ここから本文です

日本柔道の改革、今度は代表選考。4月の全日本が“対象外”の試合に?

Number Web 3/21(火) 7:01配信

 3月13日、全日本柔道連盟は世界選手権の代表選考において、新たな制度を加えることを決めた。夏に行なわれる世界選手権と、年末に行なわれるグランドスラム東京の両方で優勝した選手を、翌年の世界選手権代表に内定させることにした。

 従来の選考は、4月の全日本選抜体重別選手権(重量級はその後の全日本女子選手権、全日本選手権も含む)後に発表されていた。その前に内定選手が決まることはなかったから、もしグランドスラム東京で条件をクリアすれば、約4カ月早まることになる。

 変更の意図は、代表になってから大会までのスケジュールがタイトであり、調整時間が短いという声が現場サイドから上がっていたことからだという。

 従来、柔道の選考は複数大会を対象に行なわれてきた。グランドスラム東京や全日本選抜体重別選手権だけではなく、その間に行なわれる国際大会も対象であり、いずれかの大会に出場するのが常だ。だから、4月を迎えた時点でコンディションがよくない選手もいた。

「合わせなければ一流ではないと思う。でも……」

 「合わせなければ一流ではないと思います。でも、簡単ではないですね」

 暗に調整の難しさをほのめかす言葉を聞いたこともある。対人競技であるがゆえに、ちょっとしたことで怪我も負いがちだし、減量も選手によってはかなりハードだ。

 だから実績を持ち、直近の大会で好成績を挙げている第一人者であっても、調子を合わせきれずに全日本選抜体重別選手権で敗退するケースは少なくない。

 一方で、全日本選抜体重別選手権が大きな選考の場であると考えているスポーツファンも少なからずいる。敗れた選手がなぜ選ばれるのか物議をかもすこともあった。

同一年に両大会を制覇したのは、すべて実力者。

 選考対象大会である以上、いくつもの大会に照準を合わせざるを得ず、消耗していく。それを避けられるという点で、いち早く内定を得られる基準ができたことは、選手にとってはメリットになる。何よりも、腰を据えて、世界選手権を目指せることはプラスになるだろう。

 そして新基準のハードル自体、決して低くはないものになっている。

 前身の嘉納治五郎杯国際柔道大会から柔道グランドスラム東京に改称された2009年以降を見ると、同じ年に世界選手権とグランドスラム東京を制した選手は、10名(11回)しかいない。

 ○2009年:福見友子(48kg級)、中村美里(52kg級)、上野順恵(63kg級)

 ○2010年:穴井隆将(100kg級)、西田優香(52kg級)、松本薫(57kg級)

 ○2011年:浅見八瑠奈(48kg級)

 ○2013年:高藤直寿(60kg級)

 ○2014年:近藤亜美(48kg級)

 ○2015年:羽賀龍之介(100kg級)、中村美里(52kg級)

 いずれも名だたる実力者たちだ。両大会優勝者の人数からしても、2つの大会を制するのは決して簡単ではないことが分かる。

 ただ、明確な目標ができたことは励みにもなる。両大会を勝って内定を決めたいという意識が向上を促すことも考えられる。

東京五輪までこの選考でいくのか、別の方法を取るか。

 もし、ハードルを越えて次々に代表内定者が出れば、これまで最終の代表選考対象大会であったことで関心を集めた全日本選抜体重別などへの関心が薄れるということも考えられなくはないが、それはまた別問題だ。

 今回の制度は、まずは2018、2019年の世界選手権を対象に導入され、東京五輪への選考時に、そのまま継続するのか、別の方法をとるのかなど、あらためて検討される。

 その成否は、世界選手権で選手たちが残す成績にもかかってくる。

(「オリンピックへの道」松原孝臣 = 文)

最終更新:3/21(火) 17:51

Number Web

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sports Graphic Number

文藝春秋

924号
3月30日発売

特別定価600円(税込)

<WBC2017>侍ジャパン、激闘の記憶。

【それぞれのWBC】 千賀滉大/菅野智之/菊池涼介/小林誠司/筒香嘉智/中田翔
権藤博 投手起用を語る

Yahoo!ニュースからのお知らせ