ここから本文です

【試写室】「そして誰もいなくなった」極上のミステリーに震える

3/25(土) 6:00配信

ザテレビジョン

1に仕事、2に仕事、3、4がなくて5に仕事、そして誰もいなくなった…友人が。

万が一これを読んでいる知り合いがいたら、「もともといねえだろ!」ってツッコミはできればない方向でお願いしたいところではあるが…。

【写真を見る】密室と化した島に集まった10人が次々と殺されていく…!

というより、そもそもアガサ・クリスティの世界的名作のタイトルで遊ぶ時点で不謹慎か。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回は3月25日(土)、26日(日)に放送される仲間由紀恵主演の「二夜連続ドラマスペシャル アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』」(テレビ朝日系)を取り上げる。

アガサ・クリスティの名作を日本で初めて映像化した同ドラマは、絶海の孤島で10人の男女が謎の声により過去の罪を暴露され、さらには不可解な連続殺人事件に巻き込まれていく物語。仲間を主演に迎え、向井理、柳葉敏郎、余貴美子、國村隼、藤真利子、大地真央、橋爪功、津川雅彦、渡瀬恒彦といった豪華なキャストが集結している。

八丈島沖に浮かぶ孤島・兵隊島に立つ「自然の島ホテル」のオーナー・七尾審によって10人の男女が島に呼び寄せられる。

元水泳選手の白峰涼(仲間)、元東京地裁裁判長・磐村兵庫(渡瀬)、元国会議員・門殿宣明(津川)、救急センター医師・神波江利香(余)、元傭兵・ケン石動(柳葉)、元女優・星空綾子(大地)、ミステリー作家・五明卓(向井)、元刑事の久間部堅吉(國村)の8人は島に到着するも、ホテルの執事夫婦の翠川信夫(橋爪)とつね美(藤)からオーナーの七尾は不在だと告げられる。

期待と不安に包まれながら夕食をとっていると、突如過去の罪を暴露する“謎の声”が聞こえてくる。

10人が互いの過去を探る中、1人の招待客が目の前で殺されたことを機に、1人、また1人と殺されていく。数日後、事件の報を受け兵隊島へと向かった警視庁捜査一課の警部・相国寺(沢村)と八丈島東署捜査課の警部補・多々良(荒川)は、大きな“密室”で死体となって発見された10人が、殺された謎に迫っていく…というストーリーだ。

第一夜のオープニングで、キャストの顔と名前がオープニングロールとなって海の中から出てきたのは斬新で、初っ端から背筋が凍った。この時点で、ただごとではない作品だろうというのがひしひしと伝わってくる。

10人のキャストと刑事役たちの豪華さは既報通りあらためて語る必要もないのだが、それ以外にも船の船頭、ナレーションにも名優を配している。

8人がホテルに到着して、自己紹介するくだり。変な話だが、見ようによっては婚活パーティーに参加した男女のようにも見え…なくはない。向井の若干チャラめな小説家先生ぶりと、たまたま「相棒season15」の最終回スペシャルを見たばかりだからか、余計にキュートに見える仲間。

この時点ではちょっぴりいたずら好きのオーナーによるお戯れのようで、楽しげな雰囲気だったのだが、“謎の告発”でその状況は一変し、一気にサスペンス色が強くなっていく。

個人的には、いきなり脱線してしまうが、元判事役の渡瀬さんが偽名を使っている久間部(國村)に「あなた警視庁捜査一課の刑事でしょ」と語りかけるシーンが大好き。「あなたもそうですよね(9係)係長!」と、つい画面越しにツッコんでしまった。(たぶん私だけではないはずだ)

ただ、その姿も見られなくなるのかと思うと、悲しい。あの柔和な語り口調の係長を見て育ったテレ朝っ子としては、悲しくて仕方ない。本作でも要所要所で物腰が柔らかい中にも力強いリーダーシップというか、状況をきちんと見極めようとする姿、そしてその物言わせぬ迫力…素晴らしい。

本当に何度でも言うが、もう見られないのは寂しい。心より渡瀬恒彦さんのご冥福をお祈りいたします。

さて、今回の“連続殺人”の鍵を握るのが「小さな兵隊さんの唄」。その数え歌通りに殺人が起こっていき、ダイニングルームに置かれた10体の兵隊人形が1人死ぬごとに減っていく…という不気味なミステリーだが、テンポよく殺人が起き過ぎて、残忍な殺人のはずなのだがそれを考える余地すらも与えない。

批判ではなく、もちろんいい意味で。まるで数え歌に乗っていたずらっ子がいたずらを仕掛けるがごとく、連続殺人が起きているさまを描くあたり、国民的刑事ドラマ「相棒」を長年撮影してきた和泉聖治監督の手腕だからこそ、というほかない。

ましてや原作を読んでいなかった者としては、正直誰がどの順番で死ぬか、そして誰が誰を殺したのか、真相は何も分からないので、純粋に第二夜への興味が湧いた。

「2時間ドラマって長くて見ていられないんだよなあ」、ましてや二夜で4時間超なんて…とお思いかもしれないが、月並みだけど、あっという間に見られるし、文学的要素に興味がある人もない人も、シンプルに楽しめる作品になっている。

ここでちょっとだけ二夜にも触れると…沢村演じるキレ者・相国寺警部が、独特の風貌に間合い、立ち居振る舞いは一見の価値あり。沢村をして「荒川さん演じる多々良との掛け合いは本当にかみ合っていなくて…(笑)」という、多々良警部補とのやりとりも含め、ミステリーの謎解きの部分も注目だ。

せっかくの土日だけど周りに“誰もいなくなった”人は、日本を代表するキャスト・スタッフが集結して映像化された世界最高峰のミステリーをじっくりと堪能してほしい。

最終更新:4/22(土) 23:03
ザテレビジョン

記事提供社からのご案内(外部サイト)