ここから本文です

韓国次期政権で国民の関心が「反日」に向かう理由

ダイヤモンド・オンライン 3/21(火) 6:00配信

● 八方ふさがりの韓国は 政治基盤の整備が不可欠

 現在、韓国は厳しい状況に追い込まれている。朴槿恵(パク・クネ)大統領は、友人を国政に介入させた疑いなどを受けて罷免された。そのため、国民に選ばれた政治、経済、軍事を統率する同国のリーダーは不在の状況になっている。歴史的に朝鮮半島は、中国、米国、ロシア(旧ソ連)の大国のエネルギーがぶつかり合う地政学上の要所だ。朝鮮半島情勢の緊迫化は、極東、そして、国際社会全体にも無視できない影響を与える可能性がある。日韓関係も韓国新政権のかじ取りの難しさを考えれば、「反日姿勢」が強まり、難しい局面になるだろう。

 韓国の「空白」状態を見透かすように、すでに38度線を挟んで韓国と対峙する北朝鮮は軍事的挑発を繰り返している。また、中国との関係も、朴前大統領がサムスンという大黒柱の不振もあり、韓国経済に一時期の勢いが見られない中で緊密化を図ろうとしていたが、韓国の対北朝鮮ミサイル配備の導入をきっかけに急速に冷え込んでいる。

 一方、米国をはじめ主要国の政治は、グローバリズムへの反感を抱く有権者の支持を取り込み、自国第一へと大きく舵を切っている。その中で韓国が自国の安定を目指すためには、それなりのしっかりした政治理念が必要になる。

 新政権は数々の政治スキャンダルの教訓を生かし、民主主義に基づく政治基盤を整備することが欠かせない。それができて初めて、財閥系の企業に牛耳られてきた経済の改革を実現することができる。

● 民政安定に大改革必要 財閥依存からの脱却課題

 大統領の罷免に伴い、韓国では60日以内に大統領選挙が実施される。次の大統領は様々な課題を解決する必要がある。それが難しいようだと、朝鮮半島情勢は一段と緊迫化する可能性がある。

 まずは政治・経済の大規模な改革に取り組むことだ。これまでの一部財閥と政治の癒着、財閥企業依存度の高い経済体制などを温存していては、本当の意味で国民の不満を和らげることは難しいからだ。

 ただ、大規模な改革は口で言うほど容易なことではない。既得権益層からの強い反対を押し切って改革を進めなければならない。今、韓国は重大な選択を迫られている。

 では、本当の意味での韓国の改革は可能だろうか。これまでの歴史に照らせば、韓国でそう簡単に改革が進むとは考え難い。少なくとも改革を進めるまでには、長い時間を要するだろう。足許の経済環境が不安定なことも、改革が先送りされる理由になる可能性がある。

 韓国では、縁故や私的な関係を重視する習慣が強い。確かに、一部の有力者などに知り合いがいると、ビジネスを進めたり、許可を得たりする上で有利なことは多い。問題は、韓国の社会全体が縁故を重視した関係に依存しすぎたことだ。

 これが、歴代の大統領経験者、その親族などが財閥企業から不正に資金を受領してきたスキャンダルの温床になっている。韓国の大統領は政治、経済、軍事まで、あらゆる決定権を持つ。先進国のトップに比べてもかなり独裁色が強い。

 そのため、財閥企業の創業者は、国の政治リーダーである大統領に取り入って支援を取り付けようとしてきた。韓国経済が財閥企業の業績拡大に支えられてきたため、時の為政者も財閥の要望は無視できるものはなかったのだろう。こうして政財界の癒着が進んだ。

 アジア通貨危機などを受けて、財閥の解体など表面的には改革が進んだ時期もあった。しかし、今回のスキャンダルが浮き彫りにしたように、実態は変わっていない。韓国は財閥の収益に頼って経済を支えてきた。その一方、中小企業の育成など内需拡大に不可欠な取り組みは進まなかった。この結果、経済格差は拡大し、民衆の不満が高まっていることは言うまでもない。

● 慰安婦や領土問題が再燃? 中韓関係も冷え込む

 このように考えると、韓国の次期政権の課題は本格的な構造改革に尽きる。 だがそうした改革を進めるのは、口で言うほど簡単ではない。次期政権が改革を進められない場合、国民からの支持を維持するために手っ取り早い手法は、国民の関心を慰安婦問題や領土問題に向けさせることだ。

1/2ページ

最終更新:3/21(火) 10:50

ダイヤモンド・オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

週刊ダイヤモンド

ダイヤモンド社

17年3月25日号
発売日3月21日

定価740円(税込み)

特集 国鉄 vs JR
民営化30年の功罪
特集2 名古屋教育
最強ルート&最新序列