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G20財務大臣・中央銀行総裁会議- Free TradeとFair Trade

NRI研究員の時事解説 3/21(火) 9:22配信

はじめに

週末にドイツで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議は、結局、「あらゆる保護貿易を拒否する」との文言を削除したコミュニケを公表して終了した。もっとも、興味深いことに、この点に関する内外メディアの事前報道の割には、会議の参加者からの発言は総じて抑制的な印象を受ける。

この点も含めて、今回の会合の議論について、参加国の経済政策との関連を踏まえつつその意味合いを検討したい。

コミュニケの変更とトランプ政権の考え方

今回のコミュニケの中で、マクロ経済政策に関する記述は基本的に第1パラグラフに集約されている。上記の文言は、前回会合(2016年7月:中国)のコミュニケでは、為替レートの競争的な切り下げ等を行わないとの記述の直後にあったが、今回は削除された訳である。一方で、(1)貿易が経済活動の強化に資するよう努力していること、(2)経済成長の追求にあたり、過度な不均衡を縮小し、inclusivenessとfairnessを促進し、格差を縮小するよう努力する、との内容が付加されている。

通商問題に関するこれまでの発言を踏まえると、トランプ政権の不満は、上記の(2)に示された点、つまり主要な貿易相手国に対して大きな赤字の状態にあるという意味で、米国にとって貿易がfairnessを欠くというものであると理解できる。実際、トランプ大統領は、メルケル首相との個別会談に先立って同趣旨のコメントを行ったことが報道されている。その意味では、削除された文言だけでなく、付加された文言も相応の意味を持つと考えられる。

加えて、今回の会合の米国代表の一角を占めるムニューチン財務長官も、free trade自体への反対を示唆しているわけでなく、上記(1)のように国内経済への貢献に対する役割を重視していることを考えれば、トランプ政権は、米国と主要な貿易相手国とが本当にfree tradeを行えば、米国にとってfairな結果が生ずるはずとの考えにあることも推察される。

米国にとってunfairな結果を過去分まで取り返そうとすれば、そのための政策は保護主義的な色彩を帯び得る。そうした余地を残す上で、米国にとって「あらゆる保護貿易を拒否する」との文言は、ムニューチン財務長官が言うように最早「不適切」となった訳である。

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最終更新:3/21(火) 9:22

NRI研究員の時事解説

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