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熊本地震から1年 南海トラフ地震カウントダウンで再び注目の「週刊MEGA地震予測」

週刊SPA! 4/11(火) 9:00配信

 想定死者数33万人超、経済損失220兆円、そして、30年以内の地震発生確率70%――。日本列島にそんな壊滅的な被害をもたらすと言われる「南海トラフ地震」が間近に迫っているのか? ここ1か月余りの間に不気味な兆候が表れている。

 先月2日深夜から3日にかけ、宮崎県延岡市や高千穂町などを中心に最大震度4の地震が観測された。気象庁によると震源は日向灘で、マグニチュードは推定5.2。折しも、京都大学防災研究所地震予知研究センター宮崎観測所と東京大学地震研究所の共同研究グループが、この地でゆっくりと断層がすべる「スロー地震」の調査を開始したこともあって、南海トラフ地震への影響が懸念されている。

 日向灘周辺は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界に近く、フィリピン海プレートが大陸プレートの下に1年で7㎝程度沈み込むため、それに伴い小さな地震が頻発。数十年間隔でM7クラスの地震も起きているエリアだ。

「ついに、南海トラフ地震のカウントダウンが始まった」

 日向灘の異変を機にそんな懸念の声が専門家の間にも広がっているが、果たして、この「不気味な兆候」は何を意味しているのか? これまで数々の巨大地震発生を予見してきたメルマガ「週刊MEGA地震予測」で情報発信を行い、JESEA(地震科学探査機構)の会長も務める村井俊治東京大学名誉教授が話す。

「日向灘の地震は、ちょうど一年前の昨年4月に起きた熊本地震の影響によるものです。東日本大震災にも匹敵するほどの震度7をもたらしたこの地震の影響は、実は、一般に考えられるより遥かに大きい。熊本地震で特徴的なのは、周囲の5つほどのエリアで地殻がまったく異なる動きをしていること。ある地域では非常に隆起しているのに、ある地域では沈降している。水平方向の動きを見ても、熊本や城南は北東に動いているのに、すぐ近くの長陽では正反対の南西に動いている。熊本地震で動いた地殻の境界の部分に、相当な歪みが溜まっている。つまり、地震で地殻が動いたことによって、今度はその『境目』が危なくなってきているのです。そして、この境目に当たる場所のひとつが日向灘なのです」

 不気味なことに、日向灘周辺で発生した地震の震源は、ちょうど南海トラフの西端に位置する。素人目で見ても、日向灘の異変が、この周辺のプレートに何らかの影響を及ぼすのではないか? そう勘ぐらずにはいられないほどの近さなのだ。村井氏が続ける。

「影響は、さらに東方に及ぶ可能性があります。四国、紀伊半島や志摩半島といった東南海から、御前崎、伊豆半島といった東海エリアにまで及ぶ危険があるのです。四国西部の地殻は2年前に比べて隆起しているが、東部、特に徳島県では全県で沈降していました。ところが、熊本地震の後、徳島県の地殻は隆起に転じている……。我々の分析の経験則からは、沈降から隆起に転じたとき、大きな地震が起きることがわかっています。昨年10月に起きた鳥取県中部地震、そして熊本地震も2年前から地殻が沈降していたが、隆起に転じたときに地震が起きている。こうした反転現象が危ないのです」

 村井氏が会長を務めるJESEAは、国土地理院が全国約1300か所に設置した電子基準点のGNSS(Global Navigation Satellite System=衛星測位)データを解析している。自動車のナビと同じ理屈だが、複数の測位衛星と地上の受信機の距離を測量することで、受信機の正確な位置を知ることができるという。こうして得られた地殻の上下・水平方向の変動を分析し、異常な動きから大地震の前兆を捉え、地震の予測に繋げているのだ。

「プレートの地図では、四国や南海、東南海はユーラシアプレートの上に載っているが、あれはあくまでも推定に過ぎません。我われの電子基準点の解析では、四国の足摺岬、紀伊半島の潮岬、志摩半島、さらに東方の御前崎、伊豆半島の南の地殻は、ユーラシアプレートではなく、フィリピン海プレート上の伊豆諸島と同じような動きをしていることがわかっています。つまり、フィリピン海プレートの境界は、四国、紀伊半島、本州太平洋岸に連なっていることになる。そして、室戸岬と潮岬は、ここ2年ほどは沈降を続けています。繰り返しになりますが、地殻が沈降しているときのほうが地震の危険性が高い。このエリアで沈降が隆起に反転したとき、南海、東南海で大地震が起きる怖れが大きいのです」

