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デュッセルドルフ駅に現れた斧男の恐怖。無理な難民受け入れが難民自身のメンタルにダメージか

3/20(月) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

「走れ!」

「逃げろ!」

 3月9日夜、ドイツデュッセルドルフの中央駅が大混乱に陥りました。

 列車から飛び降りた容疑者が、斧で無差別に次々と一般市民を切りつけ、被害者は9名。中には13歳の少女も含まれているとビルト紙が伝えています。

◆パニックの現場に偶然いた筆者も恐怖体験

 筆者は偶然にもこの日、デュッセルドルフに到着。デュッセルドルフにいただけでなく、大パニックとなった瞬間の現場にいました。

 何が起こったのかなど考えている暇もありませんでした。付近にいた全員が、大変なことが起こったに違いないと感じ、本能だけで一斉に逃げ始めていたと思います。

 まさにパニック映画の一場面のような状況。筆者も、とにかく駅から離れるため、全速力で走りました。走りながら、「テロ」と「爆弾」、この2つが脳裏に浮かんでいました。それぐらいのパニックの状況でした。大勢の人が一斉に、死に物狂いで駅から逃げていました。

 その後、すぐに駅に近づこうとする人は皆無。全員、呆然と立ち尽くしていました。少し離れた場所で様子をうかがっていたところ、あのパニックの瞬間から間もなく、武装し、マスクを被った警察の特殊部隊が到着しました。こんなにもたくさんいるのかと思えるぐらい、大量に、次から次へとやってきました。

 車から降り、いよいよ中央駅に向かうぞとなった時、特殊部隊の人が、引き金を引きました。

「ガチャッ」

 これを至近距離で聞いたときは、さすがに緊張が走りました。

◆犯人は精神を病んでいた

 斧で周囲を襲撃した容疑者は、36歳で、単独犯と発表されました。ビルト紙によれば、容疑者はコソボ(旧ユーゴスラビア)出身で、2009年にドイツにやってきたとしています。

 犯行後逃げようと試み、橋からジャンプ。その際に負傷し警察に捕らえられ、病院へと運ばれました。

 なお、今回の事件は、テロや政治的目的での犯行ではないと考えられています。その理由として挙げられているのが、容疑者が精神的に病んでいたという点。

 ヴェルト紙が報じているところ、容疑者の兄弟曰く、容疑者は1週間前に斧を購入し何らかの強迫観念にかられていたからとしています。

 ドイツでは昨今、凶悪犯罪事件が相次いでいます。

 斧を使った犯行という意味では、昨年も同様の事件が起こっています。この時の犯人は、アフガニスタン人で、警察により射殺されました。

 大勢の被害者がいた、昨年末のベルリンのクリスマスマーケットトラック突入事件も記憶に新しいと思います。著者も以前記事にしましたが、この時の容疑者はチェニジア人。トラックを群衆に突入させ、12名が死亡しました。

 このようなドイツ以外の国の出身者(特に難民申請をする国の人が多い)が犯行に関わっている事件が最近ではクローズアップされ、難民に寛容だったメルケル首相の政策を非難する声も多く聞かれます。

◆「お前の国ではこんな事件は起きないだろ」

 今回の事件に関していえば、テロではありませんでしたが、容疑者はコソボ出身。この事実に、再びドイツ国内で世論が揺れています。現場にいた筆者も、こういったドイツ国内の不満というものを目の当たりにしました。

 パニックが起こり、逃げ回った人々。その後、風貌とアクセントがいかにも外国人風の男が、いったいどうしたんだと周りに尋ねていました。

 すると、同じく動揺していたあるドイツ人が皮肉めかしてこう返しました。

「知らない。お前の国ではこんな事件は起きないだろ」

 犯行直後の話で、容疑者がコソボ出身ということがわかる前のことです。いかにドイツ世論が割れているかを見ることができます。メルケル首相は、揺れる世論への対応に再び迫られていると言えます。

<文/岡本泰輔>

【岡本泰輔】

 マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。

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