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「管理職が嫌」な人は拒否したほうが幸せか

東洋経済オンライン 4/10(月) 8:00配信

■管理職にならない働き方を推奨する会社も・・・

 管理職になることを「ネガティブ」にとらえる人が増えた……という話をよく耳にするようになりました。

 すでに管理職として活躍中の人には「管理職になれない人の言い訳にすぎないのでは」などと辛辣な意見を言う人もいますが、管理職への登用を打診しても「断る」社員がいるくらいに、ネガティブ派が増えたのは本当のようです。取材した大手食品メーカーの人事部長は、

 「管理職になることが社員のモチベーションになるという前提を見直し、社員の処遇を考えなければならない時代になりました」

 と答えてくれました。ただ、ネガティブ派が増えたのは会社の責任でもあります。かつて、管理職へ登用の「速さ」を社内の人事評価の高さだととらえることはよくありました。周囲も「あいつは同期でいちばん早く管理職になったから、優秀な人材だ」と認識したものです。ところがバブル崩壊からリーマンショックに至る経済不況で、管理職のポスト不足が慢性化。会社は管理職になれない社員への対処として

 《管理職になることだけを期待していません》

 といったメッセージを発信するようになりました。なかには管理職になることは大変で、一社員のままで働くこともいいことだよ、と管理職にならない働き方を推奨する会社もあったくらいです。

 たとえば、金融機関では支店長になるまでの競争を同世代の行員が行い、なれない行員は社外に出向するといったことはよくありました。ところが、バブル崩壊以降は支店長にならない行員が出向せずに行内に残ることも普通になりました。

長らく取られた人事施策が原因か?

 取材をすると、支店長を目指さないと断言する銀行員の方はたくさんいます。金融機関だけでなく各業界で同じような人事施策が長く取られてきました。こうした動きが管理職になりたくない人を生み出すきっかけになったのかもしれません。

ただ、会社の想定以上に、管理職になりたくない人を増やしてしまったかもしれません。最近のマイナビの調査で「管理職でない人」の7割以上が管理職になりたくないと回答しています。かつてとは相当意識が変化してきたことを痛感する数値です。

■管理職になることが誇りだった時代から

 以前(2000年前後)から管理職に「なりたくない!」と主張する人はいました。筆者が会社勤めをしていた頃、部長として社員に管理職への登用を内示したところ、辞退をした人がいました。ただ、それはあくまでマイナーな存在であり、大半の社員たちは管理職を目指していました(管理職を辞退した部下は家業を継ぐための修業として勤務しており、近い将来に退職を予定しているという人でした)。あるいは「なりたくない」と発言しながら、本音では管理職を虎視眈々と狙っている社員はたくさんいました。

 かつては佐々木常夫氏の著作のタイトルに

 『そうか、君は課長になったのか。』

 とあるように、管理職になったことをお祝いするような状況もありました。管理職になることが誇りであり、家族がタイの尾頭付きで祝う光景を写真で見たことがあります(おそらく1970年代のことと記憶しています)。社内でも同僚が「おめでとうございます」とお祝いをしてくれたものです。

 ところがいまや、課長に昇格して「ご愁傷さまですね」と周囲から声が掛かる職場もあるようです。ところが、お祝いではなく「元気出して」と励ます飲み会を開催している職場を取材することがありました。

 では、会社から管理職への登用を勧められても「断って」しまうことはできるのか?  管理職にならなくても「働きやすい」職場はあるのでしょうか? 

 先日、ある人(Dさんとしましょう)から質問を受けました。その人は製造業の経理部に勤務する40代半ばの社員。これまでに2回も管理職への登用を勧められたのですが、2度断っているとのこと。どうして管理職になりたくないのか?  理由を聞いてみると

・現場志向で実務が好き
・他人に対する関心の度合いが低い
 とのこと。今の仕事から大きな変化を望まないようです。

 Dさんのような理由に加えて、別の管理職になりたくない人たちに話を聞くと、金銭的なメリットが低い、業務負担が多いなど、理由が山のように出てきます。

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最終更新:4/10(月) 9:52

東洋経済オンライン