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“ルールメーカー”トランプ・アメリカとの共生の探求(前編)

4/3(月) 11:50配信

政治山

 トランプ政権が始動して早2カ月が経過した。当選から就任まで日本国内においてもトランプ氏が本当に大統領としてふさわしいのか、アメリカは今後どこに向かうのか、世界は(我々の理想とする)アメリカを失ったのか、といった不安の声が多く聞かれた。

 当初は「トランプ大統領」という名詞にさえ違和感を覚えていた我々であったが、二カ月経ち思っていたよりもトランプ氏が“クレイジー”でないことを学び、徐々に落ち着いた目でアメリカ合衆国と第45代大統領を見るようになってきたのではないか。

 米国史上初の公職に就いたことのないトランプ氏の過激な発言は、大統領選出馬表明前から世界に衝撃を与え、注目を浴び続けてきた。それらの発言の影響を受け、トランプ氏は常にニュースの、そして人々の頭の中に一定のスペースを占拠するようになり、大統領当選の瞬間から、我々は“トランプアメリカ”と共生する方法を探求することが一つの命題となった。

 選挙戦序盤から彼の発言は常に人々を驚かせ、メディアの注目を集めた。中でもツイッターを使った発言は世界中にダイレクトに彼の言葉を届けるものとして、良くも悪くもフィルターのかかっていない主張を示すツールとなり、大統領就任後の現在も有力なツールとして機能している。泡沫候補とまで揶揄されていたトランプ氏がホワイトハウスの住人となった理由は何か。

「多くのイスラム教徒が9.11を祝福していた」

 その一つに彼が社会のルールに従って行動するのではなく、自らのルールを設定し、自らのフィールドに社会を引きずりこんだことが挙げられる。

 選挙戦がまだ下火にあった2015年11月、中東政策について問われたトランプ候補は「多くのイスラム教徒が9.11を祝福していた」と発言。この発言は国内外で注目され、トランプ氏の対イスラム観がどのようなものであるか示すものとなった。

 就任後に中東7カ国からの入国を禁じた大統領令を発するきっかけとなった発言はこの“9.11発言”の翌月、自身のウェブサイトの声明として発信された。声明では入国を禁止する国は特定していないものの、イスラム教徒全体を入国禁止対象として掲げ、世界中、特にイスラム教国からの強い反発を受けた。同様に就任直後大統領令を発し、大きな注目を集めているメキシコ国境の壁建設もこの時期の発言である。これら発言を取材したCNNの記者は「エンターテインメントとしては面白い発言」と報道している。

 世界を驚かせた多くの発言は今までのアメリカ(少なくとも大統領候補者の発言)では考えられないものばかりであった。もちろんトランプ氏もそのことは重々承知の上で発言したのであろう。仮にそれに気づいていなかったとしても、世論の反応を通じその影響を理解していたはずである。しかし彼はその発言を取り下げることはなく、むしろ声高にそれらを主張するようになった。その結果、我々は彼の一挙手一投足にこれまで以上に注目せざるを得なくなり、他の候補者の(ある意味で一般的かつ優等生的)主張は、陰に隠れて存在感が低下することとなった。

 様々な発言の真意が、注目を集めることで隠れていた支持層を活気づけるためのものだったのか、はたまた額面通り彼の思想そのものなのか、今の我々には判断することは難しい。しかしいずれにせよ、世界の目を自分に向け、「アメリカにとってどのような政策が重要か」という政策論争ではなく「トランプの目指す世界(政策)をどう評価するか」という全く別軸にオーディエンスを引きずり込み、我々は気づかぬうちにトランプ劇場の観客になっていた。

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最終更新:4/3(月) 11:50
政治山

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