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中国経済の実態は?  輸出の動きからわかる「2つの真実」

4/7(金) 16:11配信

会社四季報オンライン

 輸出の動きをみることで、わかることが二つある。まず、輸出相手国の景気の動向がわかる。日本の輸出は海外需要の動きに敏感で、海外景気との連動性が高い。 

 4月20日には通関貿易統計(3月分)が発表される。この統計で新聞等にしばしば取り上げられるのが貿易収支だが、ここで注目したいのは輸出、特に為替相場の動向に左右されにくい数量ベースの輸出の動きだ。この数量ベースの輸出は12月、1月と頭打ちだったが、2月は急増した(図1参照)。

 通関貿易統計では地域別・品目別の輸出の数値を見ることができる。このため、たとえば、米国向けの自動車輸出が減少していれば、それは米国の自動車販売が不調で、自動車業界の景気が悪くなっていることを示唆する。

 実際、日本の対米自動車輸出は12月、1月と大幅に減少した。米国の自動車販売を見ると16年以降、年1700~1800万台程度のレンジで横ばい推移となっており、3月は1650万台に落ち込んだ。トランプ政権の保護主義的な態度を後押ししているのは米自動車業界であり、そうした点を考慮すれば、日本の対米自動車輸出が減少しているのも、つじつまが合う。

 輸出の動きからわかるもう一つのことは、景気の動向だ。日本の景気動向を端的に示す鉱工業生産の動きと輸出数量の動きを見比べてみると、連動性の高さは明らかだ(図1参照)。もちろん内需増加も生産活動を押し上げる要因には違いないが、内需より輸出の変化幅が大きいため、輸出の動きが限界的な生産の動きに連動することになる。つまり、輸出が増えれば国内製造業の生産活動が高まり、景気も良くなる傾向が強い。

 では、輸出数量が12月から1月にかけて頭打ちになり、2月に再び増加したのはなぜか。そして、国内景気に関してそれがどういう意味を持つのか。

 結論から言えば、地域別・品目別の通関輸出統計を見ると、12月から1月にかけての低迷は米国向け輸出、特に自動車輸出の減少が原因であり、2月の急増は中国向け輸出の急増が原因である。

 1、2月の輸出は単月では中国の春節の日付けが毎年変わることなどがあって振れが大きく、1~2月を合計してみる必要がある。しかし、1~2月の対世界輸出数量は前年同期比4.2%増加した。昨年前半(1~6月)は同2.3%減と減少傾向をたどっていたが、後半(7~12月)は同2.9%増と持ち直し、今年に入って増加の勢いは加速している。うち中国向け輸出は昨年前半が前年同期比0.8%増、後半が8.2%増で、今年1~2月が14.9%増と急加速している。

 図2は地域別の季節調整済み輸出数量の動きをみたものだ。ここから明らかなことは昨年末以降、米国向け輸出が伸び悩み、半面、中国などアジア向け輸出が急増していることだ。中国向けが牽引役になって、日本の輸出全体を押し上げていることが一目瞭然だ。

 中国向け輸出が急増していることは中国景気の良さを示していることになるが、実際、そうなのか。1~2月の中国の景気指標を見ると必ずしもすべての指標が良くなっているわけではない。

 1~2月の小売売上高は前年比9.5%増と昨年1年間、あるいは昨年12月の前年比増加率(それぞれ10.4%、10.9%)を下回った。原因は乗用車販売の頭打ちだ。昨年末まで小型車の車両購入税が減税され、税率が通常の10%から5%に引き下げられていたが、今年から税率は7.5%となり減税幅は半減された。その影響で自動車販売にブレーキがかかった。

 一方、投資活動は盛り上がっている。固定資産投資(民間設備投資と公共投資を合計したもの)は、1~2月に前年同期比8.9%増と昨年1年間の増加率(8.1%増)を上回った。内訳を見ると、落ち込んでいた民間投資(昨年は3.2%増)が6.7%増と幾分持ち直したこともあるが、道路、空港などのインフラ投資の増加が際立っている。1~2月のインフラ投資は27.3%増と、もともと高かった昨年(17.4%増)の伸びに比べても一段と加速した。

 企業の景況感はどうか。4月の企業景況感は大企業・国営企業などを主な調査対象とする、国家統計局調べによる製造業PMIが51.8と前月(51.6)から上昇したが、中小企業も多く調査対象に加えた財新・マークイット調べによる製造業PMIは51.2と前月(51.7)から低下した。重厚長大型の大企業、国営企業はインフラ投資などによって支えられたが、中小企業については消費減退により景気がやや減速したとも解釈できる。

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