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「体力の続くかぎり、自分のことは自分で始末しなさい」多忙な土光敏夫はこうして“自分の時間”を作った

4/3(月) 6:45配信

BEST TIMES

体力の続くかぎり、自分のことは自分で始末しなさい ──土光敏夫

多忙を極めた土光氏は、時間の使い方に関しても、徹底して合理的であることを望んだ。それは仕事のみならず、プライベートにも及んでいた   

土光敏夫氏に関する過去の記事でも触れてきたように、土光氏の生き方の根幹にあるのは、自らの足でキチンと立ち、周囲を欺いたり、過度に依存したりすることなく、自らの責務を忠実かつ真摯に遂行していく姿勢です。
そうしたスタンスは、自己啓発書の古典として長らく読み継がれてきたサミュエル・スマイルズの名著『自助論(西国立志編)』で語られているような精神性にも通じます。つまりは、時代や境遇に左右されない確かな普遍性を備えた“人生の要訣”が、土光氏の言説には数多く散りばめられているともいえるでしょう。
たとえば、時間管理。セルフマネジメントは大人として、ビジネスパーソンとして必要不可欠な取り組みですが、そのなかでも「いかに時間を上手く使いこなすか」という問題は、仕事にしろ余暇にしろ必ずついて回る最重要課題のひとつです。
『土光敏夫大事典』という本のなかに、次のような一節が登場します。
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 時間というものは、各人の心の中にある、といえるのではなかろうか。
 いかに忙しくとも、私の時間をつくろうと思えばいくらでもつくれる。要は仕事と私生活の間にメリハリをつければいいわけで、たとえ三〇分でも一時間でもプライベートな時間は大切に大切に使う。
 そして中身を濃くすれば、それはそれで、何時間分の休みに相当するのではないか、と。
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まあ、理屈はわかるけど、そう上手く時間なんてやり繰りできないよ……なんて鼻白む向きもあるかもしれません。しかし、自分の一日の行動を冷静に振り返ってみると、ただなんとなく、漫然と時間を使ってしまっていたタイミングが少なからず見つかるのではないでしょうか。
土光氏はさらに続けます。
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 若いころ、出張に出ると、僕は一緒に行った先輩や同僚の前からよく消えた。当時は旅館でザコ寝するのが当たり前だったが、同行者が起きてみると僕の姿がない。「あれ、土光の奴、どこへ行ったのか」、と訝っているところへ、朝飯の時間きっかりに戻ってくる。
「朝っぱらから、おまえ、どこへ行っていたんだ」
「いや、ちょっと近くの公園で本を読んでいたんだ」
 僕は毎朝、法華経を唱えるのが習慣だったし、とにかく早起きだ。家にいるときは、夜一一時就寝、朝四時起床が日課だった。空いた時間はほとんど読書に注ぎ込む。
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これって要は、現代でいうところの“朝活”にあたるでしょう。早起きして、早朝に本を読んだり、ゆっくりと新聞に目を通したり、語学や資格取得の勉強をしたり、ヨガやジョギングなどで身体を鍛えたりといった“朝活”は、時間を有効活用したいと考えるビジネスパーソンのあいだでお馴染みの取り組みです。

時間を効率良く使いこなすのは、休みの日も然り。家庭菜園での野菜づくり、家の修繕、庭の手入れ、読書などで休日を過ごしていた土光氏ですが、「人間、趣味といえども本気でやれば疲れるもので、短時間でも充実した余暇が過ごせるし、第一、ムダがない」「のんべんだらりとやるよりも、根を詰めるほうが、より身につく」と、どこかストイックな印象があります。ただ、ご本人はそうした趣味を通じて「もちろんリラックスできるし、明日の活力を生むことにもなる」と綴っていますし、「それが良いか悪いかは、あくまでも個人の選択であって、僕は自分のやりかたを人に押しつけることはしない」とも語っています。仕事だけでなく、自己研鑽や趣味についても、周囲に振り回されたりすることなく、自分で考えて、能動的に選択していくのが大事──そんな諭しにも思えてきます。

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