ここから本文です

鴨川の江ノ島!? 源頼朝伝説が残る、仁右衛門島を知っているか

3/26(日) 8:00配信

BEST TIMES

全国6位の人口を抱える千葉県の奥深い歴史。「地名の由来」シリーズでおなじみ谷川彰英氏の最新刊、『千葉 地名の由来を歩く』から源頼朝伝説の地をたどる。

(3)仁右衛門島  鴨川市

 わずか一か月しか滞在しなかったのに、千葉県下には頼朝伝説がまるで雨後の筍のようにあちこちに誕生した。おそらく、鎌倉幕府を開いて天下に号令をかけた源頼朝にあやかろうと考えた人々の思い・願いがそうさせたのである。

 伝説というものはそういう意味では史実ではないにしても、その土地に生きてきた人々の思いを今に伝える貴重な財産であると言える。

 その伝説の一つが、鴨川市の仁右衛門島(にえもんじま)に残る頼朝伝説である。鴨川市太海海岸から200メートル離れた島で、日蓮上人や頼朝の伝説で知られている。

 実はこの仁右衛門島には初めて足を運んだ。単なる観光地だという思いがあったのだが、まったく違った印象を得た。湘南の江の島のように橋続きで渡れるのだと思い込んでいたが、何と懐かしい渡しの舟で運んでくれる。

 船頭さんの話を聞いてまたびっくり。「仁右衛門島」は「平野仁右衛門」という人物が鎌倉時代から個人で所有している島で、今もその「平野さん」が管理しているという。現に島の頂上部に平野家の屋敷が存在している。スタッフに訊いたところによると、昔は島の海辺にあったのだが、津波で流されて今は島のいちばん高い所にあるのだという。

 日蓮上人が旭を拝したという神楽岩のすぐ下に、頼朝が夜襲を避けて身を潜めたという洞窟がある。今は稲荷大明神が祀られているが、確かに深い洞窟で身をひそめる場所としては格好であったろう。隣には「頼朝公」という石碑まで建てられている。

 伝説は伝説として受け止めておきたいが、この島が代々平野仁右衛門という個人名で引き継がれてきているという事実のほうが重く映った。もう少し早く来るべきであった。

 【『千葉 地名の由来を歩く』より構成】

文/谷川 彰英

記事提供社からのご案内(外部サイト)

出版社ベストセラーズの編集者が作る「感情を揺さぶる」情報マガジン「BEST TIMESベストタイムズ」。