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白濱亜嵐、ゼロから役作りで少女漫画の世界にーー『ひるなかの流星』で示した、役者としての可能性

3/24(金) 12:22配信

リアルサウンド

 原作ものの実写化が進む日本映画界。その中でも少女コミックの映画化は、もはやひとつのジャンルになりつつある。原作ファンにとっては気乗りのしない実写化でも、今後もこの動きは変わることがないだろう。そうなると、気になってくるのが、誰が演じるのか、だ。新たな魅力を携える役者が出てきてほしいという願いも出てくる。現在、同性からの支持も厚い永野芽郁が主演を務める『ひるなかの流星』にて、新鮮な風を送り込んでいるのが、白濱亜嵐(しらはまあらん)だ。

 EXILE、そしてGENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーとして活躍する白濱だが、GENERATIONSのメンバーに決定する以前は劇団EXILEに所属していた。そのため、2010年には劇団EXILEの公演に出演。パフォーマーとなって以後も、『ろくでなしBLUSE』、『GTO』、『シュガーレス』、『HiGH&LOW』シリーズ(映画版を含む)といった人気ドラマで演技を披露してきた。

 そんな白濱にとって役者として大きな挑戦となったのが『ひるなかの流星』への出演である。同作の原作は、2011年から14年に連載された、生徒と教師と同級生による切ない三角関係を描いた累計発行部数250万部突破の少女コミック。ヒロインの“初めての恋”が周囲の想いとともに切なく展開していく。

 ヒロインのすずめには永野が扮し、田舎から東京の高校へと転校してきた少女の、天真爛漫さや、恋を知って戸惑い、変化していく様を、ほぼすっぴんのメイクに始まり、内面に伴って外見も変化していくビジュアル面を含めて爽やかに見せている。

 白濱は、すずめが惹かれる担任教師の獅子尾を演じる三浦翔平と共に、すずめを巡って三角関係になっていく同級生の馬村大輝を演じている。普通にモテそうな容姿ながら、女子が苦手で免疫のまったくない馬村。女子と話したり、多少のスキンシップも大の苦手で、男子とばかり一緒にいる役柄である。すずめと親友になる、山本舞香が演じるゆゆかの気持ちにも全く気付かない。

 女子と話さないという馬村の性格を知らないすずめは、馬村の隣の席に座ることになり、なんの躊躇もなく馬村に接してくる。最初は戸惑った馬村も、変に男女の意識や裏表のないすずめに、どんどん惹かれていく。ヒロインのすずめだけでなく、馬村も、いわば恋に振り回されるキャラクター。そこに白濱が誠意を持って臨んでいる。最初に監督とプロデューサーに会った際、白濱は「原作の馬村の役に合わせ、髪を伸ばして色白になって筋肉を落としてほしい」とリクエストされた。

 コミックの実写化キャスティングの際には、造形が似ている人を最初から選ぶのが、当然ながら手っ取り早い。しかし本作ではステージとはまた違う、白濱の優しい雰囲気に馬村のまとう空気が見出され、さらに白濱の演技にかける思いの強さが伝わり、抜擢へと結びついた。

 内面には通じるものがあったとはいえ、裏を返せば、外見的には白濱と馬村はまったく違っていたわけで、先の監督とプロデューサーのリクエストへとつながってくる。大変な作業だが、ゼロから役柄を作り上げていくことは、役者にとって喜びでもある。白濱は、その日から筋トレをやめて筋肉を落とし、日焼け止めを塗り、さらに自身の判断から「馬村にはすね毛も生えていないだろう」とすね毛を剃って、外見のアプローチを行っていった。

 原作ファンへの配慮も強かった。キャラクターのしぐさや、ショットとしての美しさ、そのシーン、そのシーンによって微妙に違う、髪の分け目や流し方といった細部にも、原作を読み込んでなるべくファンの求める馬村になろうと努力したという。こうした役作りは、これまで以上に役を突き詰めて考えることに繋がっていったはずだ。

 すずめを好きになっていく馬村だが、すずめが獅子尾に惹かれていることにも気づいている。自分とは違う相手を好きな子を想い続ける……。切なさMAXのシチュエーションであり、まさにこの馬村の恋心こそ、少女コミックの軸になりうる。ちなみにこうした気持ちは、白濱自身、とても共感できると語っており、馬村のまっすぐさや、どうしても感じてしまうフラストレーションとの葛藤を、素直に、決して大げさではない表情の変化やセリフの言い回しで見せていった。大きな動きのない役柄だったからこそ、瞳の奥に感情を湛えた演技が引き出されたと言っていい。

 すずめに告白したり、手をつないで帰ったり、獅子尾と衝突したり。『ひるなかの流星』の世界観に、ぴったりとはまって見せた白濱。これまでとは違うアプローチによって、グループのひとりとしてではなく、ひとりの役者としての扉を開いた。本人も「ひとりの俳優としてもやっていきたい」と口にしており、今後は、イケることを証明した少女コミックものの実写化だけでなく、こちらも続くだろう小説の原作ものや、完全オリジナル脚本による作品など、ジャンルを問わずに果敢に挑んでほしい。挑戦こそが、役者としての糧になり、ひいては日本映画の作品の空気も循環していく。

望月ふみ

最終更新:3/24(金) 12:22
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