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「笑い声」で明るい感情が伝染すると判明、NZの希少オウム、哺乳類以外で初

ナショナル ジオグラフィック日本版 3/24(金) 7:30配信

遊び好きな「ケア」ことミヤマオウム

 笑っているような鳴き声の鳥といえばワライカワセミが有名だが、ニュージーランドにすむミヤマオウム(Nestor notabilis)の間では、鳴き声によって明るい感情が伝染するという研究結果が3月20日付の科学誌「Current Biology」に発表された。

【動画】仲間の声を聞いたとたんに遊び始めるオウム

 このオウムは知能が高く、人間の笑い声のような特徴的な鳴き声を発し、それを聞いた仲間のオウムは明るい気分になるという。哺乳類以外で感情の伝染が確認されたのはこれが初めて。哺乳類では、人間の他にネズミやチンパンジーで感情が伝染することがわかっている。こうした現象は「情動伝染」と呼ばれ、その進化的意義なども研究されている。

 ニュージーランドの山がちな南島に固有のミヤマオウムが、仲間と遊んでいる時に無邪気な鳴き声を立てることは以前から知られていた。しかし、仲間がいないときも同じように鳴くので、単にうれしいから鳴くだけで、仲間には影響を与えていないかもしれなかった。

 彼らが遊ぶときに発する鳴き声は、本当に仲間に感情を伝染させているのだろうか。この疑問を解くために、オーストリアにあるメッセーリ研究所でミヤマオウムの研究に取り組んでいるラウル・シュウィング氏は、チームとともにニュージーランドのアーサーズ・パス国立公園へ出向き、野生のミヤマオウムがいる場所でスピーカーからさまざまな鳥の声を流してみた。

 流したのは、ミヤマオウムが遊んでいるときの鳴き声、そうでないときの鳴き声、そして同じ地域に生息するニュージーランドコマヒタキ(Petroica australis)の鳴き声などだ。

 そして、野生のミヤマオウムがそれぞれの鳴き声にどう反応するかを観察したところ、明らかな違いが認められた。遊んでいるときの鳴き声を聞いたミヤマオウムは、オスもメスも、他の鳴き声を聞いた時よりも多く、長い時間遊んだのだ。

「ほとんどの場合、鳴き声が聞こえるとすぐに遊び始めていました。でも既に遊んでいる仲間に加わるのではなく、すぐ隣にいる鳥と遊び出したり、または単独で宙を飛びまわったり、物で遊んだりします」と、シュウィング氏はメール取材に答えた。

 つまり、遊びの鳴き声はそれを聞いたオウムを遊びに「誘っている」わけではなく、彼らの感情に影響を与えて楽しい気分にさせるのだろうと考えられる。このことから、ミヤマオウムが他の鳴き声を聞いて楽しい気分になるのは、人間でいえば他人の笑い声につられて可笑しくなるようなことといえる。

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最終更新:3/24(金) 10:04

ナショナル ジオグラフィック日本版

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