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欅坂46、田口 淳之介、女王蜂……“ボーダーレス”な表現力を備えたアーティストたち

4/4(火) 13:00配信

リアルサウンド

 様々な分野のカルチャーにおいて“多様性”というワードが注目されて久しいが、ここにきて日本の音楽シーンにも、幅広いジャンルの要素を取り入れながら、多様な表現を含んだ作品が次々と生み出されている。そのポイントは、優れたクリエイター同士によるボーダーを超えたコラボレーション。今回はボーダーレスな表現の魅力を備えたアーティストの新作を紹介したい。

 デザインの専門誌『月刊MdN』(2017年1月号)で特集を組まれるなど、そのクリエイティブの高さに注目が集まっている欅坂46の4thシングル『不協和音』表題曲は、デビュー曲「サイレントマジョリティー」を手がけたバグベアの作曲・編曲によるナンバー。ラテンのテイストを取り入れたトラック、80年代ユーロビートを思い出しそうになるシンセサウンド、抑制を効かせたメロディラインなど、一見アンバランスな要素を組み合わせることで、まさに「不協和音」的なイメージにつなげている。<調和だけじゃ危険だ><意見を貫け>というフレーズ、あえてリズムを抑え、淡々と言葉を伝えるようなボーカルが生み出すコントラストも鮮烈だ。

 2016年春にKAT-TUNを脱退、11月からソロ活動をスタートさせた田口 淳之介のメジャー1stシングル『Connect』。田口自身が作詞・作曲に参加した表題曲「Connect」は、海外のEDM、トロピカル・ハウスなどを取り入れたサウンドと“つながり”をテーマにした歌詞がひとつになったダンスチューン。ミュージックビデオにはサーフィンの大原洋人選手、スケートボードの中田海斗選手、スノーボードの中井孝治選手らが出演するなど、スポーツと音楽を融合した作品に仕上がっている。枠に捉われず、自分自身のネットワークを活かしながら、ボーダーを超えた表現へと結びつける。このスタンスこそが、ソロアーティストとしての田口の基本姿勢なのだろう。

 ゲスの極み乙女。の休日課長(Ba)、ボーカリストのREIS、えつこによる3ピースユニットDADARAYのデビュー作『DADAISM』。既成概念の否定と破壊を軸にした1910年代芸術運動“DADAISM”、光、光線を意味する“RAY”を組み合わせた”DADARAY”という名前は、そのままこの音楽性につながっている。先鋭的なジャズを下敷きにしたアンサンブル、徹底的に洗練されたメロディ、そして、“作ったら壊していく”(「ダダイズム」)というラインに象徴される、既存の音楽フォーマットを拒み、新しいスタイルを生み出そうとする姿勢。際立ったポップ感と破壊的な衝動が同時に体感できる、きわめて刺激的な音楽だと思う。

 昨年5月にアヴちゃん(Vo)の別プロジェクト“獄門島一家”(お父様(中村達也/Dr)、西園寺(KenKen/Ba)、お兄様(長岡亮介/Gt))とのスプリットシングル『金星 / 死亡遊戯』をリリースするなど、活動の自由度をさらに上げている女王蜂の約2年ぶりとなる5thアルバム『Q』。「金星 Feat.DAOKO」を含む本作は、アヴちゃんの深層心理の奥に現れた少年的人格がもとになっているという。濃密なリビドー、エロス、タナトスが混在になった音楽世界を体感すれば、時代と性別を超えていくようなアヴちゃんの作家性が二度目の覚醒を果たしたことを感じてもらえるはず。現実社会とイマジネーションの世界が混ざり合う歌、ポストロック経由のファンク・ミュージックを軸にしたサウンドメイクは、ドレスコーズの新作『平凡』とも重なる。

 元BiSのコショージメグミ、アイドルオーディション企画「ミスiD 2015」のファイナリスト・矢川葵を擁する4人組ユニットMaison book girlのメジャー1stアルバム『image』。アイドル、ロックの両シーンを軸にしながら、ファッション、カルチャーともリンクした活動を続けている“ブクガ”だが、その中心にあるのはやはり音楽。サクライケンタのプロデュースによる楽曲は、印象派のクラシック、現代音楽、ポストロック、エレクトロニカ、ミニマルミュージック、環境音楽などのエッセンスを取り入れながら、高度かつ緻密なサウンドメイクと現代的なポップスとしての魅力を見事に共存させている。この創造性の高さは、現在のアイドルのなかでは完全に際立っていると思う。

森朋之

最終更新:4/4(火) 13:00
リアルサウンド