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英国人気ブランド「Superdry 極度乾燥(しなさい)」が日本出店しない理由をあえて聞いてみた

3/21(火) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

 数年前より、「Superdry極度乾燥(しなさい)」というイギリス発のファッションブランドが世界的に大流行していることが話題になっている。

⇒【画像】変な日本語の服をさりげなく着こなす街中の外国人

「極度乾燥」に首を傾げ、「しなさい」に目を疑い、それにカッコが付いてることで眉間にしわが寄る。我々が日本で人生を送るうえで「極度乾燥」という文字列を使うこと自体が皆無だろう。しかし、ニューヨークの街を歩いていると、かなりの頻度でこのロゴのついた服を着ている外国人とすれ違うのだ。

 公式ウェブサイトによると、この「Superdry極度乾燥(しなさい)」(以下、Superdry)は2003年にジュリアン・ダンカートン氏とジェームス・ホルダー氏によって立ち上げられたファッションブランドで、発祥国はなんとイギリス。彼らが東京へやって来た際に得たインスピレーションを元に、この名がつけられたという。

 イギリスではロンドンを中心に約100店舗展開されており、2007年にはサッカー選手デビッド・ベッカムが着用したジャケットが7万着も売れたというから、人気は本物。2010年3月にロンドン証券取引所にて新規株式公開(IPO)しその名を一気に世界へと広め、昨年の売上高は日本円で約860億円。

 現在は、インドやサウジアラビアなどを含む46か国に515店舗を構え、100か国以上に流通している。

◆「極度車動自」、「競技場」、「会員証な」

 北米はSuperdryが特に力を入れている市場で、ニューヨークには市内だけでも4店舗あり、そのうちの1店舗はニューヨークのシンボルともいえるエンパイアステートビルディングの真向かいという一等地に、日本のブランド「UNIQLO」や、知名度抜群の「ZARA」とともに軒を連ねる。

 終日、多くの観光客やビジネスパーソンらがその大通りを行き交う中、黒地にオレンジ色で書かれた「Superdry極度乾燥(しなさい)」の文字はやはりよく目立つ。

 店内に入ると、1人の女性が「ようこそ。買い物楽しんで」と笑顔で声を掛けてきてくれた。ファストファッションと言われるアパレルショップでは、黒いスーツの男性が見張り役で立っているだけであることを考えると、対応は明るく丁寧に感じた。

 3月半ばでも氷点下にまで気温が下がるニューヨーク。地下から2階までの計3フロアに展示された商品の半分は冬服。残り半分はTシャツやカバン、小物類が並ぶ。そして、その多くには、やはりあった、「極度乾燥」の文字。

 しばらく商品を物色していると、「極度乾燥」以上に目を疑う日本語が目に飛び込む。「極度車動自」、「競技場」、さらには「会員証な」という謎でしかない語り掛け。これに「Japan」や「Osaka」と地名までプリントされているため、たいていの外国人がSuperdryを日本のブランドだと誤認しているらしく、実際、店の外で同ブランドの紙袋を持っていたドイツ人4人組に話を聞いたところ、1人は中国、他3人は日本のブランドだと思い込んでいた。

◆店内に日本人客はゼロ

 ただ、謎な日本語から商品そのものに目を移すと、ポール・スミスやマリークヮントなどの有名ブランドを生み出したイギリスの良さが、質、デザインに出ているのに加え、値段もファストファッションブランドより若干高めの設定。ブランドを安売りしないというプライドが見てとれる。

 平日の昼前にもかかわらず、ひっきりなしに出入りする多人種の買い物客。肌で感じた流行の波だったが、やはりというべきか、1時間店内にいても日本人には1人も会わなかった。

 日本語なのに、日本国内ではほとんど目にすることのないSuperdry。ゆえに、日本での知名度は低く、「海外旅行先で見た」、「外国人が着ているのを見たことがある」という目撃情報に留まる。

◆本社からの回答は「日本の他社と被るから」

 商品には「Japan」と書いてあるものまで存在するのに、どうして日本に上陸しないのだろうか。

 筆者は当初、「不可解な日本語のせいだ」と思っていたが、この疑問をイギリス本社に問い合わせたところ「商標登録の兼ね合いで日本には進出もしないし、直送もしない」との回答が返ってきた。

 明記はなかったとはいえ、日本の「スーパードライ」といえば、どの商品との兼ね合いなのかは容易に見当がつく。さらに、前出のダンカートン氏とホルダー氏が東京に来た際、この“日本のスーパードライ”そのものにインスパイアされ、自動翻訳機能で訳した言葉をそのまま採用したという話もあり、こちらも後日問い合わせてみたが、この件の回答は期限内には得られなかった。

 クールジャパンと叫ばれて久しく、2020年の東京オリンピックに照準を当て、政府も日本ブランドを広めようと躍起になっている。

 一方、海外では我々が想像している以上に日本の文化が”愛されていた”と考えると、どこか誇らしく思えてはこないだろうか。日本語はもはや、日本人だけのものではなくなってきているのかもしれない。海外へ行った際は、この店を是非チェック(しなさい)。

<取材・文/橋本愛喜>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:3/21(火) 17:11
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