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日本代表「選外」の乾貴士が、エイバルの人々に贈るサッカーの喜び

3/21(火) 8:01配信

webスポルティーバ

 リーガエスパニョーラ第28節。ヨーロッパリーグ出場権を争う直接のライバルであるエイバル対エスパニョールの一戦は1対1の引き分けに終わった。この試合に先発、後半36分までプレーした乾貴士は、ミックスゾーンに現れると、少し曇った表情を見せた。

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「自分が決めていれば2対1で勝てていた。決めないとチームに迷惑をかけてしまうし、かけてしまった」

 エイバルの背番号8番が悔しがったのは58分のシーンだ。ペドロ・レオンの中央突破から、エリア内にこぼれたボールを押し込む決定的な場面で、左足インサイドで流した乾のシュートはゴールの右へと外れていった。

「毎試合、チャンスは本当に作っている。だが今シーズン、なかなかゴールが生まれないね」

 ミックスゾーンでは年配のスペイン人記者が、優しい表情を浮かべながらも乾が誰よりも答えを欲している直球の質問を投げつけていた。批判やネガティブな烙印を押すようなニュアンスではなく、まるで自分の息子に接しているかのようなファミリー感がそこにはあった。

「得点がないことは心配していない。彼はこのエンブレムのために走り、汗を流している。得点を決めるのは乾の一番の仕事じゃない。チャンスを作ることだし、しかもすごいテクニックを見せてくれている。それで満足だよ。もちろん、得点をしてくれたらもっといいけどね」

 スタジアムからバス停へ向かう帰り道の途中で声をかけてきたサポーターも、日本人MFの献身的な働きとスペクタクルなプレーを高く評価していた。

 エイバルの記者もファンも本当に温かい。もちろん、それはチームがプリメーラ残留というシーズンの目標をほぼ達成しているところに由来する。もし、乾が残留を争っている近隣の街パンプローナのクラブでプレーをしていたら、今の蜜月関係は間違いなく作れてはいないはずだ。

 プロ選手として一番わかりやすい評価は数字に残る結果を出すこと。それは火を見るより明らかだが、乾とエイバルの関係を見ていると、サッカーというスポーツにおいては、個人の成績よりもチームとしてしっかりと機能し結果を残すことが大事であることを、あらためて感じさせてくれる。

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