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「安かろう、悪かろう」ではない国内LCC。5人に1人が利用経験あり!?

3/21(火) 17:30配信

旅行読売

 LCCとは「ローコストキャリア」の略で、運航にかかわる経費を削減し、低価格で輸送サービスを提供する格安航空会社のことだ。LCCはすっかり日本に定着したが、それはなぜか。また今後利用者が注目すべき路線をさぐってみたい。


■増えた利用経験者
 日本のLCCが運航開始したのは、2012年のこと。当初は限られていた運航路線も徐々に充実し、いまでは国内線を4社が飛び、約20都市に路線が広がった。
 JTB総合研究所の2015年の調査では、国内線LCCの利用経験者は22%。旅行サイトのエクスペディアによる2016年の調査ではLCC経験者は46%。いずれも飛行機での旅行経験者対象の調査だが、かなり高い数字だ。現状のLCCは、国内線では成田、関西国際空港を中心に限られた路線でしか運航されていない。にもかかわらず、これだけの利用者がいるのだから、少なくとも旅行好きには、LCCは完全に根付いたといっていい。

■低価格と定時運航が奏功
 その理由は、もちろん低価格だからである。それに加えて日本のLCCの成功の理由は、「安かろう、悪かろう」にならなかったことだ。ピーチ、ジェットスター・ジャパン、バニラエア、Spring Japanの国内LCC4社は、シンプルなサービスで低価格を実現した一方、比較的高い定時運航率も達成している。
 シンプルなサービスも、旅行者にとって悪いことばかりではない。たとえば、受託手荷物は別料金だが、重量に応じて課金されるのだから合理的で、荷物の少ない旅行者にとっては歓迎すべきことだ。座席指定に別料金がかかることも、「数百円を追加すれば好みの席に座れる」という仕組みは悪くない。
 LCCを利用するとき、首都圏の場合は成田空港の立地が難点になる。とはいえ、最近は「東京駅から1000円」をうたう格安バスの充実などで、不便さは薄れてきた。LCCと他業種のコラボにも注目したい。JR北海道は、ピーチやバニラエアの利用者限定で、「ひがし北海道フリーパス」という格安のフリーパスを販売している。

■LCCで地方空港活性化  
 LCC就航で観光客が増えたエリアもある。鹿児島県の奄美大島がその代表で、バニラエアの成田便就航により、首都圏からの訪問客が1.8倍にもなったというデータがある。勢いに乗ったバニラエアは、3月に関空~奄美空港線も開設する。
 奄美ほどではないが、佐賀もLCCの就航で注目されたエリアだ。福岡空港の陰に隠れがちだった佐賀空港に、Spring Japanが就航し、首都圏から九州への新たな格安ルートになった。
 海外にも行きやすくなった。海外へは国内LCC各社のみならず、外国資本のLCC路線が充実しており、行き先が豊富だ。5年前と違って、いまやソウル、台北、香港、バンコクといったアジアの人気都市にはLCC路線が1日何往復もしている。

■今後は地方路線に注目
 これからは地方路線の展開が注目される。これまでは、成田・関空の両拠点空港から、札幌、福岡、那覇をはじめとした地方の主要都市を結ぶ路線が主力だった。東日本の地方都市への路線は特に少なかった。
 しかし、2月19日からバニラエアが函館空港へ進出。地方観光都市へ新たな路線が開かれた。今後も、北海道のほかの地方空港などがLCC新路線のターゲットになるだろう。ピーチは仙台空港と新千歳空港を拠点化する方針を明らかにしており、両空港からのLCC路線が充実していくのも間違いない。

■増加する経由便
 興味深いのが、経由便の増加だ。ピーチは沖縄・那覇空港を中継拠点として、台北やバンコクに路線を展開している。バニラエアは台北を海外拠点とする方針で、手始めに昨年、成田発の台北経由ホーチミン行きを設定した。ただ、経由便や乗り継ぎ便は時間がかかるため、価格が相当安くなければ使う気にはなれないだろう。
 日本を経由地としている外国のLCCも要注目だ。韓国のティーウェイ航空は大邱(テグ)~関空~グアム線を運航していて、エアアジアXはクアラルンプール~関空~ホノルル線の就航を発表した。これらの路線は、関空とグアム、関空やハワイの区間だけでも利用できる。こうした路線が拡大すれば、日本からアメリカ本土へLCCで行ける日が来るかもしれない。

文・鎌倉淳(旅行研究家)

最終更新:3/21(火) 17:30
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