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プロ注目の東福岡CB、阿部海大。U-18日本代表をひと皮剥けさせたサッカーノートの中身とは

3/20(月) 12:00配信

SOCCER DIGEST Web

栄光の背番号4を受け継いだヒガシのDFリーダー。

 2017年度の高校サッカー界を牽引する注目株が、東福岡の背番号4を託されたU-18日本代表DF、阿部海大(新3年)だ。

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 背番号4。“赤い彗星”にとっては特別なナンバーだ。1998年度に三冠を達成した際には手島和希(元京都サンガほか)が背負い、翌99年度には金古聖司(元鹿島アントラーズほか)が受け継ぎ、選手権連覇に導いた。黄金期を支えたふたりのディフェンスリーダーである。近年は彼らのように強烈な存在感を示すDFがいなかったが、その正統なる系譜を継ぐ男が現われた。それが阿部だ。
 
 182センチの恵まれた体躯と、正確なフィードが武器。全国にその名を轟かせたのが先の選手権で、本調子ではなかった東福岡にあってハイパフォーマンスを披露し、最終ラインを引き締めた。その活躍が認められて高校選抜に選ばれると、2月に立ち上がったU-18日本代表にも招集。一躍、今年の高校サッカー界で要注目のDFへと台頭したのだ。
 
 その非凡な能力は、3月17日のサニックス杯・青森山田戦でも存分に発揮された。一進一退の攻防のなか、身を挺した守りで選手権王者をシャットアウト。とりわけ敵のCFで192センチの三国ケネディエブス(新2年)とのバトルは見応え十分だった。終始巧みな駆け引きで優位に立ち、10センチ以上も背が高いターゲットマンとのエアバトルを制したのだ。
 
「普通に競ってしまったら、相手が勝ってしまう。なので、簡単に相手にやらせないことを意識していた」(阿部)
 
 強さだけでなく、クレバーな対応も光った。いまや東福岡の堅守に欠かせないキーパーソンである。
 

サッカーノートを読み返して気付いた共通点。

 ただ、阿部のパフォーマンスが安定してきたのはごく最近だ。昨年の夏までは試合によって波があり、1対1で競り負ける場面もしばしば。ポテンシャルをフルに発揮していたとは言えず、継続性の改善が成長への鍵だった。
 
 そんな阿部が変わったのは、昨秋の選手権予選の決勝後だ。九州屈指の強豪校・九州国際大付を相手に空中戦で強さを示し、最後まで集中力を切らさず、チームの勝利に大きく貢献した。そして阿部は、ふと自分自身にこう問いかけた。
 
「なぜ、良いプレーができたのか」
 
 そこで彼が取り出したのは、スタッフ陣に提出しているものとは異なる自分専用のサッカーノートだ。2年時の春から毎日付けているというノートには、さまざまな内容が書き記されている。練習で良かった点や悪かったプレー、さらにはチームの状況。日記とも呼べるノートを一から見直し、県予選決勝でのプレーを分析した。すると、あることに気が付く。
 
「良いプレーができたときは声がたくさん出ていた」
 
 つねに言葉を発し、精神的に気分が乗った状態で試合に臨めたとき、納得のいくパフォーマンスが発揮できていたのだ。その後の試合では声を出す意識を高め、安定したプレーを継続。選手権やU-18日本代表のゲームでも堂々たるプレーを見せ、さらに自信を深め、選手としてひと皮剥けたのである。
 
「いままで見ていたレベルとは全然違って、コーチ陣からも代表に行ってから変わったと言われた。声が出るようになったし、また違う経験をしてきたので、要求する内容も変わってきた」
 
 日進月歩の成長を続ける阿部。中学時代から同じチームでプレーをしてきたGK緒方翔平(新3年)も、「代表からから帰ってきて、声がより一層出るようになった」とその変化を認める。
 
 阿部を変えた自分だけのサッカーノートは、偉大なる先達に追いつく礎だ。フィジカル能力とクレバーな一面を併せ持つ、高校サッカー界屈指の守備者。本格化した阿部のパフォーマンスに注目だ。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)
 

最終更新:7/14(金) 11:03
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