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アルバイトの賃金上昇率が正社員より高い理由。(塚崎公義 大学教授)

3/24(金) 5:00配信

シェアーズカフェ・オンライン

政府が同一労働・同一賃金を推進しようとしています。通常であれば「賃金は労働市場で決まるもので、なかなか政府が思ったように動かない」はずなのですが、昨今の情勢を見ると、偶然にも労働力不足が同一労働・同一賃金を推進する力として働き始めていて、政府の要望がある程度実現されそうです。今回は、そのメカニズムについて考えてみましょう。

■中小労働組合の賃上げ率が大手と並んだ模様
今次春闘に於いて、連合の第一回集計で中小組合の春闘賃上げ率が大手と並んだようです。「大手は賃上げをする余裕があるが、中小には到底そんな余裕はない」と聞かされ続けて来ましたが、どうやら風向きが変わりつつあるようです。

その背景の一つは、企業が「従業員の共同体」から「株主のもの」に変化したため、賃上げのメカニズムが変化した事にあります。バブルの頃までは、企業が儲かっても配当は増やさず、従業員の賃上げを行なうのが普通でしたから、「大企業は儲かるから賃上げする」というのが当然でした。

しかし、「グローバル・スタンダード」などという言葉と共に「企業は株主のものだから、利益は賃金上昇にではなく配当の増加に用いるべき」と考える企業が増えて来ました。そこで、企業は「儲かっても賃上げをしない」体質になって来たのです。多くのサラリーマンにとってアベノミクス景気が実感出来ないのは、賃金が上がらないからでしょう。

企業が儲かっても賃上げしないとなると、賃上げのメカニズムは何でしょうか?それは、「人材確保に必要だから」という事になります。採用戦線は売り手市場となっており、中小企業は初任給を引き上げないと必用人数が採用出来ないようになって来ました。そうなると、初任給だけではなく、若手の給料も引き上げざるを得ません。

今一つ、中小企業は、賃上げしないと社員が退職してしまう可能性がありますから、在籍中の社員を引き留めるためにも賃上げが必要だ、というメカニズムも働いているようです。終身雇用、年功序列賃金という「日本的経営」は、中小企業に於いては大企業ほど明確なものではないので、労働力不足が深刻化してくると引き抜きなども増えて来るのでしょう。

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