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800馬力の解決策!フェラーリ 812スーパーファストは何がスゴイ?

3/29(水) 15:01配信

GQ JAPAN

フェラーリは3月17日、ジュネーブ・モーターショーで同社の新世代旗艦モデル「フェラーリ 812スーパーファスト」を発表した。現地会場から大谷達也がレポートする。

【フェラーリ 812スーパーファストの動画とフォトギャラリーはこちら】

■困難だからこそやり遂げる

フェラーリの量産モデルとして史上最高の800psを生み出すV12 6.5リッター自然吸気エンジンを作り上げたことも驚異的なら、これをトラクションの確保が難しいフロントエンジン・リアドライブでまとめ上げたことにも驚きを禁じ得ない。今年のジュネーブ・モーターショーでフェラーリが発表した812スーパーファストは、ある意味で常識外れのスーパースポーツカーだ。

「ミドシップであればハイパフォーマンスを実現するのは容易でしょう」と、 マラネロでコマーシャル&マーケティング部門のシニアバイスプレジデントを務めるエンリコ・ガリエラが個別インタビューに応じて言った。

「エンジニアリングの視点でいえば、しかし、フロントエンジンで同じパフォーマンスを実現することはきわめて困難なことです。にもかかわらず、その困難なタスクをやり遂げることにこそ、フェラーリのフィロソフィーがあるのです。最大のチャレンジは、F12 TdFと同じパフォーマンスを持ちながら、はるかにコントローラブルなクルマに仕上げることにありました」と、 そう語るのは、フェラーリ・ロードカーの技術面を統括するミハエル・ライタスだ。

彼の言葉を信じるならば、先のF12 TdFは上級ドライバー向けで、812スーパーファストのほうが幅広い層に受け入れてもらえることを狙ったモデルということになる。

「そのとおりです」とライタス。

「F12 TdFではフロント・サスペンションに新しいセットアップを採用しました。これに伴ってドライバビリティが低下したため、812スーパーファストには4輪操舵機構を盛り込みました。この結果、プロフェッショナルでないドライバーでも自信を持って限界まで持ち込めるハンドリングを実現できました」

そしてもうひとつ、812スーパーファストで注目すべき点がある。それはフェラーリ初の電動パワーステアリングを搭載したことだ。

■フェラーリ・ピーク・パフォーマンスとは何か?

なぜ、フェラーリはこの時期に電動パワステを採用したのか? ライタスに訊いた。

「電動パワステはすでにどの自動車メーカーも採用しています。そして今後20年で性能面でも油圧式パワステを完全に凌ぐことが期待されています。私たちは古い技術に固執した“古くさい自動車メーカー”になるつもりはありません。しかも、電動パワステは燃費面にもメリットがある。ということで、私たちにとっても電動パワステは避けて通ることのできない技術です。もっともフェラーリがなにか新しいコンポーネントを採用するときは、その技術によって他社がすでに実現しているメリットにとどまらず、いままでにない価値、もしくはパフォーマンスを盛り込むのでなければなりません。ですから、私たちは、かつてなかった新しい機能を電動パワステに与えたのです」

これがフェラーリ・ピーク・パフォーマンス(FPP)と呼ばれる新しいドライバー支援装置である。「こんな状況を想像してみてください」 と、ライタスは続ける。

「コーナーリング時に限界を越えてオーバーステアになったとき、ドライバーのスキルによって2種類の操作を選択することが考えられます。スキルの高いドライバーであればカウンターステアをあてるでしょう。いっぽう、スキルの低いドライバーのなかには、さらにステアリングを切り増そうとする人がいるかもしれません。当然、ドライビングとしては前者が正しく、後者が間違っているわけですが、FPPは、カウンターステアをあてた場合には操舵力を軽くし、反対にステアリングを切り増した場合には操舵力を重くするように電動パワステのアシスト量を制御します。こうすることで、ドライバーに正しい操作のヒントを与えようとしているのです」

限界を越えたときに自動的にカウンターステアをあてるクルマであればすでに製品化されている。しかし、フェラーリが目指す方向性はそうではなかった、とライタスは語る。

「これは世にあるアクティブ・ステアリングとは異なります。また、私たちの嫌いな自動運転でもありません。正しいドライビングのヒントを直観的に与えるものです。こういう装置なら、セバスチャン・フェッテルやキミ・ライコネンもきっと好きになってくれるでしょう」

ドライバーアシスタンスもフェラーリが作るとひと味違ったものになる、ということだけれど、その実際については、いずれ報告する日を待たれたい。

文・大谷達也

最終更新:3/29(水) 22:24
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