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「結婚」は昨今の経済状況下では“損”か“得”か

ダイヤモンド・オンライン 4/12(水) 5:00配信

● 過去5年で男女ともに 生涯未婚率が3%以上上昇

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2015年で「生涯未婚率」の対象になる日本人は、男性が23.37%、女性が14.06%にのぼったという。同推計は国勢調査を分析して行われるとのことだが、5年前と比較すると、男性で3.37%、女性で3.45%増加しているとのことだ。

 はじめに断っておくが、筆者は、他人について結婚するかしないかについて、どちらが望ましいという価値観を持っているわけではない。無理にでも(たとえば日本社会のために)結婚せよという気持ちもないし、独身がいいと勧めるつもりもない。性別、年齢、国籍に関係なく、自分の結婚くらい自分で好きに決めたらいい。

 さて、生涯未婚率とは、満50歳までに一度も結婚しない人の比率だ。近年、男女共に寿命が延びて、高齢でも元気なので、「50歳まで未婚」を「生涯未婚」と同一視していいのかについては、少々疑問があり、対象者から抗議の声(?)が上がるかもしれないが、特に50歳以降は女性が妊娠・出産するケースがごく少ないので、人口動態を考える上では、この辺を区切りにしておくことに、一応の意味がありそうだ。

 それにしても、生涯未婚率の上昇ペースは速い。ここ5年で3%以上増えたとは、社会の変化としていかにも急激だ。

 「ここ5年で3%以上増えた」と言うと、つい昨今の経済状況に関連付けて説明したくなる。近年の勤労者所得の伸び悩みなどを見ると、結婚適齢期の世代の経済的困窮が結婚を妨げているようにも思えるが、それは、必ずしも適切ではない。過去のデータを見ると、男性では1970年代から一貫して、女性も1980年代後半からずっと「生涯未婚率」は上昇を続けている。

 もっとも、女性の生涯未婚率の上昇カーブが男性並みの傾きになるのは、2000年代前半からなので、勤労者所得の伸び悩みが、未婚率の上昇につながった可能性はあるだろう。

 女性側から見て「私を養ってくれる甲斐性のある男になかなか出会えない」という状況は進んでいるはずなので、女性側には強い経済要因があるかもしれないし、か弱き男性側にも女性側の心理を忖度することが遠慮につながっている可能性がある。なお、筆者は、女性が男性の経済的甲斐性にこだわることには賛成しないが、こだわる女性がいるのは事実だろう。

● 結婚したいと思う男性が 適齢期男性の5%以上余っている

 国立社会保障・人口問題研究所が昨年9月に公表した出生動向基本調査によると、「いずれは結婚したい」と考える18歳~34歳の未婚者の割合は、男性85.7%、女性89.3%であるという。これらの調査対象は、生涯未婚率の計測対象になっている世代と世代が異なるが、「結婚したい」と思っていても、結婚に至っていない男女が少なからずいることは、事実のようだ。

 ケインズ以後の経済学では失業を自発的失業と非自発的失業に分ける考え方があるが、結婚を希望していながら独身にとどまる人を、「非自発的独身」と名付けることができようか。

 データの扱い方として乱暴だが、先の生涯未婚率の数字と、結婚したいという回答の比率を合計してから100%を引いて非自発的独身の多寡を推定すると、男性が+9.07、女性が+3.36%と、男性の方でより結婚希望の未達成者が多い(実際の非自発的独身率は離婚経験者が入るので、もっと大きな数字になるだろう)。単純に「需給」の問題として解釈すると、結婚したいと思う男性が適齢期男性人口の5%以上余っていると想像できる。

 一つの可能性としては、何度も結婚する、結婚市場において積極的でかつ競争力の強い男性が、複数の女性との結婚経験を持っている結果、こうした状況になっているのかもしれない。

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最終更新:4/12(水) 19:20

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