なのです。
 推したい理由のもう一つは彼が「世界基準」を体現している選手であるからです。打撃だけでなく守備も非常にうまい選手で、総合力が高い。

 まず打撃。
 もし僕がスコアラーで、ベルトレと対峙しなければならないとしたら「カーブは投げるな」と指示をします。彼は打席の中で独特の読みをしていて、その心理はなかなか読みにくい部分があるのですが、速球系を待っているときに遅い球、カーブなどが来てもしっかり対応できる能力がある。
 しかも「ピタっ」と体が止まるんです。そして最終的には右膝を地面につけるようにして打つ。豪快なスイングに見えますが、その前の「狙っていない球でもピタっ」と止まり、膝が地面についてもフルスイングできるところは高い技術を持っていることをうかがわせます。

ノーステップスローは「世界」レベル

 そして守備。
 サードベースマンですが、ここでも独特です。捕球をしてからファーストに送球するとき、ノーステップでその動作を行う、そのスローイングには注目です。肩が強いからできることではありますが、彼を見ていて「これこそがアメリカの野球なんだ」と思わされたことをよく覚えています。
 打撃でも守備でもオリジナリティがある。日本的な言い方をすれば「型に囚われない選手」であるということです。
 

 「型にこだわり過ぎる」とは日本について言われることですが、こうした選手を見るとその「型」というものを疑う必要もあるのではないか、と再確認させられます。
 ゴロは正面で取らなければいけない。逆シングルで投げたほうが早く送球できるだろう。
 カーブは上からたたいて打たなければいけない。上から落ちて来る球なんだからすくい上げるように打った方が簡単じゃないか。

 ことアメリカに関しては個性を出してこそ活躍できる、と実感させられた選手でした。エイドリアン・ベルトレ。38歳には見えない彼のプレーをぜひ見てもらいたいと思います。

【次回は、生涯ホームラン200本以上もすべて「引っ張り」。アメリカ代表の核弾頭、3月17日更新予定】

文:建山義紀 /写真:AP/アフロ

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