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ギャンブル依存症が3年前の536万人からいきなり半減!そのカラクリとは何か

4/6(木) 16:20配信

HARBOR BUSINESS Online

 3月31日、厚生労働省は国内の成人のうち、2.7%がギャンブル依存症の疑いがあると発表した。

 報道によれば国立病院機構久里浜医療センターの研究グループが、東京23区や大阪市、名古屋市、福岡市などの全国11都市に住む20歳から74歳までの男女2200人を選び、協力の得られた993人に対し国際的な診断基準に沿った約100問の調査項目を使って面接調査を行った。その結果、生涯を通じてギャンブルに依存していた疑いがある人は26名(2.7%)となった。

 これを元にすれば、日本全国のギャンブル依存の疑いのある人は推計値で約280万人(日本の成人人口は平成28年10月1日で約1億3百万人)となる。2013年に厚生労働省が行った調査では、ギャンブル依存症の疑いがある人が4.8%、推計値で536万人とされていたものが「半減」となる結果となった。この結果をどう受け止めるべきか。

◆「ギャンブル依存症536万人」は嘘だったのか?

「ギャンブル依存症536万人」は、昨年末に国会において、いわゆるIR推進法案(カジノ法案)成立の過程の議論で、反対派の議員たちから幾度も強調された数字である。

 そしてこの言葉が使われる時、必ずと言っていいほど「パチンコ」が引き合いに出された。日本には1万店以上のパチンコ店があり、ギャンブル依存症者のほとんどは、パチンコが原因であるという。

「パチンコ=ギャンブル」の議論については、論点からずれるので一旦は端に置く。

 IR推進派の議員からは、公営ギャンブルのほか、パチンコも含め、ギャンブル等依存症対策を講じるとしながら、ギャンブル依存症の実態については3月に発表される厚生労働省の新たな調査結果をもって判断していきたいと言っていた。

 そして今回の調査結果である。

 結論から言えば、今回(2017年)の調査結果は妥当な数字と言える。

 そもそも、レジャー白書2016によれば、1年間のうち1度でもパチンコをしたことがある人は1070万人となっている。依存症者の「そのほとんどがパチンコ」であれば、ほぼ2人に1人は依存症ということになる。さすがにこれは暴論だ。

 今回の調査において重要なキーワードは「生涯を通じて」という言葉。推計値の280万人はリアルタイムの数値ではないと言っている。ちなみに、直近1年でギャンブル依存の疑いのある人は993人中5人(0.6%)であり、全国的な推計値では約62万人となる。

◆2017年は面談調査であるだけに信頼度が高い

 2013年は厚生労働省が全国約4000人を対象に行ったが、今回は約1000人。調査対象数に4倍の開きがある。ただこの点については大きな問題にはならない。統計学の見地では、1000人と4000人では統計的な誤差に大差はない。

 テレビや新聞の世論調査がおよそ1000人~1500人の間で行われているのは、それが統計学的には信頼性のある数値を担保できる調査人数であるからだ。ちなみに、今回の調査は、今秋までに行う10000人調査の予備調査の結果であることを付け加えておきたい。

 それよりも前回と今回の調査の大きな違いは、たぶんその方法である。前回の調査においてはアンケート調査であったが、今回の調査は面談調査である。質問項目に対する調査深度で言えば、紙によるアンケート調査より、はるかに信頼度は増している。

 また今回の調査を請け負った、国立病院機構久里浜医療センターは、アルコール依存やネット依存など依存問題に専門的に取り組む機関であり、2013年からは病的ギャンブリングについての研究を専門的に行っている。今後の日本のギャンブル依存問題研究の拠点となるセンターなのだ。

◆今回の数値でも、深刻さは変わらない

 今回の調査結果が、前回の調査結果に比べ大きく「改善」されたからといって、日本が抱えるギャンブル依存問題の位置付けがランクダウンした訳ではない。カジノの設置に向けた動きの中で、ギャンブル依存に関しては徹底的な対策が必要であろうし、公的ギャンブルやパチンコも今以上に対策対応を強いられるであろう。

 特にパチンコは、直近1年のギャンブル依存の疑いがある人が62万人として、仮にその内の7割の人の主因が「パチンコ」であれば、1店舗当たり43人ものギャンブル依存問題を抱える人がいるという事になる。これはこれで深刻な数字だ。

 パチンコ店への入場規制強化や、家族からの申告も受諾出来る自己排除(自己申告)プログラムの整備、依存問題を抱える人への回復支援等、様々な問題解決に向けてより一層の対策を講じていくことに期待したい。

<文・安達 夕>

ハーバー・ビジネス・オンライン