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ECBの3月の政策理事会の議事要旨-Premature

4/7(金) 14:24配信

NRI研究員の時事解説

はじめに

ECBの前回(3月)の政策理事会は外見上は「無風」であった。しかし、今回公表された議事要旨には、物価を中心に活発な議論が行われたことや、域内の国債市場で顕現化しつつある問題についても興味深い分析が示されたことが示されている。今後の政策運営に対する意味合いを中心に内容を検討したい。

金融経済情勢の判断

今回公表された議事要旨には、3月の政策理事会において、域内経済の回復がより堅調で広範囲なものとなっているとの言及が度々みられるが、この点自体は、政策理事会直後のドラギ総裁の記者会見で既に明らかになっている。

より重要なのは物価に関する議論である。すなわち、足許でのHICPインフレ率の加速が、原油価格下落の水準効果の剥落と食料品価格の上昇による点が強調され、しかも、これらの先行きに不透明性が高いことが指摘されている。さらに、ドラギ総裁も記者会見で述べたが、エネルギーと食品を除いたHICPインフレ率は+0.9%に過ぎず、インフレ期待にも大きな変化がみられないなど、インフレの基調は強くないとの評価が示されている。

これに対しては、ECBのインフレ目標はあくまでHICP総合であるとか、エネルギーと食品を除いたHICPインフレ率には長期にわたって下方バイアスがあり、1999年以降の平均も+1.4%に過ぎないという興味深い反論も示されている。ただ、少なくとも議事要旨の記述の分量から見る限り、総合インフレ率の顕著な改善をデフレリスクの低下と歓迎した前々回の政策理事会のトーンとはかなり異なる印象を受ける。

物価に関しては賃金も焦点となったようだ。つまり、インフレ率が目標に向かって徐々に伸びを高める上では、賃金の上昇が重要な前提となることが指摘されている。その上で、失業率の改善傾向が鈍化するリスクが取り上げられ、従って物価見通しについてやや楽観的ではないかとの指摘がみられる。

この点を含め、今回の議事要旨には、ECBスタッフによる見通しの妥当性に疑問を呈する指摘が散見されることも注目される。例えば、労働市場の改善→賃金上昇→インフレ加速というメカニズムについても、労働市場の改善傾向の持続性だけでなく、賃金上昇からインフレへのsecond round effectの点でも、賃金交渉のラグだけでなく、indexationの見直し等による構造的変化の影響も含めて、従来と異なるインパクトを想定すべきとの意見がみられる。さらに、ユーロ圏経済の牽引車である個人消費の持続性にも、インフレ率が上昇すれば実質所得の減少を通じて下押しするはずとの疑念が示されている。

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