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ターゲットイヤーファンド投資に潜むリスク

3/31(金) 15:41配信

会社四季報オンライン

 「ターゲットイヤーファンド」をご存じだろうか。今から20年ほど前に、いろいろな投資信託会社がこの手のファンドを相次いで設定・運用したと記憶しているが、それほど人気は高まらなかった。

 同ファンドは受益者が自らマーケットリスクを勘案しリスクポジションの調整をしなくても、運用期間の経過とともに同ポジションの比率を自動的に下げる一方、安定資産の比率を引き上げてくれるのが特徴だ。齢を重ねるにつれリスク資産を徐々に下げて運用したいというニーズに合う投信であり、老後資金の運用に最適との触れ込みで登場した。

 表は2017年2月末時点で運用されている公募型のターゲットイヤーファンドの一覧だ。どのファンドも名前の末尾に「2020」「2030」といった数字が付されている。これは各ファンドの運用が終わる西暦年を示す。そのターゲットへ向けて株式などリスク資産の組み入れ比率が徐々に低下する一方、債券など安定資産の組み入れ比率が高められ、償還時にはほぼ安定資産100%で運用される。

 個人対象の資産運用アドバイスだと、「若いうちはリスク資産を多めに持ち、定年になったらリスク資産を持たず安定資産を中心に運用しましょう」などと言われる。これは定年になると年金以外に定期的なキャッシュフローがないので、保有資産についてはできるだけマーケットの影響で資産が目減りしないものを持つべき、という考えに基づいている。その是非はともかく、ターゲットイヤーファンドは長期保有が大前提なのだ。

■ ターゲットの13年前に繰り上げ償還

 ターゲットイヤーファンドには、「2040」とか「2050」と書かれているものがある。2050といえば西暦2050年。今から33年後の話である。将来の定年が65歳として、今32歳の人たちが定年になるころ、償還を迎えるというわけだ。

 多くのファンドが設定から3年程度で償還されてしまうことを踏まえれば、33年後をターゲットにしたファンドがあるのは悪いことでない。

 ただ、現実問題として長期の運用を前提としたファンドを設定しても、その意義や価値を認めてくれる個人がどの程度いるのか、という疑問が残る。

 先日、プルデンシャル・インベストメント・マネジメント・ジャパンが設定・運用していたターゲットイヤーファンド、「PRUグッドライフ2030(愛称:順風満帆)」が繰り上げ償還された。「2030」ということは30年まで運用が続くことを前提に商品設計をしている。購入した受益者も、13年後に定年を迎えるとき、運用資産が大きく膨らんでいることを想像していたはずだ。

 ところが、実際にはそのはるか手前で繰り上げ償還されてしまった。30年にかけて資産が大きく膨らむことを夢見て同ファンドを購入した受益者は、この体たらくをどう受け止めたのだろうか。おそらく今後、さまざまな問題が生じるだろう。30年までの運用を前提に購入したのに、残りの13年間、どうやって運用すればいいのか。

 ファンドによっては基準価額が設定時の1万円を割り込んだまま、繰り上げ償還されるリスクもある。償還時の基準価額が各受益者の購入した同価額よりも値下がりしていると、その受益者は最終的に損失を被ることになる。受益者にとっては大問題だ。

 では、なぜ繰り上げ償還されるのか。理由はただ一つ。ファンドの規模が小さすぎるからだ。あらためて表を見てもらいたい。設定から10年以上経過したファンドでも、純資産総額は10億円を少し上回る程度。少ないものだと、1億円にも達していない。50年まで1億円しかない信託財産を運用し続けるのは、経済合理性から考えても無理がある。

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