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どうやっても人手は不足する~国の課題は「需要不足」でなく「人手不足」

4/6(木) 11:50配信

政治山

過去10年、380万人相当の労働力が失われる計算だったが。。。

 宅配業界をはじめ、多くの業種で人手不足が目立つ。しかし、高齢化、少子化のスピードを踏まえれば、これまでやり繰りできてきたことの方がむしろ驚きだ。

 わが国では、2016年までの10年間に、生産年齢人口(15~64歳)が760万人減少し、65歳以上人口が820万人増加した。

 その労働力に与えるインパクトは絶大だ。仮に10年前と同じ労働力人口比率(注1)が続いていたとすれば、労働力人口は2016年までに380万人相当減少していたはずだった(参考1参照)。これは労働力人口の6%に当たる。

 その主因は、少子化に伴う20~29歳層の減少と、団塊世代の高齢化に伴う55~64歳層の減少である。65歳以上は増加するが、若年・中堅層の減少を補うにはいたらないとの試算結果だった。

(注1)労働力人口とは、「就業者」および「完全失業者」(失業中ながら就労意欲があり、求職活動を行っている者)の合計。労働力人口比率とは、その人口全体に占める比率。

実際は、女性の劇的な就労増で人手不足が回避されてきた

 だが、この10年間、実際の労働力人口はわずか9万人の減少にとどまった。上記試算に比べれば、370万人相当の労働力が生み出された計算となる(前掲参考1)。試算値との乖離をみると、男性+60万人、女性+305万人と、女性の寄与が圧倒的に大きい。

 実際、女性の労働力人口比率は、20代後半から60代後半にかけて、どの年齢層をとっても大幅に上昇した(参考2参照)。供給サイドの要因(働き方の変化など)と、需要サイドの要因(医療・福祉分野の求人増)の双方が重なって、就労増につながったとみられる。

今後、2025年までに460万人相当の労働力がさらに失われる

 では、今後はどうか。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(2012年1月推計)を基に、2025年までの9年間につき労働力人口の変化を試算してみよう。

 先の例にならい、仮に2016年と同じ労働力人口比率が今後も続くとすれば、労働力人口は2025年までにさらに460万人相当減少するとの試算結果となる(参考3参照)。これは、前述の過去10年の試算をさらに80万人上回るハイペースだ。

 実は、この間の生産年齢人口(15~64歳)の減少ペース自体は、過去10年に比べスローダウンする(2006~16年-760万人、2016~25年-550万人)。にもかかわらず、労働力人口は減少スピードがむしろ速まる。これは、団塊世代が70代後半に到達し、そのほとんどが引退に向かうと見込まれるからだ。

 果たして、この人手不足は埋められるか。

 試みに、15歳~60代後半までの女性の労働力人口比率が、過去10年とほぼ同じペースで上昇し続けると仮定すると、270万人相当の労働力が付け加わる計算となる(注2)。 また、男性の場合は、過去10年間、60代前・後半の労働力人口比率が大きく上昇した。今後も同年齢層の比率がほぼ同じペースで上昇し続けると仮定すると、70万人相当の労働力がさらに付け加わる。

(注2)この仮定のもとに計算すると、20代後半から50代後半の女性の労働力人口比率はすべて8割を超えることとなり、その実現自体にかなりの努力を要する。

 そのインパクトは決して小さくない。しかし、この両者を合わせても、労働力の増加は340万人相当にとどまり、上記試算による人手不足(460万人相当)を埋めきれない。

 では、外国人はどうか。外国人労働者は過去2年に急増し、年平均は+14.8万人を記録した。したがって、このペースが今後9年間続けば外国人労働者は133万人増え、前述の15歳~60代後半女性および60代前・後半男性の労働力増加とあわせて、ようやく人手不足の試算値に見合う計算となる。

 しかし、注2で述べたように、女性の労働力人口比率が今のペースで上がり続けること自体、相当の努力を要する。結果的に、どうやっても人手が足りない業種や地域がでてくることは避け難いだろう。人手不足を埋めるのは容易でない。

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最終更新:4/6(木) 11:50
政治山

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