 実は、村井氏はいわゆる「地震の専門家」ではない。むしろ、「測量工学の世界的権威」として名を馳せた研究者だ。にもかかわらず、なぜ「怖いほどよく当たる」と評されるに至った「週刊MEGA地震予測」をリリースし続けられるのか。

「もっとも大事なのは、地球は常に動いており、その上に乗っている日本列島も今現在、刻一刻と動いているということ。ところが、専門家は過去の地震の記録を分析することで地震を予知しようとしている……。人体の健康に例えれば、過去の病歴だけを材料に、将来の患者の病気を予測するようなもので、どうしても無理があるわけです。我われは、まったく異なるアプローチで地震を予測しています。地球が今どのように沈降、隆起、あるいは水平移動を行っているか、いわば現在の地球の“健康診断”をして、将来に地震という“病気”が起きるかを予測するのです。

 また、現在の地震学では、地球上に地震計などのさまざま計測機器を設けているが、この計器は地震が起きたときに地面と一緒に動いてしまう……。新幹線に乗っている人が、新幹線が何メートル動いたのか測ることができないのと同じ理屈で、人は新幹線から降りないと、新幹線の動きは測れません。地球の動きを知るには、地球の外から測るしかありません。だから、人工衛星を用いて地球の外から測量することが重要なのです」

 現在の地震学の「限界」を、村井氏は専門の測量工学を武器に突破しようとしているのだ。

 ただ、村井氏が有用だとして活用している国土地理院の電子基準点のデータは、1日の地殻変動の平均値であり、通常は2週間遅れと“過去”のデータだという……。

「非常に役に立っていますが、データが上がってくるのが早くても2日遅れで、これではリアルタイムで地殻の変動がわからない……。そこでNTTドコモの支援を仰ぎ、東海、東南海をより高い精度で監視するためにこのエリアに電子観測点を設置しており、3月中には完成する見込みです。すでに日向灘、室戸岬、潮岬、志摩半島、さらに関東では小田原、三浦半島では完成しており、5月には稼働します。これにより高精度の予測が可能になります」

 異常な地殻変動の監視網が強化された暁には、これまで以上に正確な地震の予測が可能になる。今、水深4000メートルの海底に横たわる南海トラフでは、いったい何が起きているのか。

「陸上での地殻の変動を見てみると、中国地方、四国地方は南東に動いており、日本全体も同様に動いています。ところが、海上保安庁が設置した海底基準点の南海トラフ沿いのデータを見ると、陸上が南東方向に動いているのに海底では北西方向と、まったく逆方向に動いている。つまり、陸と海の地殻がお互いに押し合っているのです。その結果、南海、東南海エリアでは水平方向の動きが少なくなっている。重要なのは、動きが少ないから安全というわけではないということです。陸と海の地殻が押し合っているから、動くに動けないのです。この均衡状態が弾ける寸前まで、地殻の歪みが溜まっていくと理解すべきでしょう。そして実に怖いことに、水平方向の動きがほとんどない地点をトレースしていくと、南海トラフと並行する“ベルト地帯”がきれいに浮かび上がるのです……。現在の均衡はたまたま成り立っているもので、いつかは崩壊する。崩壊時に放出されるエネルギーは、莫大なものになる。そのとき、南海トラフ地震が起きるのです」

 南海トラフの“Xデー”は確実に近づいているように感じるが、村井氏の「地震予測」の重要性が日に日に高まっているのは間違いない。<取材・文/日刊SPA!取材班>

村井俊治氏●JESEA地震科学探査機構(http://www.jesea.co.jp/)・取締役会長。東京大学名誉教授。専門は測量、空間情報工学。国際写真測量、リモートセンシング学会、日本測量協会の会長を務めるなど、世界の測量界を牽引。5万人以上の会員に『週刊MEGA地震予測』および『nexi地震予測』を配信中

日刊SPA!

最終更新:4/14(金) 12:40

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