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築80年の古民家の包容力に癒される 和文化研究所1階の甘味処「小苦樂」

4/4(火) 12:01配信

CREA WEB

和のお稽古の帰りに楽しみたい素朴な甘味

小苦樂(東京・目白)
甘味:あんみつ、抹茶白玉ぜんざい

 目白駅から目白通りを歩くこと、約10分。細い路地に佇む築80年の古民家を生かした「小苦樂」は、1階を甘味処、2階を日本の伝統文化のお稽古場とする“和文化研究所”です。

 暖簾をくぐり、扉を開けると、その奥は懐かしさ溢れる純日本家屋。玄関先で和服の女将に迎えられると一瞬「ここはどこ?」という気分になりますが、1階は正真正銘、甘味処です。広々としたお座敷にはちゃぶ台が5卓。メニューには「あんみつ」「ぜんざい」「ところてん」「抹茶フロート」などが並んでいます。

 さて、こちらの甘味の特徴は、厳選した素材の風味を生かしていること。

 たとえば「あんみつ」の寒天や「ところてん」は、伊豆産の一番天草(てんぐさ)の煮汁を独自の製法で精密濾過し、敢えて天草独特の風味を残して仕上げるのが「小苦樂」流。富良野産の赤えんどう豆や十勝産の小豆など、吟味した素材を生かした甘味は、素朴でさっぱりした味わいです。

 さらに「小苦樂」が普通の甘味処と違うのは店内に本格的なお茶室があり、希望すれば個室として利用できること。

 躙(にじ)り口を備えた3畳のお茶室は、かつてこの家を所有していた茶道の先生が作ったのだとか。季節によっては茶人の美意識が行きわたった中庭でも、各種甘味やお茶を楽しむことができるそうです。

“おばあちゃんの家”に来たかのようなリラックス感

 それにしても、古民家の包容力は偉大。お座敷で縁側の方に向いて座れば、ガラス越しに中庭の植物の気配が感じられ、初訪問なのに“おばあちゃんの家”に来たかのようなリラックス感に包まれます。

 すぐに帰るのは物足りない……という気分になったなら、甘味の前にワンクッション挟んではいかがでしょうか。

「高野山の梅にゅうめんと三つ葉、ゆずのかやくご飯」は、ひきたてのお出汁の香りに癒される軽食セット。紀州南高梅ととろろ昆布をのせた煮麺のお出汁は、飲み干したくなる美味しさです。三つ葉と柚子の香りを添えたかやくご飯も、派手なところはひとつもありませんが、日本人の味覚の琴線に触れるキラーコンテンツと言えましょう。

 食後におすすめの甘味は「抹茶白玉ぜんざい」。ほろ苦い抹茶の中に甘い小豆と手作りの白玉を落としたおぜんざいは、すっきりした甘さと、白玉のもちもち感が魅力的。これだけを目指して来る価値もある逸品です。

 ちなみに2階のお稽古場では、書道、茶道、華道はもちろん、金継ぎ、蒔絵、三味線、篆刻、煎茶、日本刺繍、和裁、もっとマニアックな路線では一筆画や風鈴絵付け、扇面絵付けなども学べます。お稽古の帰りに楽しむ甘味は、またひときわ美味しく感じられそうですね。

小苦樂(こくら)
所在地 東京都新宿区下落合3-21-5
電話番号 03-6883-8623
営業時間 11:30~18:30(L.O.)
定休日 月曜(ほか不定休あり)
http://www.kokura-bluecampjapan.com/

小松めぐみ (こまつ めぐみ)
東京都生まれ。食い道楽の親の影響で、10代半ばにして料理に目覚める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。2000年に独立し、主に雑誌で飲食関連の記事を編集している。

小松めぐみ

最終更新:4/4(火) 12:01
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