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男女それぞれの視点から考える、これからの働き方~リクルートワークス研究所石原氏×サイボウズ中根氏×武蔵大学田中氏<日本の人事部「HRC2016-秋-」>

4/10(月) 7:30配信

日本の人事部

日本企業はこれからの働き方を本気で考えなければならない時期に来ている。ただ、理念は理解できていてもなかなか着手に踏み込めないという声も聞く。そこで、本セッションでは、研究者および実務家三人の登壇者が男女それぞれの視点から「働き方」のトレンドや「働き方改革」のあり方を論じるとともに、参加者同士のディスカッションも交えながら、これからの働き方を実現していく上での課題と対策について考えた。

第一部:「働き方」のトレンドや「働き方改革」に関する理論・実例などの解説&問題提起

第一部は、登壇者三人が男女それぞれの視点・立場から、働き方改革の現状と課題について解説と問題提起を行った。


【プレゼンテーション】男性学の視点からこれからの男女の働き方を考える(田中俊之氏)

最初にファシリテーターの田中氏が、男性学の視点から働き方改革を推進していく上での理念を解説した。男性学は、男性が男性であるがゆえに抱えている問題について考える学問だ。田中氏は、その第一人者として位置づけられている。冒頭、田中氏が提示したのは、日本における「自殺死亡率の推移」。同じ社会にいながらも、男性の自殺する数は女性の2倍以上であり、その事実は男性学のテーマにもなっているという。

「どのような問題があるかを国が調査し、わかったことは、人に悩みを相談するのをはばかる管理職や中高年が多いということでした。彼らの弱音を誰がどう吸収するのかという問題は、女性の活躍推進や働き方改革とセットで論じられなければならないわけですが、そのことにはあまり着目されていません。政府が掲げる第4次男女共同参画基本計画でも、『男性中心型労働慣行等を変革していこう』と書いてはありますが、各企業が具体的に取り組むときにこの計画の文面を読んでもよくわからないと思います」

その原因について、田中氏は「男性中心型労働慣行」の定義が不明確だからだと言う。田中氏の分析によると、1日8時間・週40時間が労働基準法の標準時間だが、フルタイムの働き方では、それは最低限に過ぎず、それ以上働くのが普通になっているのが日本企業の現実。時短勤務も育児休暇も許されない状況にある。

「働き方改革は本音と建前がかい離しているのが問題です。建前では、男性の長時間労働を是正しなければならないと叫ばれているものの、本音では、長時間労働が問題とは思われていない現状があります。この本音の部分にどれだけ切り込めるかが今問われているのです」

田中氏はさらに、別のデータも提示した。1980年代後半から2009年までの第一子出産後の女性の就労経歴をまとめたものだ(内閣府『平成28年度版 男女共同参画白書』)。これによると、2000年代後半では出産を機に7割が主婦になっているが、今その割合が急激に変わってきており、どの職場でも対応が難しくなってきているという。

「今までは出産した女性は会社を辞めていきました。そもそも結婚して辞めていく人も一定数いたわけです。その方たちが就労を継続するようになったことは、企業にとって想定外の事態。日本では性別分業を長年続けてきたこともあって、変えるのが難しい状況にあります。加えて、シングルの問題も絡んできます。最新の生涯未婚率データによると、50歳を過ぎた男性の四人に一人は結婚をしていません。長期的なトレンドとして未婚を選択する人が増加しているのは事実であり、これが減ることはないと思われます」

こうした職場環境下で、例えば女性が出産後に時短勤務をしたときに、そのしわ寄せがほかの社員に及ぶことをどう捉えればよいのであろうか。この点に関して、田中氏は社員全員が「積極的寛容」の姿勢を持つ重要性を強調する。「積極的寛容」とは、ピーター・L・バーガーという社会学者が提唱した概念で、「自分とは異なる価値観を持つ個人や集団と出会ったときの純粋な敬意や開放性」を意味している。

「職場でダイバーシティが重要だと言われる現在、さまざまな他者と共に働かなければなりません。そのときに、重要なのは『敬意』と『開放性』。私は特に『敬意』が大切だと考えています。相手の価値観、生き方が自分とは違っていたとしても、敬意を払えるかどうかが重要なのです」

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最終更新:4/10(月) 7:30
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