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【高円宮杯】欠落していた“生命線”。タレント軍団・FC東京U-18はなぜ敗れたのか

4/9(日) 7:30配信

SOCCER DIGEST Web

久保&平川が決めた美弾の裏側で──。

 FC東京U-18と清水エスパルスユースのプレミアリーグEAST開幕戦では、じつに5つのゴールが生まれた。
 
 FW久保建英の「ペナルティーエリア手前は得意なポイントだと思うし、安定感もある。枠にも必ず行く」(FC東京・佐藤一樹監督)というゴール正面からのFK弾を含め、両チームの全得点がハイクオリティー。スタジアムに足を運んだ観客からすれば、終了間際の劇的な決勝ゴールもあり、大いに盛り上がれる試合展開だった。しかし、派手な撃ち合いは“FC東京らしくない”。昨季のチームが大味な試合を見せることは、ほとんどなかったからだ。
 
 17分、FC東京は一瞬の隙を清水に突かれる。FW平墳迅(3年)にセンターサークルを超えたところから、ロングシュートを決められた。以降も、らしくない試合運びが続く。25分に久保が観客の度肝を抜く直接FKをねじ込んだが、直後の28分に被弾。後半はリズムを掴んで66分にMF平川怜が同点弾を決めたが、最後はアディショナルタイムに力尽きた。
 
 なぜこのような試合運びをしてしまったのか。理由は明白。球際のところで競り勝てず、集中力の欠けたプレーが多かったからだ。
 
「自分勝手にやるのではなく、良さを出しながら、チームのために頑張って行く。そういうところを今年も大事にしながら、やっていかないといけない」とは佐藤監督。とくに決勝点となった失点はその指摘を象徴するシーンだ。
 
 スローインを簡単に中に入れさせてしまい、相手は容易くエリア内に侵入。最後は強引にこじ開けられ、FW鈴木魁人にシュートを決められてしまった。指揮官は「前のめりになりすぎて、ボールを奪い切れないシーンが目立った。(決勝点の場面も)最後のところでボールをこぼしていたし、あのようなことをしてはいけない。あそこがウチの生命線」と話す。まさしく、FC東京の強さを支えてきた肝の部分だ。

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平川怜は「自分たちの甘さが出た」。

 とはいえ、プラス材料もある。
 
「随所にクオリティーを出してくる瞬間はあったけど、それがもっと増えてくると良いのかなと思う。なので、もっと良くなっていかないといけない。タケ(久保)にしてもレイ(平川)にしてもそうですし、J3を経験した選手たちもそう」
 
 指揮官はもっとやれたと話すが、個の力で違いを作り出す場面が何度か見られた。「ゴールに関わること」を今年のテーマに掲げるU-17日本代表の平川は、ボランチの位置から何度も前線に顔を出して好機を演出。後半に生まれたゴールも狙い通りで、中盤からボールを持ち上がっていった結果だ。
 
 平川のゴールをお膳立てした久保も攻撃の核として存在感を示した。前半に決めた直接FKも自らの果敢な仕掛けから得た好機だ。それ以外にもすでに今季のJ3を経験している187cmの大型FW原大智は高さで優位に立ち、サイドハーフの小林幹も精度の高いプレーでチャンスを創出。個の力は、昨季のチームにも引けを取らないポテンシャルを感じさせた。
 
 今節はJ3のゲームがなかったが、次節以降は昨年同様、U-23チームに参戦する選手が出てくる。誰がどの試合で起用されるかは判然とせず、戦術面をじっくり落し込む時間もない。だからこそ、個の力と闘う姿勢が、より一層求められる。
 
「球際であと一歩頑張らないといけないし、(選手に指示を)伝えるのがひとつ遅れている。そこはしっかりと伝えていかないといけないし、(それができなければ)このような結果になっても仕方がない。だから、もっと突き詰めていきたい」(主将の右SB岡庭愁人)
 
「自分たちの甘さが出た。プレミアリーグは厳しい。追いついたことでなんとなく行けるような雰囲気になったけど、攻め切れなかった」(平川)
 
 清水戦で得た教訓を次の試合で活かせるか。そして、“らしさ”を取り戻せるか。2節の浦和レッズユース戦は、重要な位置づけの一戦となる。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)

最終更新:4/9(日) 14:10
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