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東京ディズニーランドが客数減少で苦戦中という勘違い。そして「本当の課題」は?  (多田稔 中小企業診断士)

4/7(金) 5:20配信

シェアーズカフェ・オンライン

日本を代表する2つのテーマパーク、東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパンの昨年度の入場者数が公表されました。各マスコミは一様に「明暗が分かれた」と報じています。

「国内二大テーマパークの明暗が分かれた。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートの2016年度入場者数は2年連続で前年割れ。昨年4月の値上げが響いた。一方でユニバーサル・スタジオ・ジャパンは過去最高を更新した。
テーマパーク、入場者数で明暗 日本経済新聞 2017/4/4」

このリード文や見出しだけを読むと、あたかもユニバーサル・スタジオ・ジャパンの業績は向上、東京ディズニーリゾート(以下TDR)の業績は悪化しているような印象を受けます。果たして実態はどうなのでしょうか。上場企業であるTDRの運営会社・オリエンタルランドの開示情報を元に確認してみましょう。

■実はTDRの売上高は、“過去最高ペース”。
オリエンタルランドは3月決算の会社ですので、直近期(平成28年度)の通期決算はまだ発表されていません。確認できる一番新しい経営数値は第3四半期までのものです。

これを見ると、売上高は約3,600億円となっています。ここから単純計算すると、通期の着地予想売上高は4,800億円程度と見込まれます。この数字は同社が過去最高の売上高(4,735億円)を計上した平成25年度に匹敵します。現に、同年の第3四半期時点の売上高は約3,660億円で、昨年度とほぼ同じです。

つまり、TDRの業績は悪化どころか、“創業以来最高”に近いペースで推移しているのです。

また、売上高の変遷を時系列で見ると、過去最高の売上高を計上した平成25年度は、前年比約20%の大幅増加となっています。同年の有価証券報告書によれば、この主たる要因は開場30周年を祝うイベント『ザ・ハピネス・イヤー』の実施にあります。

この後、確かにオリエンタルランドの売上高は下降線をたどっています。しかし、前年比減少率は平成26年度1.5%、27年度0.2%と微々たるものです。凡百の企業なら、大きなイベントで売上をかさ上げした翌期はその揺り戻しで業績を落とすものです。そこを最小限の売上減で踏ん張ったところは、日本を代表する優良企業の底力を感じます。

入園者(TDRでは“ゲスト”と呼ぶようですが)の数の減少は確かに客観的な事実ですが、見方を変えれば、30周年で呼び戻した顧客を高い水準で維持している、とも言えるのではないでしょうか。そこに巧みな値上げ戦略を絡め、客単価の向上で売上を高める経営力の高さと、それを可能にするブランド力はさすがです。

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