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子ども時代のトラウマは閉経期発症のうつ病の原因 追跡調査で明らかに

Forbes JAPAN 4/5(水) 8:30配信

子どものころに経験したストレスと成人になってからの行動や心的状態、不安障害との関連性は、新たな研究結果が発表されるごとに明確になってきている。



私たちが子どものころに経験することは、長年にわたって私たちの心身から消えることなく残る場合が多い。特に、何の治療も受けなかった場合にはそうなる傾向がある。ペンシルベニア大学の研究チームが先ごろ医学誌「Journal of Clinical Psychiatry(臨床精神医学ジャーナル)」に発表した論文によると、10代の終わりまでに女性が経験したストレスや心的外傷(トラウマ)は、閉経周辺期(更年期)になってうつ病を発症するリスクを高める要因であることが分かった。

この関連性をもたらすものがどこにあるのかについては、完全には解明されていない。だが、ストレスや生殖ホルモン、炎症マーカーなど、分子レベルに存在する可能性が高いとみられている。

研究チームは閉経前(35~47歳)の243人の女性を対象に16年間に及ぶ追跡調査を実施した。調査対象者にはこの間、心的状態や認知的な問題に関する検査、ホルモン検査を定期的に実施。閉経の時期も報告してもらった。そして、調査期間の終了前、幼児期から10代のころに感じたストレスやトラウマになっている経験などについてのアンケートに答えてもらった。

女性たちが経験したことのうち、トラウマになっていることの大半は、思春期を迎える前に起きたことだった。それらには、精神的な虐待、依存症患者との同居、両親の離別や離婚が含まれる。そして、トラウマになっていることが2つ以上ある場合、その女性が更年期にうつ病を発症する可能性は2倍以上に高くなっていたことが分かった。

この新たな研究結果は、人生の非常に早い時期に受けたトラウマと閉経期のうつ病との関連性には、それを説明し得るメカニズムが存在する可能性を示している。ただ、潜在的な関連性を理解するためには、さらなる研究が必要となる。
--{カギは早い時期の治療}--
早期の介入が重要

論文の主著者であるC・ネイル・エパーソン教授は、「人生の早い時期に受けたストレスは、炎症マーカーの増加と閉経周辺期のストレス要因に対する不健全なホルモン応答性と関連している」と指摘する。

「サイトカインのような炎症誘発性の物質は代謝異常、心血管疾患、うつ病、認知的加齢の問題と関連している。子ども時代に経験した困難な状況が閉経周辺期のうつ病の発症につながるリスク因子であること分かった今、そうした経験がいかに私たちの心身に根付き、いかに閉経周辺期の女性の精神的健康に持続的な影響をもたらすのかを明らかにすることが重要だ」

早い時期に受けるストレスと閉経周辺期のうつ病との関連を断ち切るためにできることのうちカギとなるのは恐らく、子どものころの問題にできる限り早期に対応し、治療することだろう。

前臨床研究や脳画像の研究などから、脳が人生の初期に受けるストレスによって変化することが分かっている。さらに、困難な状況に置かれたときに起きる脳とその発達過程の変化に加え、そうした状況が行動や人生における選択に関わるリスクを増し、健康の面で最適とは言えない生活につながることが分かっている。

エパーソン教授によれば、瞑想、投薬治療、心理療法、運動、健康的な食事は全て精神的な面で効果があるほか、ストレスや炎症反応を制御してくれる。トラウマについては、やはり治療の開始が早ければ早いほど、効果が大きいという。

Alice G. Walton

最終更新:4/5(水) 8:30

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