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マンガ市場の変貌

 4/10(月) 16:50配信

『少年ジャンプ』元編集長を今年も白泉社に訪ねた

 今回も昨年に引き続き、この特集をまとめるにあたって白泉社の鳥嶋和彦社長を訪ねて話を聞いた。鳥嶋さんは2015年8月に同社社長に就任するまで集英社に籍を置き、以前は『週刊少年ジャンプ』の名物編集長だった。白泉社は集英社の関連会社だ。そしてこの春、同社発行の青年誌『ヤングアニマル』の連載『3月のライオン』が映画化されることが話題になっている。昨年のNHKでのアニメ化に続く映画化で、おおいに期待がもたれている。
「僕は社長になる時に目標を二つ言ったのです。営業利益を黒字化させることと、コミックス初版100万部を達成すること。前者は昨年達成できたので、もう一つは、『3月のライオン』で何とか達成したい。最新刊が特装版と合わせて90万だからもう一歩です。白泉社の初版の記録は『動物のお医者さん』の98万なんです。
 でも今、マンガの初版100万は簡単じゃない。僕が編集現場にいた頃の100万と今の100万は重さが違います。白泉社ではもうひとつ『ベルセルク』という人気の作品があるのですが、それ以外には初版20万を超える作品も、幾つかを除くとなかなかありません」
 映像化ということでは、この4月から『花とゆめ』連載の『覆面系ノイズ』という音楽もののアニメが放送される。
「白泉社では『花とゆめ』『Lala』『ヤングアニマル』が基幹3誌です。雑誌市場全般が厳しいなかで、白泉社のマンガ雑誌も、前年比を上回る数字は出せていませんが、健闘しているんじゃないですか。コアのファンがいるし、新しい作家・作品を送り出そうと現場も頑張っています」
 昨年のこの特集では、鳥嶋さんも「デジタルとライツビジネスをきちっと回していかないといけない」と力説したが、出版界はこの1年間で、ますます雑誌が落ち込み、デジタルやライツビジネスが伸びている。
「この機会にマンガ雑誌のあり方をもう一遍再定義してどうするかを考えなきゃいけないと思います。それがやっぱりどの出版社も出来ていない。マンガの作り方も、特に週刊誌がそうですけど、一話一話読ませる、ひいてはその雑誌を買わせる、という作り方がどこまで出来ているか。僕は今、ちばてつやさんやあだち充さんなどの作家のかつての作品を読み返しているのですが、あの時代はマンガにエネルギーがありました。確かに今は少子化とかデジタルどうのこうのという厳しい環境はあるのですが、でもそれは外部的要因に過ぎないのじゃないか。マンガが力を持っていた頃は雑誌の連載自体にライブ感、読者の反響があって作家がそれに引っ張られて描くという、良い意味での双方向性があったと思います。本当はもう一回その雑誌が必要なのかどうか問いかけて作り直す作業をやらなきゃいけないんじゃないか。今この厳しい時代に、そんなふうに壊しながら作り直すというのは相当難しいとは思いますけれどね」
 鳥嶋さんが「あの時代」というのは1980年代だろう。『週刊少年ジャンプ』は90年代前半がピークで、最高部数650万部超を記録した。当時の毎日新聞400万部をはるかに上回る部数だ。それが1995年から『ドラゴンボール』『スラムダンク』『幽遊白書』という三大人気連載が終了したのを機に一気に部数を減らしていった。その後、紙のマンガ市場は一貫して縮小を続けている。『週刊少年ジャンプ』はその中では健闘しているとされるが、部数は今や200万部台だ。

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最終更新:4/21(金) 14:21

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