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王者を下したホッフェンハイムのキーマンは”サッカー界のクォーターバック”

4/6(木) 20:34配信

footballista

月刊フットボリスタ第43号特集『「ポジション」多様化時代へようこそ』より

日本では長谷部誠の活躍で脚光を浴びたリベロだが、同じブンデスリーガでもう一人、今季リベロへとコンバートされ評価を高めている選手がいる。4月4日の試合でバイエルンに勝利したホッフェンハイムのフォクトだ。
典型的なボランチだった25歳のドイツ人MFは、29歳の指揮官ユリアン・ナーゲルスマンによってコンバートされ新境地を開拓。今ではポゼッションスタイルの中核として最終ラインに君臨している。

ホッフェンハイムの基本布陣とフォクトのプレーエリア


Kevin VOGT
ケビン・フォクト
1991.9.23(25歳)194cm / 85kg GERMANY


 今季ケルンから移籍して来たフォクトは、開幕時点では典型的なボランチの選手に過ぎなかった。実際、ナーゲルスマン監督が「ファイタータイプでピッチに緊張感をもたらしてくれる」と評する194cmの長身MFは、開幕節RBライプツィヒ戦では[4-3-3]のアンカーとして先発を果たしている。しかし、この試合で相手の猛攻を防げずハーフタイムに交代を命じられると、第2節はベンチ外となってしまった。

 だが、転機は早々に訪れた。第3節ボルフスブルク戦の37分にCBジューレが負傷し、4バックのCBとして途中出場。1対1勝率78%、パス成功率89%という活躍で信頼の回復に成功する。そして、迎えた第5節シャルケ戦で3バックを採用したナーゲルスマン監督は、フォクトをその中央に抜擢。2-1で今季初勝利を手にしたチームは、勢いに乗って前半戦無敗という快挙をやってのけた。

 ホッフェンハイムの新スタイルは、一言でいえばポゼッションサッカー。3バックとアンカーのルディがショートパスを交換して相手のプレスをかわし、前線で動き回る選手に縦パスを入れてゴール前に迫る。後方にいる4人のパサーと、前線にいる6人のレシーバー(2トップ+2シャドー+2ウィングバック)と表現したらわかりやすい。


■古典的リベロとの違い


 その中でフォクトはどんな役割なのか。ナーゲルスマン監督は会見で、アメフトのクォーターバック(QB)にたとえてこう表現する。

 「古典的なリベロとは違う。リベロはラインの後方にいるが、ケビンはラインの上にいる。現代サッカーではオフサイドトラップが大きな意味を持つからだ。リベロというよりはQBに近い。トム・ブレイディ(ペイトリオッツの伝説的QB)のようなプレーをしなければならない」

 つまり、守備ではカバーリング役ではなくラインの統率役を務めるとともに、攻撃時にはパスの出しの起点となるのだ。また、フォクト自身はこう考えている。

 「これまでCBをやったことはなかったが、ボランチより少し後ろに下がっただけ。違和感はない。ただ、パスをミスするとより致命的になる。常に100%の集中が必要だ」

 見た目に似合わず足が速く、ドイツ代表入りを期待する声も高まってきた。ナーゲルスマンの戦術が、25歳の隠れた才能を覚醒させた。

(文/木崎伸也)

最終更新:4/6(木) 20:50
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