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シトロエンのキモカワ系C4カクタスを試乗──これぞフランス車の味わい

4/3(月) 21:01配信

GQ JAPAN

シトロエンの小型クロスオーバーモデル、C4カクタスに試乗した。スペックは凡庸そのもの。しかしこの新種のキモカワ系、じつは優れたアスリートだった!?

【新型シトロエン C4カクタスの動画とフォトギャラリーはこちら】

■シトロエン GSを彷彿させる魅力

「結核病みの美少女に恋したようなものだ」シトロエン GSに魅入られたひとのことを、その昔、ある高名な自動車評論家がそう表現した。

風立ちぬ。いまは春。今日から私はこころの旅人。♪じゃんじゃかじゃん。

というのは作詞・松本隆、作曲・大滝詠一の名曲「風立ちぬ」ですが(蛇足ながら、ホントは秋です)、フランスの自動車メーカー、シトロエンが満を持して1970年に放ったGSは、当時のハイテクを惜しむことなく投入したミド・レインジ用小型車の傑作である。「ハイドロニューマチック」と呼ばれる油圧サスペンション、インボードの4輪ディスクなど、ハードウェアは当時のシトロエン流、つまり前衛の極みだった。

デザインもまたしかりで、空力に基づいたエクステリアと、デジタル・メーターに代表される未来的なインテリアは、デザインおたくのこころを鷲づかみにするだけでなく、居住空間も十分確保されていて実用的でもあった。

油圧サスペンションがもたらす乗り心地は快適そのもので、当時は少数派だった前輪駆動ならではの正確なハンドリングと直進安定性も大いなる長所だった。人気を博したのも当然ので、1986年に生産が終了するまでに累計200万台が生産された。

ただし、ハイドロニューマチック・サスペンションはそれ自体が慢性的な病ともいえた。ブレーキも足回りと同じ油圧を使う理想主義的な設計に工作精度が追いついていなかった。オイル漏れは当たり前だった。あまりの信頼性の低さ、メインテナンスの煩雑さにメカニック諸氏が辟易した。鉄板の薄さに「手ぇ切るんだよね」と、その昔、崎山自動車の崎山和雄さんが笑いながら話しておられた。

ここにご紹介するシトロエン C4カクタスは、クロスオーバーという仕立てではあるものの、GS、ZX、クサラ、C4と続く系譜に連なる最新モデルである。ヨーロッパでは2015年、日本では昨16年秋に登場したこのC4カクタスが、結核病みの美少女のような、つまりGSを彷彿させる魅力を持っていたことに、筆者は感慨を催さずにはいられない。

■あっという間に売り切れ

21世紀の今日において、結核はもはや不治の病ではない。はずなのだけれど、C4カクタスときたら、コンコンと咳き込むように、ギクシャクしながら発進するのだ、いつも。特に渋滞においてはことさらに。

それはアイドリング・ストップ機能によるエンジン停止から再始動のタイミングが現代の基準をもってすると、ものすごくのんびりしているから、ということに尽きる。その証拠にアイドリング・ストップ機能を停止にすると、はるかになめらかに発進することができる。おそらく始動用のモーターと電池の容量が小さすぎるのだ。

おまけにC4カクタスの日本仕様は、1.2リッター3気筒エンジンに、いまどき時代遅れのシングル・クラッチの5段電子制御オートマチックという、はかなげなギアボックスをあてがわれている。

シトロエンの用語で「5段ETG(エフィシェント・トロニック・ギアボックス)」と呼ばれるこの5段ロボット変速オートマチックは、いちいちクラッチを切ってから変速するシステムである。次のギアを用意しつつ、瞬時に切り替えるデュアル・クラッチ式とはおのずと違って、遅いのも道理なのだ。

昨年秋に限定200台が発売されたC4カクタスはあっという間に売り切れた。シトロエニスト諸兄は5段ETGであることを知って、なお受け入れているのは理屈がわかっているからである。つまり、このオートマチックはいささか変速マナーはヘンテコだけれど、安くて効率がよい。だからシトロエンはいまも使っているのだ、と。

本国では1.6リッター・ディーゼル+6段オートマチックの組み合わせもあるけれど、日本仕様はガソリンの1.2リッター直列3気筒DOHCエンジン+前述の5段ETGのみである。1.2リッター・ガソリンは自然吸気で最高出力82psに過ぎない。最大トルクは12.0kgm(118Nm)で、凡庸そのもの。だけれど、それがシトロエン=フランス車なのである。

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最終更新:4/3(月) 21:08
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