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【振付師】アイドルやアーティストの“原石”の魅力に磨きをかける ダンスを極めた身体表現のエキスパート

3/21(火) 7:30配信

日本の人事部

昭和を代表するテレビ番組『8時だヨ!全員集合』のオープニングの踊りを振り付けたのが、先頃亡くなった俳優の藤村俊二さんであることはあまり知られていない。“おヒョイさん”の芸能界でのキャリアは意外にも「振付師」として始まったのだ。それからほぼ半世紀。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のエンディングを飾る「恋ダンス」で一躍、有名になったMIKIKOをはじめ、かつては表に出ることのなかった「振付師」の仕事に、近年、注目が集まっている。印象的な動きを考えるだけでなく、人材を育て、ステージや作品全体をまとめ上げる役割へと、その存在が大きくなっているからだ。

クリエイターであると同時に教育者、踊れない芸能人をどう踊らせる!?

アイドルグループのモーニング娘。やAKB48の育ての親として知られるカリスマ振付師の夏まゆみ氏が2014年6月に上梓した『エースと呼ばれる人は何をしているか』は、著者初の“ビジネス書”として出版され、大きな反響を呼んだ。振付師がなぜビジネス書なのかという疑問は一読氷解する。本書で明かされるのは、著者の専門であるダンスの奥義でもなければ、創作の秘密でもない。「振り付け」という芸術活動を通して確立された出色の教育論であり、人材論、キャリア論なのである。

夏氏は本書の出版時点で、300組を超えるアーティストの振り付けやダンス指導を担当していたが、そのほとんどがダンス未経験者だった。ダンスの振り付けとは、簡単に言うと、音楽に合わせたステップやポーズ、ターンなどの動作から一連のダンスを構成し、それを踊り手に伝え、覚えさせるまでの作業をいう。ダンス経験者なら、見よう見まねでもそうした動きを自分の身体で再現できるが、未経験者ではそうはいかない。踊れない人をどう踊らせるか。動きを教える以前に、いかにして踊る気にさせるか――振り付けの第一人者が強調するのは、相手のこころを揺さぶる“言葉の力”の大切さだ。それは奇しくも、多くのビジネスリーダーや人事プロフェッショナルが明言する人材・組織開発の要諦と一致している。クリエイターであると同時に、そうした“教育者”としての役割をも担うのが「振付師」という仕事の特徴なのだ。

もともと「振付師」という日本語自体は、日本舞踊の振付職人を指す用語として、江戸時代中期には成立していた。器械体操やフィギュアスケート、シンクロナイズドスイミングなどのスポーツ、あるいは殺陣やアクションといった身体表現の用語としても使われるが、本稿ではダンスの振付師、なかでも需要の多い映画やテレビ番組、CM、舞台などに出演するダンサーや歌手への振り付けを専門に行う人材、仕事について取り上げる。この狭義の振付師を、いわゆるショービジネスの世界では「コリオグラファー」(choreographer)、バレエや舞踏の世界では「振付家」と呼ぶことも多い。

どういう人物が、どういうコンセプトのもとに、どういう環境(場所、設定)で、どういう音楽に合わせてパフォーマンスを行うのか。踊り手は何人か、そのうち男性は何人で、女性は何人か。衣装はどのようなものか。そうした要素をすべて見極めた上でオリジナルのダンスを創作し、踊り手にそれを指導する、すなわち“振り写し”するのが振付師の主な仕事である。ダンスパートの振り付けに止まらず、ショーやコンサート、映画やミュージカルといった作品全体の演出・構成まで手がける振付師も少なくない。古くは映画『キャバレー』や『オール・ザット・ジャズ』の演出で知られるブロードウェイの鬼才、ボブ・フォッシー。最近ではリオ五輪閉会式における五輪旗引き継ぎパフォーマンスの斬新な演出で一躍、世界的に注目され、上記の「恋ダンス」の振り付けも大ヒットさせたMIKIKO氏らがこれにあたる。

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最終更新:3/21(火) 7:30
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